晦日尋崔戢李封 杜甫 119 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 118#2



晦日尋崔戢李封 #2
李生園欲荒,舊竹頗修修。
李君はその小園が荒れかかっている、まえからある竹がよほどながくのび放題でおおわれている。
引客看掃除,隨時成獻酬。
ふだんは庭そうじもしてないのだが客がきたというのでわたしを案内してくれながらみるみるうちに掃除をやっている、時の過ぎゆくままに差出したり、出されたり酒杯のやりとりをするわけだ。
崔侯初筵色,已畏空尊愁。
崔君は酒筵の開けはじめたときからすでにその顔つきがあおざめている、すでに酒樽が空になりはせぬかときづかう様子なのである。
未知天下士,至性有此不?』
今の世間の人たちはここに勇士がいるとは知らない、ましてその至誠の性情というものがのこんなに有るということがかわからないだろう。』
草牙既青出,蜂聲亦暖遊。
草の芽はすでに青みが出している。蜂も飛び交う音をだして暖かさの中遊んでいる。
思見農器陳,何當甲兵休?
こんな春であるから耕作につかう農具がもちだされるのを見たいと思うのだ。いったいいつになったら甲胃や兵器など使う状況を止めることができるのだろう。
上古葛天氏,不貽黃屋憂。
上古葛天氏の時代の人民は平和でいたものだ、今のように天子に謀叛を起して心配をかけるようなことはしなかった。
至今阮籍等,熟醉為身謀。』
今ここでは阮籍の様な賢者たちといわれるものがいる、賢者は酒にのみ酔いどれて天下のためにこの一身をいかにするのか良い工夫をするものなのだ。』


晦日尋崔戢李封 #2

(本文)
李生園欲荒,舊竹頗修修。引客看掃除,隨時成獻酬。
崔侯初筵色,已畏空尊愁。未知天下士,至性有此不?』
草牙既青出,蜂聲亦暖遊。思見農器陳,何當甲兵休?
上古葛天氏,不貽黃屋憂。至今阮籍等,熟醉為身謀。』
  
(下し文)
李生園荒れんと欲す 旧竹頗る情情たり
客を引いて看るみる掃除す 時に随って献酬を成す
崖侯初産の色 己に茂る空将の愁あらんかと
未だ知らず天下の士 至性此有るや不や』
草芽既に青出す 蜂声亦暖遊す
農器の陳ぜらるるを見んと思う 何か当に甲兵休すべき
上古葛天の民 黄屋の憂を胎きず
今に至って院籍の等 熟酔身の謀を為す』
  
(現代語訳)
李君はその小園が荒れかかっている、まえからある竹がよほどながくのび放題でおおわれている。
ふだんは庭そうじもしてないのだが客がきたというのでわたしを案内してくれながらみるみるうちに掃除をやっている、時の過ぎゆくままに差出したり、出されたり酒杯のやりとりをするわけだ。
崔君は酒筵の開けはじめたときからすでにその顔つきがあおざめている、すでに酒樽が空になりはせぬかときづかう様子なのである。
今の世間の人たちはここに勇士がいるとは知らない、ましてその至誠の性情というものがのこんなに有るということがかわからないだろう。』
草の芽はすでに青みが出している。蜂も飛び交う音をだして暖かさの中遊んでいる。
こんな春であるから耕作につかう農具がもちだされるのを見たいと思うのだ。いったいいつになったら甲胃や兵器など使う状況を止めることができるのだろう。
上古葛天氏の時代の人民は平和でいたものだ、今のように天子に謀叛を起して心配をかけるようなことはしなかった。
今ここでは阮籍の様な賢者たちといわれるものがいる、賢者は酒にのみ酔いどれて天下のためにこの一身をいかにするのか良い工夫をするものなのだ。』


  
(語訳と訳註)
李生園欲荒,舊竹頗修修。
李君はその小園が荒れかかっている、まえからある竹がよほどながくのび放題でおおわれている。
李生 封をいう。〇修修 長いさま。

引客看掃除,隨時成獻酬。
ふだんは庭そうじもしてないのだが客がきたというのでわたしを案内してくれながらみるみるうちに掃除をやっている、時の過ぎゆくままに差出したり、出されたり酒杯のやりとりをするわけだ。
引客 お客をみちびく、お客とは自己をいう。○ みるみるうちに。○掃除 そうじする。○随時 つごうのいい時に。○献酬 献は主人より客へ杯をさすこと。次に客より主人へかえすのを酢という、次にまた主人より客へさすのを酬という。

崔侯初筵色,已畏空尊愁。
崔君は酒筵の開けはじめたときからすでにその顔つきがあおざめている、すでに酒樽が空になりはせぬかときづかう様子なのである
崔侯 戢李封をいう。○初筵色 酒蓮の開け初めたときからの顔色。○空尊愁 さかだるがからになるとのしんばい。

未知天下士,至性有此不?』
今の世間の人たちはここに勇士がいるとは知らない、ましてその至誠の性情というものがのこんなに有るということがかわからないだろう。』
天下士 一般世上の人。○至性 至誠の性情。○此不 是も知らないだろう。


草牙既青出,蜂聲亦暖遊。
草の芽はすでに青みが出している。蜂も飛び交う音をだして暖かさの中遊んでいる。
青出 育みがでた。○暖遊 あたたかさにあそぶ。


思見農器陳,何當甲兵休?
こんな春であるから耕作につかう農具がもちだされるのを見たいと思うのだ。いったいいつになったら甲胃や兵器など使う状況を止めることができるのだろう。
思見 作者杜甫がおもう。○農器 耕作の器具。○ 陳列。○ 何時、いつか。○甲兵休 甲冑兵器の使用を止めること。

上古葛天氏,不貽黃屋憂。
上古葛天氏の時代の人民は平和でいたものだ、今のように天子に謀叛を起して心配をかけるようなことはしなかった。
葛天氏 葛天氏は上古の君、葛天氏は其の時の人民。○胎 人におくりのこす。○黄屋憂 天子のごしんばい。黄屋とは天子の馬車のほろのうらが黄色のきぬで作られているものをいい、黄色のもので飾られる天子のことである。
 
至今阮籍等,熟醉為身謀。』
今ここでは阮籍の様な賢者たちといわれるものがいる、賢者は酒にのみ酔いどれて天下のためにこの一身をいかにするのか良い工夫をするものなのだ。』
阮籍等 阮籍は魏の世の人、竹林七賢人の一人、ここに集う杜甫たちをさす。○熟酔 よいどれになる。○為身謀一身の謀をなす。世情が三国騒乱の時代に極似していること言う。


修。酬。愁。不。/遊。休。憂。謀。