重題鄭氏東亭 杜甫 <221> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1070 杜甫詩集700- 321


重題鄭氏東亭
  杜甫原注 在新安界
華亭入翠微,秋日亂清暉。
華彩ある亭は山の中腹、緑に囲まれた中に入っていくとある。既に秋の日は少し傾きかけてきたので清らかに輝き乱れている。
崩石欹山樹,清漣曳水衣。
途中大岩が崩れかけて道に逼っていて山にある木々は傍に立っている、白衣を落すような滝があり岩陰の淵には水紋をひろげている。
紫鱗沖岸躍,蒼隼護巢歸。
渓流魚は淵の岸をかすめて跳ね上がる、ハヤブサは飛び、巣を守るためにかえる。
向晩尋徴路,殘雲傍馬飛。
あたりは夕暮れになって薄暗くなりかけた道を尋ね行く。ちぎれ雲が馬を進めるのに合わせて飛んでいる。

重ねて鄭氏が東亭に題す
華亭 翠微【すいび】に入リ、秋日 清輝【せいき】 亂る。
崩石【ほうせき】 山樹 黻【そばた】ち、清漣【せいれん】 水衣を曳く。
紫鱗【しりん】 岸を衝いて躍り、蒼隼【そうしゅん】 巣を護りて歸る。
晩に向【なんな】ん として征路を尋ね、殘雲 馬に傍【そ】うて飛ぶ。

現代語訳と訳註
(本文)
重題鄭氏東亭  杜甫原注 在新安界
華亭入翠微,秋日亂清暉。
崩石欹山樹,清漣曳水衣。
紫鱗沖岸躍,蒼隼護巢歸。
向晩尋徴路,殘雲傍馬飛。

(下し文) 重ねて鄭氏が東亭に題す
華亭 翠微【すいび】に入リ、秋日 清輝【せいき】 亂る。
崩石【ほうせき】 山樹 黻【そばた】ち、清漣【せいれん】 水衣を曳く。
紫鱗【しりん】 岸を衝いて躍り、蒼隼【そうしゅん】 巣を護りて歸る。
晩に向【なんな】ん として征路を尋ね、殘雲 馬に傍【そ】うて飛ぶ。


(現代語訳)
華彩ある亭は山の中腹、緑に囲まれた中に入っていくとある。既に秋の日は少し傾きかけてきたので清らかに輝き乱れている。
途中大岩が崩れかけて道に逼っていて山にある木々は傍に立っている、白衣を落すような滝があり岩陰の淵には水紋をひろげている。
渓流魚は淵の岸をかすめて跳ね上がる、ハヤブサは飛び、巣を守るためにかえる。
あたりは夕暮れになって薄暗くなりかけた道を尋ね行く。ちぎれ雲が馬を進めるのに合わせて飛んでいる。


(訳注)
重題鄭氏東亭

重ねて鄭駙馬氏の東の亭に題す。
鄭氏。駙馬鄭潜躍。東山は藍田県の東南にある藍田山、即ち玉山であり、草堂はかやぶきの堂である。此の堂は前詩の別荘とは異なるものである。此の詩は崔氏の東山の草堂において作る。前詩と同時期の作。西隣に王維の輞川荘があるが、王維は自身傷心の身であると同時に朝廷に嫌気を覚えていた。安史の乱までに輞川荘を完成させ、二十首の『輞川集』を完成させたことも官僚勤めを遠ざけるもので、仏教に傾倒深くなっていたのである。
東亭 新安の界に在り河南府に属す。洛陽から華州に帰る際に立ち寄ったもの。藍田の東山草堂とはべつもの。
 

華亭入翠微,秋日亂清暉。
華彩ある亭は山の中腹、緑に囲まれた中に入っていくとある。既に秋の日は少し傾きかけてきたので清らかに輝き乱れている。
華亭。華彩ある亭。鄭県の宿場か、駅である。○翠微 山の中腹。山中、木々がうっそうと茂り、薄暗い様子。○秋日 秋の日、沈みかけた夕日。○【き】 1 ひかり。かがやき。「落暉」 2 かがやく。ひかる。


崩石欹山樹,清漣曳水衣。
途中大岩が崩れかけて道に逼っていて山にある木々は傍に立っている、白衣を落すような滝があり岩陰の淵には水紋をひろげている。
崩石 樹や崩石に圧迫させられる、そばたつ様子をいう。○ 清漣。詩に河水清うして且つ漣猗とあり、水紋を成すを漣といふ


紫鱗沖岸躍,蒼隼護巢歸。
渓流魚は淵の岸をかすめて跳ね上がる、ハヤブサは飛び、巣を守るためにかえる。
紫鱗 魚○ 蒼隼。ハヤフサ


向晩尋徴路,殘雲傍馬飛。
あたりは夕暮れになって薄暗くなりかけた道を尋ね行く。ちぎれ雲が馬を進めるのに合わせて飛んでいる。


崔氏東山草堂  杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 27

崔氏東山草堂
愛汝玉山草堂靜,高秋爽氣相鮮新。
有時自發鐘磬響,落日更見漁樵人。
盤剝白鴉谷口栗,飯煮青泥坊底蓴。
何為西莊王給事,柴門空閉鎖松筠?

(崔氏が東山の草堂)
愛す汝が玉山【ぎょくさん】草堂の静かなるを、高秋【こうしゅう】の爽気【そうき】 相 鮮新【せんしん】。
時有ってか自ら発す鐘磬【しょうけい】の響、落日更に見る漁樵【ぎょしょう】の人。
盤には剥【は】ぐ白鴉【はくあ】谷口【こくこう】の栗【りつ】、飯【はん】には煮る青泥【せいでい】坊底【ぼうてい】の蓴【じゅん】。
何為【なんすれ】ぞ西荘【せいそう】の王給事、柴門【さいもん】空しく閉じて松筠【しょうきん】に鎖【とざ】す。

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奉陪鄭駙馬韋曲二首其一 杜甫 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 75

奉陪鄭駙馬韋曲二首其二 杜甫   :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 76

 

鄭駙馬宅宴洞中 杜甫

 

題鄭牌亭子 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 270


題鄭縣亭子
鄭縣亭子澗之濱,戶牖憑高發興新。
雲斷岳蓮臨大路,天晴宮柳暗長春。
巢邊野雀欺群燕,花底山蜂趁遠人。
更欲題詩滿青竹,晚來幽獨恐傷神。

 
(鄭県の亭子に題す)
鄭県【ていけん】の亭子【ていし】澗【かん】の浜【ひん】、戶牖【こゆう】 高きに憑【よ】れば発興【ほつきょう】新なり。
雲断えて岳蓮【がくれん】大路【たいろ】に臨み、天晴れて宮柳【きゅうりゅう】長春【ちょうしゅん】に暗し。
巣辺【そうへん】には野雀【やじゃく】羣【むら】がりて燕を欺【あなど】り、花底【かてい】には山蜂【さんぽう】遠く人を趁【お】う。
更に詩を題して青竹に満【み】てんと欲するも、晩来幽独【ゆうどく】にして恐らくは神を傷【いた】ましめん。

(現代語訳)
鄭県の宿場の傍、谷間の水辺にある、その宿場の戸や窓から高処に寄って眺めると新しく興が沸き起こる。
雲が途絶えて華岳の蓮峰が大道にさしかかっており、空は晴れ渡って河向かいの長春宮のあたりに柳が小暗く見えている。
やや近くでは燕の巣の傍へ野の雀が群がってやって来てそれをあなどっており、花樹のあいだを通って行く人を山蜂が同じようにどこまでもとくっついて行く。(遠景近景ともにおもしろい。あるいは、朝廷内のことを揶揄しているのか)
そこでわたしは宿場の傍の青竹の幹にもっと詩をかきつけていっぱいになるほどにしようかと思うのだが、いかにせん、夕方になって。竹藪の奥深い所、寂しく一人でいることで、いろんなおもい、心の傷が浮かんでくる。(だからこのまま竹林の奥にひっそりと棲みたいものだ。)