晦日尋崔戢李封 杜甫 120 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 118#3


#3
威鳳高其翔,長鯨吞九洲。
鳳凰ともいえる威風の賢者は高くかけり去ってしまい、小魚を一気に飲みこむ長鯨のような悪人が九州を呑もうとしている。
地軸為之翻,百川皆亂流。
大地を作り出す軸というものも之がためにひっくりかえってしまった、多くの運河や用水路はみなみだれて流れている。
當歌欲一放,淚下恐莫收。
自分は十分きままに一つ歌をうたおうとおもうが、うたいだしたら涙が垂れてきて止めることができなくなるほどになるかと恐れるのである。
濁醪有妙理,庶用慰沉浮。』

こんな時だから、このにごり酒というやつはなんというふしぎな道理作用をもったものか、自分に涙を流させる思いを忘れさせる効果をもっている、願うことなら、自分はこの酒をのんでそれでもって我が身の浮き沈みの鬱憤をなぐさめることとしよう。』



(下し文)

威鳳高く其れ翔る 長鯨九州を呑む

軸之が為めに翻り 百川皆乱流す

当歌一放せんと欲す 涙下りて恐らくは収むる莫らん

濁醒(だくりょう)妙理(みょうり)有り 庶(こいねがわ) くば 用て沈浮を慰せん』




晦日尋崔戢李封#3 現代語訳と訳註 
(本文)

威鳳高其翔,長鯨吞九洲。
地軸為之翻,百川皆亂流。
當歌欲一放,淚下恐莫收。
濁醪有妙理,庶用慰沉浮。』

(下し文)
威鳳高く其れ翔る 長鯨九州を呑む
地軸之が為めに翻り 百川皆乱流す
当歌一放せんと欲す 涙下りて恐らくは収むる莫らん
濁醒(だくりょう)妙理(みょうり)有り 庶(こいねがわ) くば 用て沈浮を慰せん』

(現代語訳) #3
鳳凰ともいえる威風の賢者は高くかけり去ってしまい、小魚を一気に飲みこむ長鯨のような悪人が九州を呑もうとしている。
大地を作り出す軸というものも之がためにひっくりかえってしまった、多くの運河や用水路はみなみだれて流れている。
自分は十分きままに一つ歌をうたおうとおもうが、うたいだしたら涙が垂れてきて止めることができなくなるほどになるかと恐れるのである。
こんな時だから、このにごり酒というやつはなんというふしぎな道理作用をもったものか、自分に涙を流させる思いを忘れさせる効果をもっている、願うことなら、自分はこの酒をのんでそれでもって我が身の浮き沈みの鬱憤をなぐさめることとしよう。』


(訳註)
威鳳高其翔,長鯨吞九洲。
鳳凰ともいえる威風の賢者は高くかけり去ってしまい、小魚を一気に飲みこむ長鯨のような悪人が九州を呑もうとしている。
威鳳 威厳ある鳳皇、賢人をたとえていう。○長鯨 身長のながいくじら、悪人をたとえていう、これは安禄山をさす。〇九州 天下、国じゅう。

地軸為之翻,百川皆亂流。
大地を作り出す軸というものも之がためにひっくりかえってしまった、多くの運河や用水路はみなみだれて流れている。
地軸 地球のじく。

當歌欲一放,淚下恐莫收。
自分は十分きままに一つ歌をうたおうとおもうが、うたいだしたら涙が垂れてきて止めることができなくなるほどになるかと恐れるのである。
当歌 うたをいう、曹操の詩に「酒二対シテハ当二歌夕べシ」とみえる。〇一放 ひとたびかってにうたう。○莫収 おさめること、かたづけることができない。


濁醪有妙理,庶用慰沉浮。』
こんな時だから、このにごり酒というやつはなんというふしぎな道理作用をもったものか、自分に涙を流させる思いを忘れさせる効果をもっている、願うことなら、自分はこの酒をのんでそれでもって我が身の浮き沈みの鬱憤をなぐさめることとしよう。』
濁醸 にごりざけ。○有妙理 ふしぎな道理作用がある。○ ねがわくは。○ その酒を以て。○沈浮 身の境遇のうきしずみ。


(解説)
重税を逃れ兵士となったもの、知識階級の不平と不満を持っていた者たちが安禄山の陣営に加わったのである。この傾向は、750年代には顕著になり、755年ピークを迎えた。11月幽州において、反旗を建て黄河を渡るころには15万とも20万ともいわれる勢力になっていた。日に日に残虐性を露呈し、略奪の限りを尽くし、人心から遊離し、内部抗争を繰り返したために唐王朝滅亡に至らなかったのであろう。
 この詩のころは、安禄山は絶頂であり、中国全土に激震が走ったのだ。
 杜甫は、奉先、白水、三川と北上して逃避したのであるが、家族はさらに北上して鄭州羌村村まで逃避させたのである。
杜甫乱前後の図003鳳翔


晦日尋崔戢李封
(晦日 尋崔戢李封を尋ぬ)
正月のみそかに崔戢、及び李封をたずねた詩。製作時は天宝十五載正月であろうという。


晦日尋崔戢李封
朝光入甕牖,屍寢驚敞裘。起行視天宇,春氣漸和柔。
興來不暇懶,今晨梳我頭。出門無所待,徒步覺自由。』
杖藜複恣意,免值公與侯。晚定崔李交,會心真罕儔。
每過得酒傾,二宅可淹留。喜結仁裡歡,況因令節求。』

李生園欲荒,舊竹頗修修。引客看掃除,隨時成獻酬。
崔侯初筵色,已畏空尊愁。未知天下士,至性有此不?』
草牙既青出,蜂聲亦暖遊。思見農器陳,何當甲兵休?
上古葛天氏,不貽黃屋憂。至今阮籍等,熟醉為身謀。』

威鳳高其翔,長鯨吞九洲。地軸為之翻,百川皆亂流。
當歌欲一放,淚下恐莫收。濁醪有妙理,庶用慰沉浮。』


#1
貧乏家屋の丸い土窓に朝の日光がさしこんできた、死んだようにうつ伏せてねていたわたしは目をさましてやぶれた着物を着ているのに驚いた。
それから起きだして歩き始め空をよく眺めてみたのだ、もう春の気配がふわりとやわらかに感じられてくるようだ。
かく風流な趣向の気持ちがうごいてくるとぶしょうをやっている暇はない、きょうの朝は、いつもとちがって自分の頭髪をくしできれいにとかすのである。(友を訪問する用意をする)。
この家の門から出かけるに他人に借りてまで持っていくものは何もない、自分の足で歩くのは自由でぐあいがいいとおもう。』

あかぎの杖をつきつつゆくのもきままでいい。公だの侯だのという官僚連中にあう世話がないというものだ。
わたしは崔、李の二君とは最近知り合ったが、こんなに自分の心にぴったりあうことは真のことで類い稀なことである。
この二人を訪問するたびに酒を傾けることを得ている、この二人の家ならばながく逗留とするこができるのである。
二君のような「仁者の居る里」でたがいによろこびかわすことのできるのはとてもうれしいことなのだ、ましてきょうの訪問は正月の晦日という祝日にあたって訪ねられたのということがまことにうれしいのである。』

#2
李君はその小園が荒れかかっている、まえからある竹がよほどながくのび放題でおおわれている。
ふだんは庭そうじもしてないのだが客がきたというのでわたしを案内してくれながらみるみるうちに掃除をやっている、時の過ぎゆくままに差出したり、出されたり酒杯のやりとりをするわけだ。
崔君は酒筵の開けはじめたときからすでにその顔つきがあおざめている、すでに酒樽が空になりはせぬかときづかう様子なのである。
今の世間の人たちはここに勇士がいるとは知らない、ましてその至誠の性情というものがのこんなに有るということがかわからないだろう。』
草の芽はすでに青みが出している。蜂も飛び交う音をだして暖かさの中遊んでいる。
こんな春であるから耕作につかう農具がもちだされるのを見たいと思うのだ。いったいいつになったら甲胃や兵器など使う状況を止めることができるのだろう。
上古葛天氏の時代の人民は平和でいたものだ、今のように天子に謀叛を起して心配をかけるようなことはしなかった。
今ここでは阮籍の様な賢者たちといわれるものがいる、賢者は酒にのみ酔いどれて、天下のためにこの一身をいかにするのか良い工夫をするものなのだ。』

#3
鳳凰ともいえる威風の賢者は高くかけり去ってしまい、小魚を一気に飲みこむ長鯨のような悪人が九州を呑もうとしている。
大地を作り出す軸というものも之がためにひっくりかえってしまった、多くの運河や用水路はみなみだれて流れている。
自分は十分きままに一つ歌をうたおうとおもうが、うたいだしたら涙が垂れてきて止めることができなくなるほどになるかと恐れるのである。
こんな時だから、このにごり酒というやつはなんというふしぎな道理作用をもったものか、自分に涙を流させる思いを忘れさせる効果をもっている、願うことなら、自分はこの酒をのんでそれでもって我が身の浮き沈みの鬱憤をなぐさめることとしよう。』


#1
朝光嚢隙に入る 戸寝微衷に驚く
起行して天字を視る 春気漸く和柔なり
興来って媚なるに暇あらず 今最我が頭を杭る
門を出づるに待つ所無し 徒歩自由なるを覚ゆ』
杖葬復た意を窓にす 公と侯とに値うことを免る
晩に定む崖李の交り 会心兵に博学なり
過ぐる毎に酒を得て傾く 二宅掩留す可し
仁里の懐を結ぶことを喜ぶ 況や令節に因て求むるをや』
#2
李生園荒れんと欲す 旧竹頗る情情たり
客を引いて看るみる掃除す 時に随って献酬を成す
崖侯初産の色 己に茂る空将の愁あらんかと
未だ知らず天下の士 至性此有るや不や』
草芽既に青出す 蜂声亦暖遊す
農器の陳ぜらるるを見んと思う 何か当に甲兵休すべき
上古葛天の民 黄屋の憂を胎きず
今に至って院籍の等 熟酔身の謀を為す』
#3
威鳳高く其れ翔る 長鯨九州を呑む
地軸之が為めに翻り 百川皆乱流す
当歌一放せんと欲す 涙下りて恐らくは収むる莫らん
濁醒(だくりょう)妙理(みょうり)有り 庶(こいねがわ) くば 用て沈浮を慰せん』



○押韻  裘。柔。頭。由。』侯。儔。留。求。』
○押韻 修。酬。愁。不。/遊。休。憂。謀。
○押韻 洲。流。收。浮。

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