白水崔少府十九翁高齋三十韻 杜甫 125 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 121-#5



-#4
坐久風頗怒,晚來山更碧。
相對十丈蛟,欻翻盤渦坼。
何得空裡雷,殷殷尋地脈。
煙氛藹崷崒,魍魎森慘戚。
昆侖崆峒顛,回首如不隔。』

-#5
前軒頹反照,巉絕華嶽赤。
南の軒にたいして照り返しがすこし衰えてきた。非常にけわしくそびえる華嶽がまっかにみえている。
兵氣漲林巒,川光雜鋒鏑。
どこにいてもいくさの気配が林や小高い山にみなぎり、川の光は刀や槍の先、鋒鏑の光とまじり合うように感じるのである。
知是相公軍,鐵馬雲霧積。
それでなにがわかるのかというと哥舒翰相公の大軍勢がそのあたりに駐屯していて、鉄の防具をつけた馬がたくさんあっまって、雲霧の様に砂塵をおこしているのだということがわかるのである。
玉觴淡無味,胡羯豈強敵?
それを考えると手にするうるわしく飾った杯もさっぱり水くさくて味がない。まさか叛乱軍どもは強敵というのではないはずではないか(それがじっさいには強いのでどうしたのかという意)。
長歌激屋樑,淚下流衽席。』

我がうたう長歌は部屋内の梁にあたって勢いをまし、涙はくだって衣のつまやむしろ敷きに流れている。』

-#6
人生半哀樂,天地有順逆。
慨彼萬國夫,休明備徵狄。
猛將紛填委,廟謀蓄長策。
東郊何時開?帶甲且未釋。』
欲告清宴罷,難拒幽明迫。
三嘆酒食旁,何由似平昔!』


-#4
坐久しくして風頗る怒る 晩来山更に碧なり
相対す十丈の校 数ち盤渦を和えして塀く
何ぞ得ん空裏の雷 殿殿として地腺を尋ぬるを
煙気高として酋奉 魅魅森として惨戚
良禽畦桐の巌 首を回らせば隔たらざるが如し』

-5

前軒反照怒る 唆絶華嶽赤し、

兵気林轡に斬る 川光鋒鏑に雑わる

知る是れ相公の軍 傲馬雲霧積めることを

玉腸淡として味無し 胡掲豊に強敵ならんや

長歌屋梁に激す 涙下って裡席に流る』

-#6
人生哀楽半ばなり 天地順逆有り
慨す彼の万国の夫 休明には征秋に備えしを
猛将紛として墳委す 廟謀長策を蓄う
東郊何の時か開けん 帯甲且未だ釈けず』
宴の罷むを告げんと欲す 幽明の迫るを拒み難し
歎す酒食の傍 何に由ってか平昔に似ん』



白水崔少府十九翁高齋三十韻 現代語訳と訳註 -#5
(本文) -#5

前軒頹反照,巉絕華嶽赤。
兵氣漲林巒,川光雜鋒鏑。
知是相公軍,鐵馬雲霧積。
玉觴淡無味,胡羯豈強敵?
長歌激屋樑,淚下流衽席。』

(下し文) -#5
前軒反照怒る 唆絶華嶽赤し、
兵気林轡に斬る 川光鋒鏑に雑わる
知る是れ相公の軍 傲馬雲霧積めることを
玉腸淡として味無し 胡掲豊に強敵ならんや
長歌屋梁に激す 涙下って裡席に流る』

(現代語訳)
南の軒にたいして照り返しがすこし衰えてきた。非常にけわしくそびえる華嶽がまっかにみえている。
どこにいてもいくさの気配が林や小高い山にみなぎり、川の光は刀や槍の先、鋒鏑の光とまじり合うように感じるのである。
それでなにがわかるのかというと哥舒翰相公の大軍勢がそのあたりに駐屯していて、鉄の防具をつけた馬がたくさんあっまって、雲霧の様に砂塵をおこしているのだということがわかるのである。
それを考えると手にするうるわしく飾った杯もさっぱり水くさくて味がない。まさか叛乱軍どもは強敵というのではないはずではないか(それがじっさいには強いのでどうしたのかという意)。
我がうたう長歌は部屋内の梁にあたって勢いをまし、涙はくだって衣のつまやむしろ敷きに流れている。』


(語訳と訳註)
-#5
(之より唐王朝に関して情勢の見方、考え方について述べている。)
前軒頹反照,巉絕華嶽赤。
南の軒にたいして照り返しがすこし衰えてきた。非常にけわしくそびえる華嶽がまっかにみえている。
前軒 南面ののきば。○頹反照 夕陽のてりかえしがおとろえてきたことをいう。○巉絕 非常にけわしくそびえる。○華嶽  狭西省華陰県。中国五山のひとつ。西嶽華山標高1997メートル、南は秦嶺に連なっている。白水からは南方にみえる。
長安黄河
 
兵氣漲林巒,川光雜鋒鏑。
どこにいてもいくさの気配が林や小高い山にみなぎり、川の光は刀や槍の先、鋒鏑の光とまじり合うように感じるのである。
兵気 いくさの気。林巒 林や小高い山。○雑鋒鏑 鋒は刃のほさき、鏑は矢のかぶら、これは鋒鏑の光をいう、雑とは川の水の光と鋒鏑の光とがいりまじること。


知是相公軍,鐵馬雲霧積。
それでなにがわかるのかというと哥舒翰相公の大軍勢がそのあたりに駐屯していて、鉄の防具をつけた馬がたくさんあっまって、雲霧の様に砂塵をおこしているのだということがわかるのである。
相公軍 相公は宰相の職にある哥舒翰をさす。安禄山の反するや翰を以て太子先鋒兵馬元帥となし、明年(天宝十五載)正月、尚書左僕射・同中書門下平章事に進位した。時に翰は二十万の兵を統べて潼関を守った。潼関は華州の東にあり、長安から東流してきた渭水と、何流してきた黄河が直角に折れて東流する。その折れ曲がるところで渭水と合流する。この地点から流れが急流になるので軍事上重要地点なのだ。○鉄馬 鉄の防具をつけた馬。○雲霧横 雲霧の如く堆積する、多くあつまることをいう。


玉觴淡無味,胡羯豈強敵?
それを考えると手にするうるわしく飾った杯もさっぱり水くさくて味がない。まさか叛乱軍どもは強敵というのではないはずではないか(それがじっさいには強いのでどうしたのかという意)。
玉觴 主人が自己にだしてくれたさかずきをいう、玉とはうるわしく飾っていう。○胡掲 えびす、安禄山の叛乱軍をいう。
 
長歌激屋樑,淚下流衽席。』
我がうたう長歌は部屋内の梁にあたって勢いをまし、涙はくだって衣のつまやむしろ敷きに流れている。』
長歌 声をひいてうたううた。○屋梁 部屋に出ている梁のこと。○衽席 衣のつま及びむしろ。