曲江二首 其一 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 244


至徳三載は二月に乾元と改元され、載から年にかわる。
杜甫は左拾位ではあるが朝廷においての疎外感はますます大きくなっていったようだ。玄宗上皇は興慶宮から大極殿の奥に移され、旧臣との接触を断たれた。羌村から鳳翔に帰るまでの紀行文はあるものの鳳翔から長安に入城に関しての詩がない。徹底的な疎外を受けていたのだろうか。この曲江二首を詠うまで以下の十詩があるだけだ。杜甫のこころの動きがよくわかるのでこの時期はすべて掲載する。
 この曲江の詩から刹那感が出始める。(3/18のブログ杜甫詩集「北征」後、の鳳翔での作はなく、長安入城の作品もない。苦悶する左拾位そして左遷。58首 参照)

758年乾元元年春、左拾遺であったときの作。この間の作順は時系列よっており、漏れはないと思う。

 ・送鄭十八虔貶台州司

 ・臘日

宣政殿退朝出左掖

紫宸殿退朝口號

春宿左省

出左掖

題省中院壁

奉和賈至舍人早朝大明宮

送賈閣老出汝州

送翰林張司馬南海勒碑

・  曲江二首 其一
・ 曲江二首 其二
・ 曲江封酒
・ 曲江封雨
・ 曲江陪鄭八丈南史飲
・ 奉答岑參補闕見贈
・ 奉贈王中允維
・ 送許八拾遺歸江寧覲省
・ 因許八奉寄江寧旻上人
・ 題李尊師松樹障子歌
・ 得舍弟消息
・ 送李校書二十六韻
・ 逼側行贈畢曜
・ 贈畢四曜
・ 題鄭十八著作丈
・ 瘦馬行
・ 義鶻行
・ 畫鶻行
・ 端午日賜衣
・ 酬孟雲卿
・ 至德二載,甫自京金光門出間道歸鳳翔。
・ 寄高三十五詹事
・ 贈高式顔
・ 題鄭縣亭子
・ 望嶽
・ 早秋苦熱堆案相仍
・ 觀安西兵過赴關中待命二首 其一
・ 同            其二
・ 路逢襄揚楊少府入城,戲呈楊四員外綰
・ 贈衛八處士
・ 冬末以事之東都,湖城東遇孟雲卿,複歸劉顥宅宿,宴飲散因為醉歌
・ 閿鄉薑七少府設膾,戲贈長歌
・ 戲贈閿鄉秦少公短歌
・ 李鄠縣丈人胡馬行
・ 憶弟二首 其一
・ 同    其二
・ 得舍弟消息
・ 觀兵
・ 不歸
・ 獨立
・ 洗兵馬
・ 重題鄭氏東亭



曲江二首 其一
一片花飛減却春、風飄万点正愁人。
ひとひらの花が飛びちっていくとそれだけ分春の景色をへらしていく、まして風が吹くと万片の花びらを翻らせてしまう正に之を見る人々を愁人としてしまう。
且看欲尽花経眼、莫厭傷多酒入唇。
そうであっても花の散るのを堰き止めておくわけにいかない、無くなろうとしている花が眼の前を過ぎるのをまあまあと眺める、また多く飲めばからだをそこなう酒ではあるがそれを口中へつぎこんでもかまいはしない。
江上小堂巣翡翠、苑辺高塚臥麒麟。
曲江のほとりに建っている家の小さな座敷には侘しいものでかわせみが巣くうほどだ、そして、御苑がちかくにあり、貴族の高い塚に石の麒麟が寝ている。
細推物理須行楽、何用浮名絆此身。
物の道理を細かに推し測ってみると人生須らく山簡公のように行楽すべきものである、このからだを虚名につながれていることは無用のことである。



江 二首  其の一
一片  花飛びて  春を減却【げんきゃく】し、風 万点を飄【ひるが】えして  正に人を愁えしむ。
且つ看る尽きんと欲するの花眼を経【ふ】るを、厭【いと】う莫れ 多きを傷【そこな】わるる酒の唇に入るを。
江上【こうじょう】の小堂に翡翠【ひすい】巣 くい、苑辺【えんぺん】の高塚【こうちょう】に麒麟臥【が】す。
細かに物理【ぶつり】を推【お】すに 須らく行楽すべし、何ぞ用いん 浮名 此の身を絆【ほだ】すことを

kairo10682

現代語訳と訳註
(本文)曲江二首 其一

一片花飛減却春、風飄万点正愁人。
且看欲尽花経眼、莫厭傷多酒入唇。
江上小堂巣翡翠、苑辺高塚臥麒麟。
細推物理須行楽、何用浮名絆此身。


(下し文) 其の一
一片  花飛びて  春を減却【げんきゃく】し、風 万点を飄【ひるが】えして  正に人を愁えしむ。
且つ看る尽きんと欲するの花眼を経【ふ】るを、厭【いと】う莫れ 多きを傷【そこな】わるる酒の唇に入るを。
江上【こうじょう】の小堂に翡翠【ひすい】巣 くい、苑辺【えんぺん】の高塚【こうちょう】に麒麟臥【が】す。
細かに物理【ぶつり】を推【お】すに 須らく行楽すべし、何ぞ用いん 浮名 此の身を絆【ほだ】すことを



(現代語訳)
ひとひらの花が飛びちっていくとそれだけ分春の景色をへらしていく、まして風が吹くと万片の花びらを翻らせてしまう正に之を見る人々を愁人としてしまう。
そうであっても花の散るのを堰き止めておくわけにいかない、無くなろうとしている花が眼の前を過ぎるのをまあまあと眺める、また多く飲めばからだをそこなう酒ではあるがそれを口中へつぎこんでもかまいはしない。
曲江のほとりに建っている家の小さな座敷には侘しいものでかわせみが巣くうほどだ、そして、御苑がちかくにあり、貴族の高い塚に石の麒麟が寝ている。
物の道理を細かに推し測ってみると人生須らく山簡公のように行楽すべきものである、このからだを虚名につながれていることは無用のことである。


長安城郭015
                      上図の右下に曲江池、芙蓉苑がある。

(訳注)曲江二首 其一
一片花飛減却春、風飄万点正愁人。

ひとひらの花が飛びちっていくとそれだけ分春の景色をへらしていく、まして風が吹くと万片の花びらを翻らせてしまう正に之を見る人々を愁人としてしまう。
減却 へらす。そぐ。○ 春景色をいう。〇万点 万片の花。〇愁人 春景に対する喜びよりあわれを感じる人々。長安では多くの人が死んで間もない。もののあわれを感じる人。『文選、傅玄、雑詩』「志士惜日短、愁人知夜長」志士は日の短かきを惜しみ、愁人は夜の長きを知る)に基づく。


且看欲尽花経眼、莫厭傷多酒入唇。
そうであっても花の散るのを堰き止めておくわけにいかない、無くなろうとしている花が眼の前を過ぎるのをまあまあと眺める、また多く飲めばからだをそこなう酒ではあるがそれを口中へつぎこんでもかまいはしない。
且看 ゆく春は仕方なしとしてまあまあとながめること。○欲尽花 散り散りてなくなろうとする花。○経眼 我が眼前を経過する。○ きらう。○傷多 傷は害に同じ、飲む者の身体をそこなうこと、傷多とは多く飲んで我がからだを傷める。〇酒人唇 傷害する酒をくちにする、飲むこと。ヤケ酒の模様をいう。


江上小堂巣翡翠、苑辺高塚臥麒麟。
曲江のほとりに建っている家の小さな座敷には侘しいものでかわせみが巣くうほどだ、そして、御苑がちかくにあり、貴族の高い塚に石の麒麟が寝ている。
江上 江は曲江。○小堂 ちいさな座敷。○翡翠 かわせみ、鳥が巣くうとは住む人のないさまをいう。○苑辺 苑は曲江のほとりにある芙蓉苑。○高塚 貴人のつか。○臥 たおれふす。○麒麟 墓道にある石造の置きもの。


細推物理須行楽、何用浮名絆此身。
物の道理を細かに推し測ってみると人生須らく山簡公のように行楽すべきものである、このからだを虚名につながれていることは無用のことである。
推物理 事物の道理を推しはかってみる。○行楽 山簡公のように池の辺を酒を飲みぶらぶら歩きたのしむことをいう。杜甫『陪鄭広文遊何将軍山林十首 其八』李白『秋浦歌十七首 其七』の注釈参照。 ○何用 無用。○浮名 虚名、空名の意、官にあってその職を尽くさずただ官名をになう、これは実のない名である。○ つなぐ。○此身 自己のからだ。この聯は、西晋の山簡が荊州の知事として湖北省の荊州の地方長官として嚢陽にいたとき、常に酔っぱらっては高陽の池にあそび(野酒)、酩酊したあげく、白い帽子をさかさに被り、馬にのって歩いた。それが評判となり、そのことをうたった歌までできた。その故事に基づいている。
曲江の池を廻りながら、山間と自分を重ねて詠ったものである。一年近く飼い殺しのような身分に置かれて刹那感を山簡に置き換えることで紛らわせたのかもしれない。




曲江二首 其一
一片花飛減却春、風飄万点正愁人。
且看欲尽花経眼、莫厭傷多酒入唇。
江上小堂巣翡翠、苑辺高塚臥麒麟。
細推物理須行楽、何用浮名絆此身。

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