得舎弟消息二首 杜甫 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 160
得舎弟消息二首(舎弟の消息を得たり二首)。安禄山が反乱を起こして、洛陽近郊にいた実弟の消息だけが分かって、詠ったものである。杜甫は叛乱軍に軟禁されており、互いに詳しいことは、云えなかったものである。
  
得舎弟消息二首 其一
近有平陰信,遙憐舍弟存。
ちかごろ平陰からの弟からの音信があった、洛陽は一番心配な叛乱軍の本拠地だ、実弟がまだ生きのこっていたことを遙々気の毒に思うのである。
側身千裡道,寄食一家村。
叛乱軍の中でいることは遙か干里の道に身を片寄せて歩いてたのだ、そして人家稀少の村で他人の所に寄寓して食する身となっているのだ。
烽舉新酣戰,啼垂舊血痕。
このはげしい戦は最近始まり、いまだに烽火はあがっている。私の啼き顔には昔ながらの血涙の痕がたれていて、こうなることを心配していたのだ。
不知臨老日,招得幾時魂。

私は老いにさしかかってこんな日々を過ごすなんて思いもしなかった。いつの日に実弟の魂を招きかえすことができるのであろうか。(お互いに逢えるときがこなくて死んでしまうかもしれない。)



近ごろ平陰の信有り、遙かに憐む舎弟の存するを。

身を側(そばだ)つ干里の道、食を寄す一家の邨(むら)

蜂は挙る新酣戦、啼は垂る旧血痕。

知らず臨老(りんろう)の日、幾時の魂をか招き得ん



得舎弟消息二首 現代語訳と訳註
(本文) 其一

近有平陰信,遙憐舍弟存。
側身千裡道,寄食一家村。
烽舉新酣戰,啼垂舊血痕。
不知臨老日,招得幾時魂。

(下し文) 其の一
近ごろ平陰の信有り、遙かに憐む舎弟の存するを。
身を側(そばだ)つ干里の道、食を寄す一家の邨(むら)。
蜂は挙る新酣戦、啼は垂る旧血痕。
知らず臨老(りんろう)の日、幾時の魂をか招き得ん


(現代語訳)
ちかごろ平陰からの弟からの音信があった、洛陽は一番心配な叛乱軍の本拠地だ、実弟がまだ生きのこっていたことを遙々気の毒に思うのである。
叛乱軍の中でいることは遙か干里の道に身を片寄せて歩いてたのだ、そして人家稀少の村で他人の所に寄寓して食する身となっているのだ。
このはげしい戦は最近始まり、いまだに烽火はあがっている。私の啼き顔には昔ながらの血涙の痕がたれていて、こうなることを心配していたのだ。
私は老いにさしかかってこんな日々を過ごすなんて思いもしなかった。いつの日に実弟の魂を招きかえすことができるのであろうか。(お互いに逢えるときがこなくて死んでしまうかもしれない。)


(訳注)
近有平陰信、逢憐舎弟存。

ちかごろ平陰からの弟からの音信があった、洛陽は一番心配な叛乱軍の本拠地だ、実弟がまだ生きのこっていたことを遙々気の毒に思うのである。
○平陰 河南の平陰平陰は河甫府孟津県の東にあり、これにより弟は東京(洛陽)附近の某処にあったものと推定される。○舎弟 実弟。○ 生存する。


側身千里道、寄食一家邨。
叛乱軍の中でいることは遙か干里の道に身を片寄せて歩いてたのだ、そして人家稀少の村で他人の所に寄寓して食する身となっているのだ。
側身 側とは危害にあわぬようわきへよってあるくことをいう。○寄食 他人の所に寄寓して食す。○一家邨 僻村、人家稀少の村。


烽舉新酣戰,啼垂舊血痕。
このはげしい戦は最近始まり、いまだに烽火はあがっている。私の啼き顔には昔ながらの血涙の痕がたれていて、こうなることを心配していたのだ。
新酣戦 あたらしい戦のさかり。O啼垂 啼くときにたれる。○ 血の涙をいう。ここは、遡ること李林甫の昔から、自分は何か起こると血の涙を流していた、安禄山の叛乱は起こるべくして起こったのだ。


不知臨老日,招得幾時魂。
私は老いにさしかかってこんな日々を過ごすなんて思いもしなかった。いつの日に実弟の魂を招きかえすことができるのであろうか。(お互いに逢えるときがこなくて死んでしまうかもしれない。)
臨老 老いにさしかかる。○ 時と同じ。ここでは叛乱によって家族と別れ別れになっていること、反乱軍に束縛されていることの日々。○招魂 生きている人(弟をさす)の魂をよびもどす。○幾時 何の時と同じ。


 
 
杜甫は弟の消息について詠うのは、杜甫自身の生活の安定しているときはない。不安定な時に作詩している。