贈衛八処士 #2 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 293
乾元2年 759年 48歳


贈衛八処士 
処士たる衛某におくった詩。処士とは仕えず隠遁しおる者をいう。衛某に関しては其の人、其の地、共に明かでない。乾元二年春作者が華州にあったとき其の家を訪うたのであろうと

贈衛八処士
人生不相見、動如参与商。
今夕復何夕、共此燈燭光。』
少壮能幾時、鬢髪各已蒼。
訪旧半為鬼、驚呼熱中腸。--①
焉知二十載、重上君子堂。
もう二十年にもなるのか、自分にとってほおもいもよらぬことである、ふたたび君の家のおざしきへあがることになろうとは。
昔別君未婚、男女忽成行。
昔別れたときには君は未だ結婚していなかった。いまみれば男女のお子さんがにわかに行列をしているではないか。
怡然敬父執、問我来何方。』
そうしてお子さんが楽しげにおとうさんの友だちである自分を尊敬してくれ、自分に「どちらからおいでになったか」などたずねてくれる。』
問答未及已、駆児羅酒漿。--②

この問答がすむかすまぬうちに君は子どもらに指図して酒や飲みものを席前へならべさせる。
夜雨剪春韮、新炊間黄粱。
主称会面難、一挙累十觴。
十觴亦不酔、感子故意長。
明日隔山岳、世事両茫茫。』--③


(衛八処士に贈る)
#1
人生  相【あい】見ざる、動【やや】もすれば参【さん】と商【しょう】との如し
今夕【こんせき】 復【ま】た何の夕べぞ、此の灯燭【とうしょく】の光を共にす。』
少壮 能【よ】く幾時ぞ、鬢髪【びんぱつ】  各々已に蒼【そう】たり。
旧を訪【と】えば  半ば鬼と為る、驚き呼んで中腸【ちゅうちょう】熱(ねつ)す
#2
焉【いずく】んぞ知らん  二十載【さい】、重ねて君子【くんし】の堂に上らんとは。
昔 別れしとき 君【きみ】未だ婚せざりしに、児女【じじょ】  忽ち行【こう)を成す。
怡然【いぜん】として父の執【とも】を敬【うやま】い、我に問う  何れの方【かた】より来たるやと。
問答  未だ已【や】むに及ばざるに、児【じ】を駆【か】って酒漿【しゅしょう】を羅【つら】ぬ。

#3
夜雨【やう】 春韮【しゅんきゅう】を剪【き】り、新炊(しんすい】  黄粱【こうりょう】を間【まじ】う。
主【しゅ】は称す 会面【かいめん)難【かた】し、一挙 十觴【じつしょう】を累【かさ】ねよと。
十觴も亦た酔わず、子(し)が故意(こい】の長きに感ず。
明日【めいじつ】 山岳を隔【へだ】てば、世事【せいじ】   両【ふた】つながら茫茫【ぼうぼう)たらん。


現代語訳と訳註
(本文)

焉知二十載、重上君子堂。
昔別君未婚、男女忽成行。
怡然敬父執、問我来何方。』
問答未及已、駆児羅酒漿。--②


(下し文) #2
焉【いずく】んぞ知らん  二十載【さい】、重ねて君子【くんし】の堂に上らんとは。
昔 別れしとき 君【きみ】未だ婚せざりしに、児女【じじょ】  忽ち行【こう)を成す。
怡然【いぜん】として父の執【とも】を敬【うやま】い、我に問う  何れの方【かた】より来たるやと。
問答  未だ已【や】むに及ばざるに、児【じ】を駆【か】って酒漿【しゅしょう】を羅【つら】ぬ。


(現代語訳)
もう二十年にもなるのか、自分にとってほおもいもよらぬことである、ふたたび君の家のおざしきへあがることになろうとは。
昔別れたときには君は未だ結婚していなかった。いまみれば男女のお子さんがにわかに行列をしているではないか。
そうしてお子さんが楽しげにおとうさんの友だちである自分を尊敬してくれ、自分に「どちらからおいでになったか」などたずねてくれる。』
この問答がすむかすまぬうちに君は子どもらに指図して酒や飲みものを席前へならべさせる。


(訳注)
焉知二十載,重上君子堂?

いずく】んぞ知らん  二十載【さい】、重ねて君子【くんし】の堂に上らんとは
もう二十年にもなるのか、自分にとってほおもいもよらぬことである、ふたたび君の家のおざしきへあがることになろうとは。
○ 君子 衛をさす。


昔別君未婚,男女忽成行。
昔 別れしとき 君【きみ】未だ婚せざりしに、児女【じじょ】  忽ち行【こう)を成す。
昔別れたときには君は未だ結婚していなかった。いまみれば男女のお子さんがにわかに行列をしているではないか
 衛。○男女 衛のこどもら、男の字は或は児に作る。○行 行列、多くあること。


怡然敬父執,問我來何方。
怡然【いぜん】として父の執【とも】を敬【うやま】い、我に問う  何れの方【かた】より来たるやと。
そうしてお子さんが楽しげにおとうさんの友だちである自分を尊敬してくれ、自分に「どちらからおいでになったか」などたずねてくれる。』
怡然 よろこぶさま。○父執 「礼記」曲礼上にみえる、同志の友を執といぅ、けだし、「志ヲ執ル」ことの同じきことをいうのであろう。○何方 方は方位。


問答未及已,駆兒羅酒漿。
問答  未だ已【や】むに及ばざるに、児【じ】を駆【か】って酒漿【しゅしょう】を羅【つら】ぬ。
この問答がすむかすまぬうちに君は子どもらに指図して酒や飲みものを席前へならべさせる。
問答 こどもらとの問答。○駆児 児を駆るといえば、父の衛が指図してやらせること。○羅 羅列。○酒漿 漿 はのみもの。

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