題省中院壁 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 241
 (省中の院壁に題す)
門下省のなかにある左拾遺の官の役所の壁にかきつけた詩。前詩同期の作。*此の詩は拗体といって律詩の変格である。


題省中院壁
掖垣竹埤梧十尋,洞門對霤常陰陰。
宮廷側の垣壁の編竹の垣根に十尋の高い梧桐が植えてある、その梧桐は、宣政殿を挟んで門下省、中書省が連って洞門をなし、雨の落ちる方向に向いている処なのでいつも影になっていて暗い。
落花游絲白日靜,鳴鳩乳燕青春深。
春盛んな時、さすがに花が散り落ち、かげろうが燃えて真昼の日の光が静かに射しかける、鳩が鳴き、燕が子をかえすなど春の真っ盛りである。
腐儒衰晚謬通籍,退食遲回違寸心。
このときくされ儒者たる自分は晩年で衰えかけているのに、まちがって仕官ができたのであり、役所のひけ時にぐずぐずして平生の本志は思うことのかなわないものである。
袞職曾無一字補,許身愧比雙南金。

左拾遺という天子をお諌め申す役でありながらまだ一字として補いたてまつったことがない、これでは以前我と我が身に許して自己を南金の如き貴重なものに比べたことをはずかしくおもう。


(省中の院壁に題す)
掖垣【えきえん】の竹埤【ちくひ】十尋【じゅうじん】、洞門 対霤【たいりゅう】常に陰陰。
落花 遊糸 白日静かに、鳴鳩【めいきゅう】乳燕【にゅうえん】青春深し。
腐儒【ふじゅ】衰晩【すいばん】謬【あやま】って籍を通ず、退食【たいしょく】遅廻【ちかい】寸心【すんしん】違【たご】う。
袞職【こんしょく】曾て一字の補【おぎない】無し、身を許す愧【は】ずらくは双南【そうなん】金に比せしこと。


 現代語訳と訳註
(本文)
題省中院壁
掖垣竹埤梧十尋,洞門對霤常陰陰。
落花游絲白日靜,鳴鳩乳燕青春深。
腐儒衰晚謬通籍,退食遲回違寸心。
袞職曾無一字補,許身愧比雙南金。


(下し文) (省中の院壁に題す)
掖垣【えきえん】の竹埤【ちくひ】十尋【じゅうじん】、洞門 対霤【たいりゅう】常に陰陰。
落花 遊糸 白日静かに、鳴鳩【めいきゅう】乳燕【にゅうえん】青春深し。
腐儒【ふじゅ】衰晩【すいばん】謬【あやま】って籍を通ず、退食【たいしょく】遅廻【ちかい】寸心【すんしん】違【たご】う。
袞職【こんしょく】曾て一字の補【おぎない】無し、身を許す愧【は】ずらくは双南【そうなん】金に比せしこと。


(現代語訳)
宮廷側の垣壁の編竹の垣根に十尋の高い梧桐が植えてある、その梧桐は、宣政殿を挟んで門下省、中書省が連って洞門をなし、雨の落ちる方向に向いている処なのでいつも影になっていて暗い。
春盛んな時、さすがに花が散り落ち、かげろうが燃えて真昼の日の光が静かに射しかける、鳩が鳴き、燕が子をかえすなど春の真っ盛りである。
このときくされ儒者たる自分は晩年で衰えかけているのに、まちがって仕官ができたのであり、役所のひけ時にぐずぐずして平生の本志は思うことのかなわないものである。
左拾遺という天子をお諌め申す役でありながらまだ一字として補いたてまつったことがない、これでは以前我と我が身に許して自己を南金の如き貴重なものに比べたことをはずかしくおもう。


(訳注)題省中院壁
掖垣竹埤梧十尋,洞門對霤常陰陰。
宮廷側の垣壁の編竹の垣根に十尋の高い梧桐が植えてある、その梧桐は、宣政殿を挟んで門下省、中書省が連って洞門をなし、雨の落ちる方向に向いている処なのでいつも影になっていて暗い。
○掖垣 宮廷側のかき。○竹埤 竹で編んだひくいかきね。○梧 あおぎり。○尋 八尺。中国では、尋(じん)とその2倍の「常」(じょう)という単位がよく用いられていた。この二つを組み合わせてできたのが「尋常」という言葉であり、並み、普通であることを意味する。○洞門 門と門と向かいあって洞の如くになっているものをいう、宣政殿を挟んで門下省、中書省の諸院が多く相い連らなっているからである。○對霤 霤は屋根の雨のおちるところをいう、対とは向う側とむきあうことをいう。○陰陰 影になりくらっぽいさま。


落花游絲白日靜,鳴鳩乳燕青春深。
春盛んな時、さすがに花が散り落ち、かげろうが燃えて真昼の日の光が静かに射しかける、鳩が鳴き、燕が子をかえすなど春の真盛りである。
遊糸 いとゆう。がげろう。○乳燕 子をうんだつばめ。○青春 五行の思想では春の色を青とする。五色-五方-五時:青(緑)-東-春、紅-南-夏、黄-中-土用、白-秋-西、玄(黒)-北-冬。


腐儒衰晚謬通籍,退食遲回違寸心。
このときくされ儒者たる自分は晩年で衰えかけているのに、まちがって仕官ができたのであり、役所のひけ時にぐずぐずして平生の本志は思うことのかなわないものである。
腐儒 全くの役に立たない儒者。くされ儒者。気力も意欲もない学者をののしっていう語。 ...ここでは杜甫自身をさす。○衰晩 老衰、晩暮。○通籍 禁中へわが名ふだを通じておくこと、仕官の義。籍とは二尺の竹札に年がら姓名その他の様子を書付け、入門の時、本人と照らしあわす用に供するもの。○退食 朝廷を出て門下省の詰め所で食事をとる。○遅廻  ぐずぐずしておるさま。○違寸心 思うことのかなわぬことをいう。


袞職曾無一字補,許身愧比雙南金。
左拾遺という天子をお諌め申す役でありながらまだ一字として補いたてまつったことがない、これでは以前我と我が身に許して自己を南金の如き貴重なものに比べたことをはずかしくおもう。
袞職 袞とは巻き竜のついた衣、天子の礼服。袞職とは天子の職をいう。○許身 我と我が身にかくかくの資格ありとしてゆるす。○ 杜甫がはじる。○双南金 南金は南方刑州・揚州の地に産する金銀の類をさす、双は一封をいう、両鎰(鎰は二十四両)をいうとするが、ここでは杜甫の職の重さを表現しており、あたえられた職ができないことに悩んでいる。この時の天子、粛宗は文人を好んでいないため、ことごとく左遷されている。王維、王昌齢、高適等々皆悩んでいた。杜甫は、左拾位の職を賜った直後に房琯をかばう発言により、一切無視されている。鳳翔から長安を奪還する際には妻のもとに行っていた。杜甫の詩も長安に入城する祝いの詩もなければそのことに触れた詩もない。全く期待されていない存在であったということだ。


hinode0200

blogram投票ボタン

毎日それぞれ一首(長詩の場合一部分割掲載)kanbuniinkai紀 頌之の漢詩3ブログ
05rihakushi350

李白詩350首kanbuniinkai紀頌之のブログ

700Toho shi

kanbuniinkai11の頌之漢詩 杜甫詩700首

800tousouSenshu
kanbuniinkai10 頌之の漢詩 唐宋詩人選集 Ⅰ李商隠150首 Ⅱ韓退之(韓愈)Ⅶ孟郊
各詩人についてはブログ内の検索を利用したほうが良い場合もあります。
burogutitl770

http://kanshi100x100.blog.fc2.com/


唐宋詩 
(Ⅰ李商隠Ⅱ韓退之(韓愈))
李白詩INDEX02
李商隠INDEX02
杜甫詩INDEX02