畫鶻行 #1 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 264
(五言古詩 画鶻行がこつこう)便宜的に2分割して掲載。
鶻鶴の画をみて感じた所をのべた詩である。758年乾元元年、なお朝廷にあって疎外感を持っていた時の作。

乾元元年 758年 47歳

畫鶻行 #1
高堂見生鶻,颯爽動秋骨。
この高い座敷で生きた鶻がいるのを見ている、その鶻は意気颯爽として骨ぶしが動いている。
初驚無拘攣,何得立突兀!
わたしはこれを初めてみたとき、ひもでつないでもないのに飛び去りもせず、なんで高く見おろしたっているのであるかと驚くのである
乃知畫師妙,巧刮造化窟。

よくみるとやっと次のことがわかった、画かきがうまくて、巧に天然の奥底をけずりっているのだ。
寫此神俊姿,充君眼中物。』
このすぐれた姿をうつしだして君(主人)がながめる品物として充分すぐれたものであるということだ。』
#2
烏鵲滿樛枝,軒然恐其出。側腦看青霄,寧為眾禽沒。
長翮如刀劍,人寰可超越。乾坤空崢嶸,粉墨且蕭瑟。』
緬思雲沙際,自有煙霧質。吾今意何傷,顧步獨紆鬱。』


 (画鶻行がこつこう)
高堂生鶻を見る、颯爽として秋骨動く。
初【はじめ】は驚く拘攣【こうれん】無きに、何ぞ立つこと突兀【とつこつ】たるを得るやと。
乃ち知る画師の妙、巧に造化の窟を刮【けず】り。
此の神俊【しんしゅん】の姿を写して、君が眼中の物に充つるを。』

烏鵲【うじゃく】樛枝【きゅうし】に満つ、軒然【けんぜん】として其の出でんことを恐る。
脳を側【かたむ】けて青霄【せいしょう】を看る、寧ぞ眾禽【しゅうきん】の没を為さんや。
長翮【ちょうかく】刀剣【とうけん】の如し、人寰【じんかん】超越【ちょうえつ】す可し。
乾坤【けんこん】空しく崢嶸【そうこう】たり、粉墨【ふんぼく】 且 蕭瑟【しょうしつ】たり』
緬【はる】かに思う雲沙【うんさ】の際、自ら煙霧の質有るを。
吾今意何をか傷む、顧歩【こほ】して独り紆鬱【ううつ】たり。』
 
畫 鶻 行
現代語訳と訳註
(本文)
畫鶻行 #1
高堂見生鶻,颯爽動秋骨。
初驚無拘攣,何得立突兀!
乃知畫師妙,巧刮造化窟。
寫此神俊姿,充君眼中物。』

(下し文)
(画鶻行がこつこう)
高堂生鶻を見る、颯爽として秋骨動く。
初【はじめ】は驚く拘攣【こうれん】無きに、何ぞ立つこと突兀【とつこつ】たるを得るやと。
乃ち知る画師の妙、巧に造化の窟を刮【けず】り。
此の神俊【しんしゅん】の姿を写して、君が眼中の物に充つるを。』


(現代語訳)
この高い座敷で生きた鶻がいるのを見ている、その鶻は意気颯爽として骨ぶしが動いている。
わたしはこれを初めてみたとき、ひもでつないでもないのに飛び去りもせず、なんで高く見おろしたっているのであるかと驚くのである
よくみるとやっと次のことがわかった、画かきがうまくて、巧に天然の奥底をけずりっているのだ。
このすぐれた姿をうつしだして君(主人)がながめる品物として充分すぐれたものであるということだ。』


(訳注)
高堂見生鶻,颯爽動秋骨

高堂生鶻を見る 颯爽として秋骨動く
この高い座敷で生きた鶻がいるのを見ている、その鶻は意気颯爽として骨ぶしが動いている。
高堂 たかいざしき。この画を見たばしょ。○生鶻 生はいきていること、画とは見えないほどのもの。○颯爽 威風あたりをはらうさま。○動秋骨 秋節における鶻の骨のふしぶしが動いているようだ。


初驚無拘攣,何得立突兀!
初は驚く拘攣無きに 何ぞ立つこと突兀たるを得るやと
わたしはこれを初めてみたとき、ひもでつないでもないのに飛び去りもせず、なんで高く見おろしたっているのであるかと驚くのである
初鴬 この画をみた最初、鷺は作者がおどろくこと。○拘攣 拘束に同じ、攣はつなぐ、抄もでくくりおくことをいう。○立突兀 突冗立に同じ、突先はそびえたつさま。


乃知畫師妙,巧刮造化窟
乃ち知る画師の妙 巧に造化の窟を刮り
よくみるとやっと次のことがわかった、画かきがうまくて、巧に天然の奥底をけずりっているのだ。
乃知 よくみてそこで知る。○ けずりとる。○造化窟 造化は天然、窟はいわあな、おくそこをいう。


寫此神俊姿,充君眼中物。』
此の神俊の姿を写して 君が眼中の物に充つるを
このすぐれた姿をうつしだして君(主人)がながめる品物として充分すぐれたものであるということだ。』
神俊姿 すぐれたすがた。○ 主人をさす。○ もてあそびもの。