酬孟雲卿 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 274

酬孟雲卿
孟雲卿に受けた盃を御返杯する。
樂極傷頭白,更長愛燭紅。
程よい心の楽しみを得る生活をしていたせいか白髪あたまがこんなになってしまった、二人で飲み明かすのに赤いともし火に照らされて時間を気にせず語りたい。
相逢難袞袞,告別莫匆匆。
こうして二人があって話をすると心の中が分かっており、ねんごろに話すことはない、だからといって、それでは別れを告げあうかというとそうあわただしくするようなことはない。
但恐天河落,寧辭酒盞空?
ただ酒を呑みすぎて、天地がひっくり返るほど酔いつぶれることを畏れている、どうして酒壷が空になったらここを立ち去らないといけないのだろうか。
明朝牽世務,揮淚各西東。

明日の朝になればお互い、現在の国家社会のためになすべき仕事をしていかねばならない、わたしも気持ちを変えて涙を吹き飛ばし、西と東でそれぞれ職務をつくそうと思う。


孟雲卿に酬ゆ
樂しみ極まれて頭白を傷む,更長【こうちょう】燭紅を愛す。
相い逢いて袞袞【こんこん】としするが難し,告別は匆匆【そうそう】とする莫れ。
但恐れる天河の落るを,寧ぞ酒盞空を辭さんや?
明朝 世務に牽き,淚を揮って各々西東たり。


現代語訳と訳註
(本文)
酬孟雲卿
樂極傷頭白,更長愛燭紅。
相逢難袞袞,告別莫匆匆。
但恐天河落,寧辭酒盞空?
明朝牽世務,揮淚各西東。


(下し文) 孟雲卿に酬ゆ
樂しみ極まれて頭白を傷む,更長【こうちょう】燭紅を愛す。
相い逢いて袞袞【こんこん】としするが難し,告別は匆匆【そうそう】とする莫れ。
但恐れる天河の落るを,寧ぞ酒盞空を辭さんや?
明朝 世務に牽き,淚を揮って各々西東たり。


(現代語訳)
孟雲卿に受けた盃を御返杯する。
程よい心の楽しみを得る生活をしていたせいか白髪あたまがこんなになってしまった、二人で飲み明かすのに赤いともし火に照らされて時間を気にせず語りたい。
こうして二人があって話をすると心の中が分かっており、ねんごろに話すことはない、だからといって、それでは別れを告げあうかというとそうあわただしくするようなことはない。
ただ酒を呑みすぎて、天地がひっくり返るほど酔いつぶれることを畏れている、どうして酒壷が空になったらここを立ち去らないといけないのだろうか。
明日の朝になればお互い、現在の国家社会のためになすべき仕事をしていかねばならない、わたしも気持ちを変えて涙を吹き飛ばし、西と東でそれぞれ職務をつくそうと思う。


(訳注)
○酬孟雲卿

孟雲卿に受けた盃を御返杯する。
孟雲卿は725年(唐の開元10年)生まれ、没年未詳。字名升之。平昌(商河県、山東省済南市に位置する県。)の人。商河県は山東賞西北部、徒駭河北岸に位置する。南北は51km、東西は43kmである。天宝年間30歳を過ぎて進士及第、長安に入る。残存詩17首。平易な言葉で、自尊心が強く社会的現実的な詩は、杜甫、元結などと共有する。758年、6月、杜甫、華州司公參軍に左遷される前夜、酒を酌み交わす。


樂極傷頭白,更長愛燭紅。
程よい心の楽しみを得る生活をしていたせいか白髪あたまがこんなになってしまった、二人で飲み明かすのに赤いともし火に照らされて時間を気にせず語りたい。
樂極 程よい心の楽しみを得ること。『呉志、諸葛恪傳』「人情之於品物、楽極則哀生。」(人情これ、品物に於ける、楽しみ極まれば則ち哀しみ生ず)に基づく。○更長 夜長を過ごすこと。○燭紅 あかくともしびに照らされる様。


相逢難袞袞,告別莫匆匆。
こうして二人があって話をすると心の中が分かっており、ねんごろに話すことはない、だからといって、それでは別れを告げあうかというとそうあわただしくするようなことはない。
袞袞 大水が流れる様子。塵が後からあとから立のぼる様子。ねんごろに説いて話の尽きない様子。○匆匆 あわただしいさま。烏兎匆匆 意味。歳月のあわただしく過ぎ去るたとえ。▽「烏兎」は歳月・月日の意。太陽には三本足のからすが棲すんでおり、月にはうさぎが棲んでいるという古代中国の伝説による。「匆匆」は急ぐさま、あわただしいさま。「匆匆」は「怱怱」とも書く。


但恐天河落,寧辭酒盞空?
ただ酒を呑みすぎて、天地がひっくり返るほど酔いつぶれることを畏れている、どうして酒壷が空になったらここを立ち去らないといけないのだろうか。


明朝牽世務,揮淚各西東。
明日の朝になればお互い、現在の国家社会のためになすべき仕事をしていかねばならない、わたしも気持ちを変えて涙を吹き飛ばし、西と東でそれぞれ職務をつくそうと思う。
世務 現在の国家社会のためになすべき仕事。世の中の煩わしい仕事。