送從弟亞赴河西判官 #2 杜甫 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 184
いとこの杜亜が河西節度使の判官となって赴任するのを送る詩である。製作時は至徳二載の夏、鳳翔にあって作る。
至徳二載 757年 46歳


送從弟亞赴河西判官
#1
南風作秋聲,殺氣薄炎熾。盛夏鷹隼擊,時危異人至。』
令弟草中來,蒼然請論事。詔書引上殿,奮舌動天意。
兵法五十家,爾腹為篋笥。應對如轉丸,疏通略文字。
經綸皆新語,足以正神器。』#1
#2
宗廟尚為灰,君臣俱下淚。
今、叛乱軍によって宗廟は焼かれてまだ灰になってしまった、天子の臣下のものはみんなともに涙を流しているのだ。
崆峒地無軸,青海天軒輊。
行在所のある鳳翔はその背後に崆峒の地方があり、その地の生産性を支える軸無く、青海の地方は天さえあがった砂漠のようで行在所の先行きに不安をぬぐえないのである。
西極最瘡痍,連山暗烽燧。』
この西極の地は叛乱軍と野盗・盗賊入り混じって、最も刃傷をうけたものが多いのだ、そのため山々に昼夜とものろし火があがり世情を暗くとざしている。』
帝曰大布衣,藉卿佐元帥。
そういう不安地方に対して天子は君の策論をお聞きになるや、「一平民なる大人物よ、そなたに依頼して元帥の輔佐となることを命ずる。」とおおせられた。
坐看清流沙,所以子奉使。
君が河西の方へ使命を奉じてゆくその地を次第に、徐々に流沙の地方の戦塵を掃い清めてほしいのだ、このことをするため、判官として赴く君をみまもっているのである。
歸當再前席,適遠非歷試。
君が他日こちらへもどって来るときは天子は君の話に集中して座席の前へ身を前のめりになられることは予期されるが、今は君遠くへ赴任することになったのは、一々諸役を経て能力を試験されるのではない突然の大抜擢なのだ。
須存武威郡,為畫長久利。』
#2
君は赴任先の武威郡を朝廷の手に保存しぬくことだ、どうしても我が国家のために永遠の利益をはからねばならないのだ。』

#3
孤峰石戴驛,快馬金纏轡。黃羊飫不羶,蘆酒多還醉。
踴躍常人情,慘澹苦士誌。安邊敵何有,反正計始遂。』
吾聞駕鼓車,不合用騏驥。龍吟回其頭,夾輔待所致。』#3


従弟亜が河西判官に赴くを送る
#1
南風秋声を作す、 殺気炎の熾なるに薄る。
盛夏鷹隼撃つ、 時危くして異人至る』
令弟草中より来る、 蒼然事を論ぜんと請う
詔書引いて殿に上らしむ、 舌を奮って天意を動かす
兵法五十家、 繭が腹筐笥為り
応対転丸の如く、 疎通文字を略す
経輪皆新語、 以て神器を正しくするに足れり』
#2
宗廟尚灰と為る、 君臣倶に涙を下す
崆峒地軸無く、 青海天軒輊す
西極最も瘡痍あり 連山烽燧暗し』
帝日く大布衣、 卿に藉りて元帥に佐たらしむと
坐ろに流沙を清むるを看ん、 子が使を奉ずる所以
帰らば当に再び席を前むべし、 遠きに適くは歴試するに非ず。
須らく武威郡を存し、 為めに長久の利を画すべし。』
#3
孤峰 石 駅を戴き、 快馬 金 轡を纏う。
黄羊飫けども羶ならず 蘆酒多ければ還た酔う
踴躍するは常人の情なり、 惨澹たるは苦士の志なり。
辺を安んずる敵何か有らん、 正に反えす計始めて遂げ
ん。』
吾聞く鼓車に駕するには、 騏驥を用う合らずと。
竜吟 其の頭を廻らさん、 爽輔致す所を待つ。』

鳥居(1)

送從弟亞赴河西判官 #2 現代語訳と訳註
(本文) #2

宗廟尚為灰,君臣俱下淚。
崆峒地無軸,青海天軒輊。
西極最瘡痍,連山暗烽燧。』
帝曰大布衣,藉卿佐元帥。
坐看清流沙,所以子奉使。
歸當再前席,適遠非歷試。
須存武威郡,為畫長久利。』


(下し文) #2
宗廟尚灰と為る、 君臣倶に涙を下す
崆峒地軸無く、 青海天軒輊す
西極最も瘡痍あり 連山烽燧暗し』
帝日く大布衣、 卿に藉りて元帥に佐たらしむと
坐ろに流沙を清むるを看ん、 子が使を奉ずる所以
帰らば当に再び席を前むべし、 遠きに適くは歴試するに非ず。
須らく武威郡を存し、 為めに長久の利を画すべし。』


(現代語訳) #2
今、叛乱軍によって宗廟は焼かれてまだ灰になってしまった、天子の臣下のものはみんなともに涙を流しているのだ。
行在所のある鳳翔はその背後に崆峒の地方があり、その地の生産性を支える軸無く、青海の地方は天さえあがった砂漠のようで行在所の先行きに不安をぬぐえないのである。
この西極の地は叛乱軍と野盗・盗賊入り混じって、最も刃傷をうけたものが多いのだ、そのため山々に昼夜とものろし火があがり世情を暗くとざしている。』
そういう不安地方に対して天子は君の策論をお聞きになるや、「一平民なる大人物よ、そなたに依頼して元帥の輔佐となることを命ずる。」とおおせられた。
君が河西の方へ使命を奉じてゆくその地を次第に、徐々に流沙の地方の戦塵を掃い清めてほしいのだ、このことをするため、判官として赴く君をみまもっているのである。
君が他日こちらへもどって来るときは天子は君の話に集中して座席の前へ身を前のめりになられることは予期されるが、今は君遠くへ赴任することになったのは、一々諸役を経て能力を試験されるのではない突然の大抜擢なのだ。
君は赴任先の武威郡を朝廷の手に保存しぬくことだ、どうしても我が国家のために永遠の利益をはからねばならないのだ。』


(訳注) #2
宗廟尚為灰,君臣俱下淚。
今、叛乱軍によって宗廟は焼かれてまだ灰になってしまった、天子の臣下のものはみんなともに涙を流しているのだ。
宗廟 唐の天子の行政殿。○為灰  叛乱軍にやかれたこと。


崆峒地無軸,青海天軒輊。
行在所のある鳳翔はその背後に崆峒の地方があり、その地の生産性を支える軸無く、青海の地方は天さえあがった砂漠のようで行在所の先行きに不安をぬぐえないのである。
崆峒 山名、臨挑(甘粛省鞏昌府岷州にある山の名。(涇水の水源の山。崑崙山、崆峒山、渭水を挟んで左右に聳える山であるが、ともに仙人の居る山。朝廷、皇居を意味するもの。○地無軸 張華の「博物志」に、地下に四柱、三千六百の軸があって互に牽引しあっている。その軸とは柱をささえるためのものとみえる。○青海 甘粛の西、新藩の東部。崆峒、青海はともに河西節度の統べる所。○天軒輊 軒は車の前部が地について後部があがること、輊とは車の後部が地について前部があがること。即ち上下低昂させることをいう、天があがったり、さがったりするとは位置の不安定なことをいう。
 
西極最瘡痍,連山暗烽燧。』
この西極の地は叛乱軍と野盗・盗賊入り混じって、最も刃傷をうけたものが多いのだ、そのため山々に昼夜とものろし火があがり世情を暗くとざしている。』
西極 西方のはて、河西の地をさす。○瘡痍 きりきず。野党盗賊が多くいて、無政府の部分があったことを示す。○烽燧 昼の狼煙を烽、夜のものを燧という。昼も夜も戦いを強いられた。無政府状態の不安定さを示す。


帝曰大布衣,藉卿佐元帥。
そういう不安地方に対して天子は君の策論をお聞きになるや、「一平民なる大人物よ、そなたに依頼して元帥の輔佐となることを命ずる。」とおおせられた。
 粛宗。○大布衣 布衣とは無官のものをいう、大は称讃していう。杜亜をさす。○ 依頼する。○ おまえ、亜をさす。○ 輔佐の役とする、判官となすことをいう。○元帥 軍務の長官、杜鴻漸をさす。


坐看清流沙,所以子奉使。
君が河西の方へ使命を奉じてゆくその地を次第に、徐々に流沙の地方の戦塵を掃い清めてほしいのだ、このことをするため、判官として赴く君をみまもっているのである。
坐看 そぞろに看んとす、そのうちにさようになるであろう。○ 兵塵のけがれをきよめる。○流沙 新疆の東部、羅布啅爾湖の地方、武威の西北にあたる。○所以 わけ。○ 亜をさす。○奉使 天子の使命を奉ずる、判官として赴くことをいう。○ 天子の御居所へかえる。


歸當再前席,適遠非歷試。
君が他日こちらへもどって来るときは天子は君の話に集中して座席の前へ身を前のめりになられることは予期されるが、今は君遠くへ赴任することになったのは、一々諸役を経て能力を試験されるのではない突然の大抜擢なのだ。
再前席 前席は話に夢中になり座席の前方へと体をのりだすこと。漢の文帝のとき、賈誼が長沙の地よりよびかえされ、一夜鬼神のことを論じたときに文帝は「座を前のめり」になったとの故事がある。再とは亜の今回の論事に粛宗が席を前にのりだしためたことを想像していう。賈誼については、賈生 李商隠:紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 64参照。○適遠 遠地にゆく。判官となり、武威にゆくことをいう。○非歴試 歴試とは舜の故事、いろいろの瓢難の場合を一々へて経験すること。歴試に非らずとは抜擢され、一挙にして此の官に任ぜられたことをいう。



須存武威郡,為畫長久利。』#2
君は赴任先の武威郡を朝廷の手に保存しぬくことだ、どうしても我が国家のために永遠の利益をはからねばならないのだ。』
○存 我が手に保存すること、敵にとられぬようにすることをいう。○為画 国家のためにはかる。○長久利 永遠の利益。

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