贈衛八処士 #1 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 292
乾元2年 759年 48歳
         

その年の冬から翌年の二月ごろまで、杜甫は洛陽の東、肇県にある旧居に、どのような事情があったのか分からないが、帰っている。時に郭子儀ら九節度使の軍は二十万の兵を率いて、安慶緒を鄴城に包囲していたが、乾元二年(759)の二月、北の范陽に帰っていた史思明は南下して鄴城を救援し、三月に九節度使の軍は大敗した。郭子儀は敗軍をまとめ、洛陽を守るために河陽に陣を布いた。所用をすませて鞏県から洛陽を経て華州へ帰る途中、杜甫は鄴城で大敗した官軍が、潼関で、あるいは河陽で、洛陽防衛のための準備を急遽行なっているのに、出会った。彼は帰途の見聞を「新安の吏」「潼関の吏」「石蒙の吏」および「新婚の別れ」「垂老の別れ」「無家の別れ」の、いわゆる三吏三別の詩に詠んだ。何年か前、長安で仕途を求めていたころに作った「兵車行」と同じ系列に属する、いわゆるリベラル社会派の詩であるが、「兵車行」がひたすら人民の立場に立って当時の辺境政策を批判したものであったのに比べ、このたびは、国難に際して、安史軍の撃退を切に願う思いと、戦乱の中で苦しんでいる人民への同情とがからみあった、矛盾の表現となっている。
 759年乾元二年二月、洛陽から華州に帰る時、その道のどこかでこの衛氏の家に泊めてもらい、翌朝、別れて再び華州に向かったのである。


贈衛八処士 
処士たる衛某におくった詩。処士とは仕えず隠遁しおる者をいう。衛某に関しては其の人、其の地、共に明かでない。乾元二年春作者が華州にあったとき其の家を訪うたのであろうと

贈衛八処士
人生不相見、動如参与商。
人生においてはおたがい面会できないことがあって、ともすると短い人生においては、参星と商星のごとく、一度別れた人ともう一度会うということは難しいものだけれども、あなたとこの灯りの下で会えて本当に嬉しい。
今夕復何夕、共此燈燭光。』
しかるに今晩はどういうことか君といっしょにこの夕べを過ごす、参章の星と違って、このともしびのひかりにてらされることができる。』
少壮能幾時、鬢髪各已蒼。
人間のわかいときはどれほどのことでもないことであったものが、おたがい鬚や頭髪はすでにごましおになってしまった。
訪旧半為鬼、驚呼熱中腸。--①

旧友のだれかれはどうしたとたずねてみると半分はあの世の人になっている。これをきいては驚きさけび、腸のおくも熟してしまうほどつらいことだ。

焉知二十載、重上君子堂。
昔別君未婚、男女忽成行。
怡然敬父執、問我来何方。』
問答未及已、駆児羅酒漿。--②
夜雨剪春韮、新炊間黄粱。
主称会面難、一挙累十觴。
十觴亦不酔、感子故意長。
明日隔山岳、世事両茫茫。』--③

(衛八処士に贈る)#1
人生  相【あい】見ざる、動【やや】もすれば参【さん】と商【しょう】との如し。
今夕【こんせき】 復【ま】た何の夕べぞ、此の灯燭【とうしょく】の光を共にす。』
少壮 能【よ】く幾時ぞ、鬢髪【びんぱつ】  各々已に蒼【そう】たり。
旧を訪【と】えば  半ば鬼と為る、驚き呼んで中腸【ちゅうちょう】熱(ねつ)す。
#2
焉【いずく】んぞ知らん  二十載【さい】、重ねて君子【くんし】の堂に上らんとは。
昔 別れしとき 君【きみ】未だ婚せざりしに、児女【じじょ】  忽ち行【こう)を成す。
怡然【いぜん】として父の執【とも】を敬【うやま】い、我に問う  何れの方【かた】より来たるやと。
問答  未だ已【や】むに及ばざるに、児【じ】を駆【か】って酒漿【しゅしょう】を羅【つら】ぬ。
#3
夜雨【やう】 春韮【しゅんきゅう】を剪【き】り、新炊(しんすい】  黄粱【こうりょう】を間【まじ】う。
主【しゅ】は称す 会面【かいめん)難【かた】し、一挙 十觴【じつしょう】を累【かさ】ねよと。
十觴も亦た酔わず、子(し)が故意(こい】の長きに感ず。
明日【めいじつ】 山岳を隔【へだ】てば、世事【せいじ】   両【ふた】つながら茫茫【ぼうぼう)たらん。


現代語訳と訳註
(本文)
贈衛八処士 #1
人生不相見、動如参与商。
今夕復何夕、共此燈燭光。』
少壮能幾時、鬢髪各已蒼。
訪旧半為鬼、驚呼熱中腸。--①


(下し文) (衛八処士に贈る) #1
人生  相【あい】見ざる、動【やや】もすれば参【さん】と商【しょう】との如し・
今夕【こんせき】 復【ま】た何の夕べぞ、此の灯燭【とうしょく】の光を共にす。』
少壮 能【よ】く幾時ぞ、鬢髪【びんぱつ】  各々已に蒼【そう】たり。
旧を訪【と】えば  半ば鬼と為る、驚き呼んで中腸【ちゅうちょう】熱(ねつ)す。 


(現代語訳)
人生においてはおたがい面会できないことがあって、ともすると短い人生においては、参星と商星のごとく、一度別れた人ともう一度会うということは難しいものだけれども、あなたとこの灯りの下で会えて本当に嬉しい。
しかるに今晩はどういうことか君といっしょにこの夕べを過ごす、参章の星と違って、このともしびのひかりにてらされることができる。』
人間のわかいときはどれほどのことでもないことであったものが、おたがい鬚や頭髪はすでにごましおになってしまった。
旧友のだれかれはどうしたとたずねてみると半分はあの世の人になっている。これをきいては驚きさけび、腸のおくも熟してしまうほどつらいことだ。

(訳注)
贈衛八處士
衛八處士 衛は姓、八は排行(一族を尊卑によって祖父行、父行、兄弟行、子行とわけ、各行の中を長幼の順で並べた数。特に兄弟行についていう。)、處士とは読書人で出仕しない人。蒲州の隠遁者、衛太經の同族といわれる。


人生不相見,動如參與商。
人生  相【あい】見ざる、動【やや】もすれば参【さん】と商【しょう】との如し。
人生においてはおたがい面会できないことがあって、ともすると短い人生においては、参星と商星のごとく、一度別れた人ともう一度会うということは難しいものだけれども、あなたとこの灯りの下で会えて本当に嬉しい。
参商 参は西方の星。商とは、東方の星。心宿、辰宿。大火星。この二つの星は遠く離れ、しかも同時にあらわれないことから、遠く離れて会えない夫婦の離別、兄弟の仲たがい、めったにめぐりあわぬほしという。曹植、『興呉李重書』「面有逸景之速、別有参商之闊。」(面しては逸景之速かなる有り、別れては参商之闊【はる】かなる有り。)二十八宿(角宿 亢宿 宿 房宿 心宿 尾宿 箕宿 斗宿 牛宿 女宿 虚宿 危宿 室宿 壁宿 奎宿 婁宿 胃宿 昴宿 畢宿 觜宿 参宿 井宿 鬼宿 柳宿 星宿 張宿 翼宿 軫宿)


今夕是何夕,共此燈燭光?
今夕【こんせき】 復【ま】た何の夕べぞ、此の灯燭【とうしょく】の光を共にす。』
しかるに今晩はどういうことか君といっしょにこの夕べを過ごす、参章の星と違って、このともしびのひかりにてらされることができる。』


少壯能幾時?鬢發各已蒼
今夕【こんせき】 復【ま】た何の夕べぞ、此の灯燭【とうしょく】の光を共にす。』
人間のわかいときはどれほどのことでもないことであったものが、おたがい鬚や頭髪はすでにごましおになってしまった。
撃髪 ぴんのけ、かみのけ。○ ごましお。


訪舊半為鬼,驚呼熱中腸。
旧を訪【と】えば  半ば鬼と為る、驚き呼んで中腸【ちゅうちょう】熱(ねつ)す。
旧友のだれかれはどうしたとたずねてみると半分はあの世の人になっている。これをきいては驚きさけび、腸のおくも熟してしまうほどつらいことだ。
訪旧 旧は旧知の友。○ 死者。

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