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早朝大明宮呈両省僚友 賈至 杜甫の「奉和賈至舍人早朝大明宮」に関連した詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 233


758年春、賈至、王維、岑参、杜甫、四人の詩人が中書省と門下省に揃った。杜甫にとっては生涯で一番幸福な時期であった。王維は太子中允からすぐに中枢にもどり、中書舎人(正五品上)になっている。賈至が伝統的な七言律詩で宮廷風の詩『早朝大明宮呈両省僚友』を詠ったこれに対して、三人が唱和した・    

和賈舎人早朝大明宮之作   王維 
奉和中書賈舎人早朝大明宮  岑參
奉和賈至舍人早朝大明宮   杜甫


早朝大明宮呈両省僚友 賈至

銀燭朝熏紫陌長、禁城春色暁蒼蒼。
天子の宮殿の銀製の燭台のともしびは夜明けまで燃え続け、都大路はその前に、長く横たわっている。禁裡の春景色も、明けがたのことだから、まだ薄暗い。
千條弱柳垂青瑣、百囀流鶯繞建章。
細い柳の枝は、何千という筋を、青く塗った門の窓の外に垂らしており、さまざまに鳴きかわす鶯が枝々を飛びわたりながら、建章宮をめぐって飛ぶ。
劍佩聲髄玉墀歩、衣冠身惹御爐香。
私の腰にさげた剣や佩玉は、玉をしきつめた床の上を歩むにつれて音をたて、身につけた衣冠には、みかどの香炉にくゆらす香りがこもる。
共沐恩波鳳池上、朝朝染翰侍君王。
おたがいにこの鳳凰池で、わが天子の恵みの波を浴(ゆあ)みするとは、なんとありがたいことだろう。されば朝ごとに筆をそめつつ、みかどのおそばにつかえて、翰林院の職務にはげもうと思う。

銀燭 朝に熏じて 紫陌 長し、禁城の春色 暁に蒼蒼たり。
千条の弱柳は青瑣に垂れ、百囀の流鶯は建章を繞る。
剣佩 声を玉墀の歩に随い、衣冠 身には御炉の香を惹けり。
共に恩波に沐す 鳳池の上とり、朝朝翰を染めて君王に侍す。

韻  蒼、章、香、王。
長安城郭015

現代語訳と訳註
(本文)

銀燭朝熏紫陌長、禁城春色暁蒼蒼。
千條弱柳垂青瑣、百囀流鶯繞建章。
劍佩聲髄玉墀歩、衣冠身惹御爐香。
共沐恩波鳳池上、朝朝染翰侍君王。


(下し文)
銀燭 朝に熏じて 紫陌 長し、禁城の春色 暁に蒼蒼たり。
千条の弱柳は青瑣に垂れ、百囀の流鶯は建章を繞る。
剣佩 声を玉墀の歩に随い、衣冠 身には御炉の香を惹けり。
共に恩波に沐す 鳳池の上とり、朝朝翰を染めて君王に侍す。

(現代語訳)
天子の宮殿の銀製の燭台のともしびは夜明けまで燃え続け、都大路はその前に、長く横たわっている。禁裡の春景色も、明けがたのことだから、まだ薄暗い。
細い柳の枝は、何千という筋を、青く塗った門の窓の外に垂らしており、さまざまに鳴きかわす鶯が枝々を飛びわたりながら、建章宮をめぐって飛ぶ。
私の腰にさげた剣や佩玉は、玉をしきつめた床の上を歩むにつれて音をたて、身につけた衣冠には、みかどの香炉にくゆらす香りがこもる。
おたがいにこの鳳凰池で、わが天子の恵みの波を浴(ゆあ)みするとは、なんとありがたいことだろう。されば朝ごとに筆をそめつつ、みかどのおそばにつかえて、翰林院の職務にはげもうと思う。

唐朝 大明宮01

(訳注)
銀燭朝熏紫陌長、禁城春色暁蒼蒼。

天子の宮殿の銀製の燭台のともしびは夜明けまで燃え続け、都大路はその前に、長く横たわっている。禁裡の春景色も、明けがたのことだから、まだ薄暗い。
銀燭 銀製の燭台。美しく輝くともしび。○熏朝  夜明けまで燃え続けるさま。○紫陌 都大路。都の街路。都の市街。・東西陌 曹植『吁嗟篇』「東西經七陌」(東西 七陌を経て)に基づく。李白『古風 其二十四』「大車揚飛塵。 亭午暗阡陌。」(長安の街では、大きな車がほこりを巻きあげて通り、正午という時間帯であるのに街路が暗くしている。) 阡:たて南北。:よこ東西のみち。[陌(はく)とは、中国の晋から南北朝時代(魏晋南北朝時代)にかけて使われた通貨単位である。銭貨100枚を1陌とした。]○禁城 天子のいる御殿。宮城。○春色 春景色。○蒼蒼 明けがたのまだ薄暗いさま。


千條弱柳垂青瑣、百囀流鶯繞建章。
細い柳の枝は、何千という筋を、青く塗った門の窓の外に垂らしており、さまざまに鳴きかわす鶯が枝々を飛びわたりながら、建章宮をめぐって飛ぶ。
千条 何千という筋。○弱柳 細い柳の枝○青瑣 青く塗った門の窓。五行思想で春、東を示す色は青であり、春明門。○百囀 鳥などがさまざまにさえずること。侍從宜春苑奉詔賦龍池柳色初青聽新鶯百囀歌 李白流鶯 鶯が枝々を飛びわたること。○建章 漢の武帝太初元年、柏梁殿が火災に遭ったため、二月に建設を始めたのが建章宮である。 建章宮は長安城外、未央宮の西にある。建章宮は長安城外にあるが、閣道によって未央宮と連絡している。


劍佩聲髄玉墀歩、衣冠身惹御爐香。
私の腰にさげた剣や佩玉は、玉をしきつめた床の上を歩むにつれて音をたて、身につけた衣冠には、みかどの香炉にくゆらす香りがこもる。
剣佩 腰にさげた剣や佩玉。○玉墀 玉をしきつめた床の上を歩むにつれて音をたてる。○衣冠 天子から賜った制服と冠。○御炉香 みかどの香炉にくゆらす香りがこもる。


共沐恩波鳳池上、朝朝染翰侍君王。
おたがいにこの鳳凰池で、わが天子の恵みの波を浴(ゆあ)みするとは、なんとありがたいことだろう。されば朝ごとに筆をそめつつ、みかどのおそばにつかえて、翰林院の職務にはげもうと思う。
 あらう。うるおう。恵みを受ける。漢の時代から、5日ごとに家に帰り、髪を洗いきよめたことに基づく。○恩波 天子の恵みの波。○鳳池 鳳凰池。大明宮の大掖池のこと。○朝朝 朝毎のこと。○染翰 翰は筆を執ることであるが、玄宗が作った文人の控えの場所としての翰林院を示すものである。