月夜」と家族の考え方の考察(研究)
 1.なぜ「長安の月」ではなく「鄜州の月」なのか
 2. 九月九日憶山東兄弟  王維

 1.なぜ「長安の月」ではなく「鄜州の月」なのか
月夜 杜甫  kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 144
 2. 九月九日憶山東兄弟  王維
    ー 杜甫『月夜』の理解を深めるために ー
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3. 除夜作  高適
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 4.八月十五日夜禁中独直対月憶元九   白居易
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 5. 夜雨寄北 李商隠
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 6.李白の詩
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 7.杜甫の彭衙行(ほうがこう)自京赴奉先縣詠懷五百字遺興
7.月夜 と家族を詠う詩について 杜甫  kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 150


 8. 「月夜」子供に対する「北征」の詩に、淋前の南中女

9.763年 蜀の乱を避けて「蜀中転々」の時期に、江南の地に移住しようと思っていたころ、自分と家族のことを考えている中で旅の空のもと自然を詠う秀作。

695 《倦夜〔倦秋夜〕》 蜀中転々 杜甫 <602  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3320 杜甫詩1000-602-858/1500



月夜 杜甫  kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 144

月夜
今夜鄜州月、閨中只独看。
今夜も月が出ている鄜州での月は、閏の中で我が妻がただひとりみているだろう。
遥憐小児女、未解憶長安。
私からはこんなはるかなところからいたいけない子供たちのことを思いを遣っている、しかしその子どもたちはこの私のいる長安を憶うことなどは知らないのである。
香霧雲鬟湿、清輝玉臂寒。
二人で過ごした室には香霧がこめ、雲の髪型もうるおいが生じる、清々しい月のひかり輝いて妻のうなじに、影を落としている、美しい姿もつめたく感じていることであろう。
何時倚虚幌、双照涙痕乾。
いつになったらゆめまぼろしにある妻との閨ととばりの生活、二人そろって月光に照らされて涙のあとなど全くない暮らしができるのだろうか。


今夜  鄜州(ふしゅう)の月、閨中(けいちゅう)  只だ独り看(み)るらん。
遥かに憐(あわ)れむ小児女(しょうじじょ)の、未(いま)だ長安を憶(おも)うを解(かい)せざるを。
香霧(こうむ)に雲鬟(うんかん)湿(うるお)い、清輝(せいき)に玉臂(ぎょくひ)寒からん。
何(いず)れの時か虚幌(きょこう)に倚(よ)り、双(とも)に照らされて涙痕(るいこん)乾かん。

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月夜 現代語訳と訳註
(本文)
今夜鄜州月、閨中只独看。
遥憐小児女、未解憶長安。
香霧雲鬟湿、清輝玉臂寒。
何時倚虚幌、双照涙痕乾。

(下し文)
今夜  鄜州(ふしゅう)の月、閨中(けいちゅう)  只だ独り看(み)るらん。
遥かに憐(あわ)れむ小児女(しょうじじょ)の、未(いま)だ長安を憶(おも)うを解(かい)せざるを。
香霧(こうむ)に雲鬟(うんかん)湿(うるお)い、清輝(せいき)に玉臂(ぎょくひ)寒からん。
何(いず)れの時か虚幌(きょこう)に倚(よ)り、双(とも)に照らされて涙痕(るいこん)乾かん。

(現代語訳)
今夜も月が出ている鄜州での月は、閏の中で我が妻がただひとりみているだろう。
私からはこんなはるかなところからいたいけない子供たちのことを思いを遣っている、しかしその子どもたちはこの私のいる長安を憶うことなどは知らないのである。
二人で過ごした室には香霧がこめ、雲の髪型もうるおいが生じる、清々しい月のひかり輝いて妻のうなじに、影を落としている、美しい姿もつめたく感じていることであろう。
いつになったらゆめまぼろしにある妻との閨ととばりの生活、二人そろって月光に照らされて涙のあとなど全くない暮らしができるのだろうか。

(訳注)
今夜鄜州月、閨中只独看。
今夜も月が出ている鄜州での月は、閏の中で我が妻がただひとりみているだろう。
鄜州 西安府の直北に位する、妻子のいる所。○閏中 夫人のねやのうち。○ 夫人がみる。

遥憐小児女、未解憶長安。
私からはこんなはるかなところからいたいけない子供たちのことを思いを遣っている、しかしその子どもたちはこの私のいる長安を憶うことなどは知らないのである。
○憐 杜甫があわれむこと。○児女 こどもたち。○未解 解は人を思いやることをいう、幼小なので知識がとどかない。〇憶長安 長安におる父である自分をおもう。中国人にとっては自分がおうっていることより自分のことを思ってくれるというのが基本的な考えである。白居易「八月十五夜禁中獨直月夜憶元九」、高適「除夜作」、王維「九月九日憶山東弟」など多くある。

香霧雲鬟湿、清輝玉臂寒。
二人で過ごした室には香霧がこめ、雲の髪型もうるおいが生じる、清々しい月のひかり輝いて妻のうなじに、影を落としている、美しい姿もつめたく感じていることであろう。
香霧 秋の夜のきり、夫人の室であるから香という。これまでの秋に閨から月を香を焚いて夫婦で眺めていたのだろう。これまでのことを踏まえて、予測するのである。○雲鬟 雲形の髪型。○清輝 すがすがしい月のぴかり照らすさま。○玉臂 夫人のうつくしいくびすじ、うなじ。うつくしい肢体のこと。

何時倚虚幌、双照涙痕乾。
いつになったらゆめまぼろしにある妻との閨ととばりの生活、二人そろって月光に照らされて涙のあとなど全くない暮らしができるのだろうか。
 よりそう。○虚幌 虚はゆめまぼろしにある妻との生活をいう。幌は閨のとばり、うす絹のこと。○双照 夫婦二人で照らされる。○涙痕乾 乾は湿の反対。


「月夜」 解説編につづく。