彭衙行 杜甫 132 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 132 -#1
(ほうがこう)
作時 757年(756年の逃避行を懐臆して作ったもの)


五言古詩「彭衙行」(ほうがこう)は756年彭衙の地を過ぎたことを追憶して作った詩(757年)である。彭衙は漢代の県の名、陝西省同州府白水県の東北六十里にあり、白水に同家窪(どうかあ)があり、孫宰というもの(杜詩の中に孫宰、王宰などという宰はその人の名であるのか、邑の長をいうものであるかは判明しない)が其の地に居た。作者が前年鄜州に赴き更に蘆子関を経て、霊武に達しょうとしたとき、思いもかけず白水を経て孫宰の厚遇を受けた。今年(至徳二載秋)鄜州の家を見舞うにあたって白水の西を過ぎてしかも孫を訪ることができなかったので往事を追懐して此の篇を作った。幼児らを連れて夜の山道を徒歩でゆく逃避行は困難を極めた。

#1
憶昔避賊初,北走經險艱。
今も一年間のことを思い出す、叛乱軍を避けながら更に北に向って走って嶮しく困難な場所を経過した。
夜深彭衙道,月照白水山。』
深夜、彭衙への道を進んだ、白水の山々を月が照らしていた。』
盡室久徒步,逢人多厚顏。
自分たちは一家内そろってながく徒歩で進んだ。家族そろって逃げ出せた人が稀なので他の人にであえばあつかましい様なきもちがした。
參差穀鳥吟,不見遊子還。
谷間の鳥はたがいちがいに飛び交い鳴いている、しかし、人間はだれも行き違うものはなく 旅人が家路へもどってくる様なものはまったく見うけないのだった。
癡女饑咬我,啼畏虎狼聞。
知恵はのゆかない娘は腹がへったといってわたしにかじりついてくる。こんどは泣いては虎や狼の声が聞こえるといって怖がる。
懷中掩其口,反側聲愈嗔。
泣きじゃくるので、私の胸に抱き寄せ泣いている口をおおうことをしてみた、身を反っくり返り、かえって泣き声が大きくなったのだ。
小兒強解事,故索苦李餐。』

また小児はいろんなことが分かってきたがまだ半わかりではある、わざと、早生のまだ苦いような李をねだってたべたりした。』

#2
一旬半雷雨,泥濘相牽攀。既無禦雨備,徑滑衣又寒。
有時經契闊,竟日數裡間。野果充 ?糧,卑枝成屋椽。
早行石上水,暮宿天邊煙。』
#3
少留同家窪,欲出蘆子關。故人有孫宰,高義薄曾雲。
延客已曛黑,張燈啟重門。暖湯濯我足,剪紙招我魂。』
#4
從此出妻孥,相視涕闌幹。眾雛爛熳睡,喚起沾盤飧。
誓將與夫子,永結為弟昆。遂空所坐堂,安居奉我歡。
誰肯艱難際,豁達露心肝。』
別來歲月周,胡羯仍構患。何時有翅翎,飛去墮爾前?』


杜甫乱前後の図003鳳翔


天宝十五載 756年 45歳
彭衙行

#1
憶昔避賊初,北走經險艱。夜深彭衙道,月照白水山。』
盡室久徒步,逢人多厚顏。參差穀鳥吟,不見遊子還。
癡女饑咬我,啼畏虎狼聞。懷中掩其口,反側聲愈嗔。
小兒強解事,故索苦李餐。』

憶(おも)う  昔  賊を避けし初め、北に走って険難(けんなん)を経(へ)たり。
夜は深し  彭衙(ほうが)の道、月は照る  白水(はくすい)の山。
室(しつ)を尽くして久しく徒歩す、人に逢えば厚顔(こうがん)多し。
参差(しんし)として谷鳥(こくちょう)鳴き、遊子(ゆうし)還(かえ)るを見ず。
痴女(ちじょ)は飢(う)えて我れを咬(か)み、啼(な)いて畏(おそ)る  虎狼(ころう)の聞ゆるを。
中(うち)に懐(いだ)いて其の口を掩(おお)えば、反側(はんそく)して声愈々(いよいよ)嗔(いか)る。
小児(しょうに)は強(し)いて事を解し、故(ことさ)らに苦李(くり)を索(もと)めて餐(くら)う。』



彭衙行 #1 現代語訳と訳註
(本文) #1
憶昔避賊初,北走經險艱。夜深彭衙道,月照白水山。』
盡室久徒步,逢人多厚顏。參差穀鳥吟,不見遊子還。
癡女饑咬我,啼畏虎狼聞。懷中掩其口,反側聲愈嗔。
小兒強解事,故索苦李餐。』

艱。艱。顏。還。聞。聞。聞。


(下し文)
憶(おも)う  昔  賊を避けし初め、北に走って険難(けんなん)を経(へ)たり。
夜は深し  彭衙(ほうが)の道、月は照る  白水(はくすい)の山。
室(しつ)を尽くして久しく徒歩す、人に逢えば厚顔(こうがん)多し。
参差(しんし)として谷鳥(こくちょう)鳴き、遊子(ゆうし)還(かえ)るを見ず。
痴女(ちじょ)は飢(う)えて我れを咬(か)み、啼(な)いて畏(おそ)る  虎狼(ころう)の聞ゆるを。
中(うち)に懐(いだ)いて其の口を掩(おお)えば、反側(はんそく)して声愈々(いよいよ)嗔(いか)る。
小児(しょうに)は強(し)いて事を解し、故(ことさ)らに苦李(くり)を索(もと)めて餐(くら)う。』


(現代語訳)
今も一年間のことを思い出す、叛乱軍を避けながら更に北に向って走って嶮しく困難な場所を経過した。
深夜、彭衙への道を進んだ、白水の山々を月が照らしていた。』
自分たちは一家内そろってながく徒歩で進んだ。家族そろって逃げ出せた人が稀なので他の人にであえばあつかましい様なきもちがした。
谷間の鳥はたがいちがいに飛び交い鳴いている、しかし、人間はだれも行き違うものはなく 旅人が家路へもどってくる様なものはまったく見うけないのだった。
知恵はのゆかない娘は腹がへったといってわたしにかじりついてくる。こんどは泣いては虎や狼の声が聞こえるといって怖がる。
泣きじゃくるので、私の胸に抱き寄せ泣いている口をおおうことをしてみた、身を反っくり返り、かえって泣き声が大きくなったのだ。
また小児はいろんなことが分かってきたがまだ半わかりではある、わざと、早生のまだ苦いような李をねだってたべたりした。』



 (訳注)#1
憶昔避賊初,北走經險艱。

今も一年間のことを思い出す、叛乱軍を避けながら更に北に向って走って嶮しく困難な場所を経過した。
億昔 昔とは前年756年至徳元載をさす。○避賊初 奉先より白水に行ったことをいう。
 
夜深彭衙道,月照白水山。』
深夜、彭衙への道を進んだ、白水の山々を月が照らしていた。』
彭衙 陝西省同州府白水県、長安より東北六十里。〇白水 上に同じ。


盡室久徒步,逢人多厚顏。
わたしたちは一家内そろってながく徒歩で進んだ。家族そろって逃げ出せた人が稀なので他の人にであえばあつかましい様なきもちがした。
尽室 全家こぞって。○多厚顔 厚顔は面皮のあついこと、恥を知らぬさま。世が乱れて家族の離散するものが多い時に自己のみ全家そろって旅をしつつあることを心にはじ謙遜してかくいう。


參差穀鳥吟,不見遊子還。
谷間の鳥はたがいちがいに飛び交い鳴いている、しかし、人間はだれも行き違うものはなく 旅人が家路へもどってくる様なものはまったく見うけないのだった。
参差 たがいちがいに飛び交うさま。○遊子一般の行旅の人をさす。


癡女饑咬我,啼畏虎狼聞。
知恵はのゆかない娘は腹がへったといってわたしにかじりついてくる。こんどは泣いては虎や狼の声が聞こえるといって怖がる。
癡女 癡は痴で知恵はのゆかないむすめ。頭のぼんやりして鈍い。○ かじりつく。


懷中掩其口,反側聲愈嗔。
泣きじゃくるので、私の胸に抱き寄せ泣いている口をおおうことをしてみた、身を反っくり返り、かえって泣き声が大きくなったのだ。
懐中 胸の内にだきこむ。○其口 むすめの口。○反側 あちらへ向きかえる。


小兒強解事,故索苦李餐。』
また小児はいろんなことが分かってきたがまだ半わかりではある、わざと、早生のまだ苦いような李をねだってたべたりした。』
強解事 半わかりのこと、わかっていぬくせにわかったとする。○ わざと。○苦李 早生の 苦い李。


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