春宿左省 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 238


758年乾元元年春、左拾遺であったときの作。
 ・宣政殿退朝晚出左掖
 ・紫宸殿退朝口號
 ・春宿左省
 ・晚出左掖
 ・題省中院壁
 ・奉和賈至舍人早朝大明宮
 ・送賈閣老出汝州
 

左省は東省、東内、即ち門下省である。春、門下省にとまり番をした時に作る。

春宿左省
花隱掖垣暮,啾啾棲鳥過。
宮殿のそばの垣根が花にかくれていて夕暮れになってしまい、チュウチュウとねぐらに棲む鳥が啼いて過ぎてゆく
星臨萬戶動,月傍九霄多。
それから宝飾の様な星のきらめきは宮殿の全部の戸ごとに向って照りだし、月の光は九重の空に多くせまってくる。
不寢聽金鑰,因風想玉珂。
寝ず番をして闔殿の門を開ける音を聴き、風にのって早朝の参賀人々が玉珂を鳴らしてきはせぬかと想像する。
明朝有封事,數問夜如何?

自分には明日の朝ともなれば天子に奉るべき封事があるのである、そのことが気になって夜あけを待ちかねてたびたび夜明けがいつ来るかそのことを他の人に問うてみるのである。


(春左省に宿す)
花に隠れて披垣【えきえん】暮る 啾啾として棲鳥【せいちょう】過ぐ。
星は万戸に臨みて動き 月は九零【きゅうしょう】に傍【そ】いて多し。
寝【い】ねずして金鑰【きんやく】を聴き 風に因りて玉珂【ぎょくか】を想う。
明朝 封事【ほうじ】有り 数々問う 夜 如何と。
miyajima 693

現代語訳と訳註
(本文)春宿左省

花隱掖垣暮,啾啾棲鳥過。
星臨萬戶動,月傍九霄多。
不寢聽金鑰,因風想玉珂。
明朝有封事,數問夜如何?

(下し文)
(春左省に宿す)
花に隠れて披垣【えきえん】暮る 啾啾として棲鳥【せいちょう】過ぐ。
星は万戸に臨みて動き 月は九零【きゅうしょう】に傍【そ】いて多し。
寝【い】ねずして金鑰【きんやく】を聴き 風に因りて玉珂【ぎょくか】を想う。
明朝 封事【ほうじ】有り 数々問う 夜 如何と。

(現代語訳)
宮殿のそばの垣根が花にかくれていて夕暮れになってしまい、チュウチュウとねぐらに棲む鳥が啼いて過ぎてゆく
それから宝飾の様な星のきらめきは宮殿の全部の戸ごとに向って照りだし、月の光は九重の空に多くせまってくる。
寝ず番をして闔殿の門を開ける音を聴き、風にのって早朝の参賀人々が玉珂を鳴らしてきはせぬかと想像する。
自分には明日の朝ともなれば天子に奉るべき封事があるのである、そのことが気になって夜あけを待ちかねてたびたび夜明けがいつ来るかそのことを他の人に問うてみるのである。
唐朝 大明宮2000

(訳注)春宿左省
花隱掖垣暮,啾啾棲鳥過。

宮殿のそばの垣根が花にかくれていて夕暮れになってしまい、チュウチュウとねぐらに棲む鳥が啼いて過ぎてゆく。
花隠 隠はその形のみえなくなること。○披垣 宮側のかき。○啾啾 鳥のなくさま。○棲鳥 ねぐらにとまらんとする鳥。


星臨萬戶動,月傍九霄多。
それから宝飾の様な星のきらめきは宮殿の全部の戸ごとに向って照りだし、月の光は九重の空に多くせまってくる。
○星 星のきらめき光をいう。〇万戸 宮殿の多くの戸。〇 月光をいう。○ 近づく意。〇九霄 九重のそら、宮中の天をいう。


不寢聽金鑰,因風想玉珂。
寝ず番をして闔殿の門を開ける音を聴き、風にのって早朝の参賀人々が玉珂を鳴らしてきはせぬかと想像する。
金鑰 闔殿の門を開ける錠前のきしこみの鍵でこれを差し入れて開ける。○因風 風が珂声をつたえて来ることを想う。○玉珂 珂は貝の類をもってつくった馬の飾り、その数は官位によって等級がある。これは玉珂とあるので玉でつくったものであろう、他の臣僚についていう。


明朝有封事,數問夜如何?
自分には明日の朝ともなれば天子に奉るべき封事があるのである、そのことが気になって夜あけを待ちかねてたびたび夜明けがいつ来るかそのことを他の人に問うてみるのである。
○封事 袋に収めた密封の上書である。律令制下で,政治上の意見を徴する詔に応じて,官人たちが封進した奏状。古代中国では《漢書》宣帝紀に〈群臣をして封事を奏するを得せしめ,以て下情を知る〉と初めて見える。杜甫の役職は左拾遺で、大事は朝延にて諌諍し、小事には封事を奉った。○夜如何 夜の時刻いかに。天の明けてくることをきづかう気持ちをいうのである。