送楊六判官使西蕃 #2 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 198


送楊六判官使西蕃
楊某が判官として吐蕃国に使いにゆくのを送る。製作時は至徳二載の秋。なお長安をとりかえさなかった時。
2回分割の2回目。

○ 757年9月,ウ イグルの磨 延畷可汗は太子 の葉護 を筆頭に,将 軍の帝徳らに4000余 騎(旧 唐書 ・安禄山伝では3000騎)を率いさせて唐に派遣.粛宗は喜び,宴会を催し,元帥の広平王・淑(後の代宗)に命じて葉護と兄弟の契りを結ばせる.


○  蕃漢15万にふくれあがった唐軍は,広平王・淑 を総帥とし,鳳翔を出発.扶風でウイグル軍を出迎えた郭子儀は,3日 間の大宴会で接待.以 後,ウイグル軍には食料として毎日,羊200匹,牛20頭,米40石 が支給さる.


送楊六判官使西蕃
送遠秋風落,西徵海氣寒。帝京氛浸滿,人世別離難。」
絕域遙懷怒,和親願結歡。敕書憐贊普,兵甲望長安。
宣命前程急,惟良待士寬。子雲清自守,今日起為官。』-#1
垂淚方投筆,傷時即據鞍。
あなたは西方に使者に立つ故事にならって、涙をながし、筆を投じてたちあがり、国制が乱れた時すぐさま馬鞍につかまっていったのだ。
儒衣山鳥怪,漢節野童看。
あなたの儒衣のすがたから発する気は山の鳥も不思議がるであろう。あなたの一行の使者の旗印をば野らで遊ぶ子どもたちは目を見張っていることだろう。
邊酒排金盞,夷歌捧玉盤。
目指したところへ着いたら、辺境の地酒で金のお椀型の盃でむかえられた、西方の異民族のうたをうたってくれ、玉盤のお皿満載の御馳走をささげだしてくれる。
草肥蕃馬健,雪重拂廬乾。」
草原は肥沃で昔から大宛名国の名馬として彼の地の馬は健に育っている、雪は幾重にもかさなっている、集合住まいの大テントは乾燥している。』
慎爾參籌畫,從茲正羽翰。
あなたは慎重にこのたびの使者としてのはかりごとに参画した、今から鳥が羽翼、大羽を整えただしくするように役目をはたすことなのだ。
歸來權可取,九萬一朝摶。』-
#2
そうすれば帰ってきたときは権勢の地位を取るようになる、それは九万里の大空も一朝にして羽うってのぼることができるのだ。

(楊六判官が 西蕃に使するを送る)#1
遠きを送れば秋風落つ 西征海気寒し
帝京気頑満つ 人世別離難し』
絶域迄に怒を懐く 和親して歓を結ぽんことを願う
勅書賛普が 兵甲長安を望むことを憐む
宣命前程急に 惟良士を待つ寛なり
子雲清く自ら守る 今日起って官と為る』
#2
涙を垂れて万に筆を投ず 時を傷みて即ち鞍に拠る
儒衣山鳥怪み 漢節野童看る
辺酒金怨を排し 夷歌玉盤を捧ぐ
草肥えて蕃馬健に 雪重くして払渡乾く』
慎みて爾書画に参し 玄従り羽翰を正しくせよ
帰り来らば権取る可し 九万一朝にして摶たん』

kairo10682


現代語訳と訳註
(本文) -#2

垂淚方投筆,傷時即據鞍。儒衣山鳥怪,漢節野童看。
邊酒排金盞,夷歌捧玉盤。草肥蕃馬健,雪重拂廬乾。」
慎爾參籌畫,從茲正羽翰。歸來權可取,九萬一朝摶。』


(下し文)
涙を垂れて万に筆を投ず 時を傷みて即ち鞍に拠る
儒衣山鳥怪み 漢節野童看る
辺酒金怨を排し 夷歌玉盤を捧ぐ
草肥えて蕃馬健に 雪重くして払渡乾く』
慎みて爾書画に参し 茲れ從り羽翰を正しくせよ
帰り来らば権取る可し 九万一朝にして摶たん』


(現代語訳)
あなたは西方に使者に立つ故事にならって、涙をながし、筆を投じてたちあがり、国制が乱れた時すぐさま馬鞍につかまっていったのだ。
あなたの儒衣のすがたから発する気は山の鳥も不思議がるであろう。あなたの一行の使者の旗印をば野らで遊ぶ子どもたちは目を見張っていることだろう。
目指したところへ着いたら、辺境の地酒で金のお椀型の盃でむかえられた、西方の異民族のうたをうたってくれ、玉盤のお皿満載の御馳走をささげだしてくれる。
草原は肥沃で昔から大宛名国の名馬として彼の地の馬は健に育っている、雪は幾重にもかさなっている、集合住まいの大テントは乾燥している。』
あなたは慎重にこのたびの使者としてのはかりごとに参画した、今から鳥が羽翼、大羽を整えただしくするように役目をはたすことなのだ。
そうすれば帰ってきたときは権勢の地位を取るようになる、それは九万里の大空も一朝にして羽うってのぼることができるのだ。


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(訳注)
垂淚投筆傷時據鞍

あなたは西方に使者に立つ故事にならって、涙をながし、筆を投じてたちあがり、国制が乱れた時すぐさま馬鞍につかまっていったのだ。
垂涙、投筆、傷時、拠鞍 楊がする動作であるる。投筆は後漢の班超の故事、班超32年 - 102年後漢の軍人。班固の弟。西域(現在の新疆ウイグル自治区あたり)に匈奴を追って後漢の勢力を広げ、その後は西域都護として長く西域を保持した。『後漢書』では「燕頷虎鬚」と描写される。拠鞍は後漢の馬援の故事で援が五渓の蛮を討つことを請うでたとき鞍に拠ったとする。


儒衣山鳥怪,漢節野童看。
あなたの儒衣のすがたから発する気は山の鳥も不思議がるであろう。あなたの一行の使者の旗印をば野らで遊ぶ子どもたちは目を見張っていることだろう。
儒衣 楊がきている儒者の衣服。○怪 みなれぬもの故あやしむ。不思議がる。○漢節 蘇武が匈奴に使いしたとき漢節を所持した。漢の使者のはたじるし、ここは唐の使者のはたじるしをいう。○野童 田や野原であそんでいるこども等。


邊酒排金盞,夷歌捧玉盤。
目指したところへ着いたら、辺境の地酒で金のお椀型の盃でむかえられた、西方の異民族のうたをうたってくれ、玉盤のお皿満載の御馳走をささげだしてくれる。
辺酒 辺地のさけ。○ ならべる。○金盞 黄金でかざったお椀型の盃。○夷歌 えびすのうた。○ 楊等にむかってささげる。○玉盤 玉でつくった大平鉢、肴僕をもるもの。


草肥蕃馬健,雪重拂廬乾。」
草原は肥沃で昔から大宛名国の名馬として彼の地の馬は健に育っている、雪は幾重にもかさなっている、集合住まいの大テントは乾燥している。』
○蕃馬 吐蕃の馬○大宛名 大宛は漠代に西域地方に在った国の名。漢の武帝は大宛より天馬を得たことがある。名とは名を負っている駿馬であるとの意。大宛(フェルガーナ)種の駿馬。

房兵曹胡馬詩 杜甫 9 (青春期の詩)
 天育驃騎歌 杜甫 : kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 85○雪重 重とは厚くつもることをいう。○払廬 トルフアン集落住民が住んでいるテント○ 寒気はつよいが湿気のないことをいう。

慎爾參籌畫,從茲正羽翰。
あなたは慎重にこのたびの使者としてのはかりごとに参画した、今から鳥が羽翼、大羽を整えただしくするように役目をはたすことなのだ。
 慎重にする。○ 楊のこと。○ 参加する、参預する。○籌画 計画すること。計略。○從茲 これより、今よりの意。○正羽翰 使命をりっぱにはたすことをいう。鳥が羽翼、大羽を整えただしくすることから。

歸來權可取,九萬一朝摶。』-#2
そうすれば帰ってきたときは権勢の地位を取るようになる、それは九万里の大空も一朝にして羽うってのぼることができるのだ。
帰来 役目をはたして帰ってくる。唐の方へもどる。○権可取 「権二取ル可シ」、「取ル可キヲ権ル、権取ル可シ」の諸説があるが、予は最後の解をとる。棒上は権勢の位をいう。取は己に取得すること。〇九万打 九万里にはねうつこと。「荘子」造造遊簾に鵬を説いて、「扶揺(髄、ふきまくかぜ)ヲ樽チテ上ル者、九万里。」とみえる。〇一朝 にわかにして。
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