夢李白二首 其二 <231-#1>杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1124 杜甫特集700- 339

(李白を夢む その二)
華州から秦州への旅の途中、杜甫は李白の夢を三晩もつづけて李白の夢を見た。それで、李白は死んでしまって魂魄が飛んできて夢に現われたのではないかと疑ったのだ。夢の中で李白は「もう帰る」といいながら落ち着きがなく、「来たること易からず 江湖 風波多し 舟楫 恐らくは失墜せん」と不吉なことを言うのである。
 夢の中の李白に、いつもの傲然としたところがなく、しょぼい白髪頭を掻いている。「まさかとは思うが、あなたほどの人が老境になって罰せられ、死後に名を残すようなことになるのだろうか」と、杜甫は李白の死を心配している。
759年乾元二年7月48歳秦州に向かう道中で書いたもの。


其二
浮雲終日行、遊子久不至。  
空に浮かんでいる雲は一日中動き飛び去って戻らないが、その雲と同じようにわたしがはるかに思う旅人(李白)もなかなかこちらへやってこない。
三夜頻夢君、情親見君意。
ところが近ごろ、三晩続いてしきりと君を夢にみたのだ。それで君の思いがわたしに伝わっていかに親しもうとする意をもっているかが見られるというものだ。」
告歸常局促、苦道來不易。
夢で遭う度にいつも君は「もうかえる」と告げてのびのびしない様子なのだ、それは李白が苦々しく云うにはここへやってくるのは容易ではなかったということなのだ。
江湖多風波、舟楫恐失墜。』
「江南・江湖の地方は風波が多いから、舟や楫があるいはおとされ失われるのではないかと心配する」などというのである。
#2
出門搔白首、若負平生志。
冠蓋滿京華、斯人獨憔悴。
孰云網恢恢、將老身反累。
千秋萬歲名、寂寞身後事。』


(李白を夢む その二)
浮雲 終日行く、遊子 久しく至らず。
三夜 頻【しき】りに君を夢む、情 親しみ君が意を見る。
歸るを告げて常に局促【きょくそく】たり、苦【ねんごろ】に道【い】う 來るは易からず。
江湖【こうこ】風波多く、舟楫【しゅうしゅう】失墜せんことを恐ると。』
#2
門を出(い)でて白首【はくしゅ】を掻く、平生【へいぜい】の志に負【そむ】くが若【ごと】し。
冠蓋【かんがい】京華【けいか】に満つ、斯【こ】の人 独り  顦顇【しょうすい】す。
孰【たれ】か云う 網【あみ】恢恢【かいかい】たりと、将【まさ】に老いんとして身【み】)反【かえ)って累【つみ】()せらる。
千秋【せんしゅう】 万歳【ばんざい】の名は、寂寞【せきばく】たる身後【しんご】の事。』


現代語訳と訳註
(本文) 其二
浮雲終日行、遊子久不至。  
三夜頻夢君、情親見君意。
告歸常局促、苦道來不易。
江湖多風波、舟楫恐失墜。」


(下し文)
(李白を夢む その二)
浮雲 終日行く、遊子 久しく至らず。
三夜 頻【しき】りに君を夢む、情 親しみ君が意を見る。
歸るを告げて常に局促【きょくそく】たり、苦【ねんごろ】に道【い】う 來るは易からず。
江湖【こうこ】風波多く、舟楫【しゅうしゅう】失墜せんことを恐ると。」


(現代語訳)
空に浮かんでいる雲は一日中動き飛び去って戻らないが、その雲と同じようにわたしがはるかに思う旅人(李白)もなかなかこちらへやってこない。
ところが近ごろ、三晩続いてしきりと君を夢にみたのだ。それで君の思いがわたしに伝わっていかに親しもうとする意をもっているかが見られるというものだ。」
夢で遭う度にいつも君は「もうかえる」と告げてのびのびしない様子なのだ、それは李白が苦々しく云うにはここへやってくるのは容易ではなかったということなのだ。
「江南・江湖の地方は風波が多いから、舟や楫があるいはおとされ失われるのではないかと心配する」などというのである。


(訳注) 其二
浮雲終日行、遊子久不至。 
 
空に浮かんでいる雲は一日中動き飛び去って戻らないが、その雲と同じようにわたしがはるかに思う旅人(李白)もなかなかこちらへやってこない。
終日行一日中うごき去る、遊子のかえらぬことの比喩。○遊子 旅人、李白をさす。○ 自己の居る処へくる。


三夜頻夢君、情親見君意。
ところが近ごろ、三晩続いてしきりと君を夢にみたのだ。それで君の思いがわたしに伝わっていかに親しもうとする意をもっているかが見られるというものだ。」
情親 心のしたしいこと。○君意 李白の情親しむの意。情親見君意とは見二君情親恵一というのにおなじ。○告帰 李白がもはや商へかえるべきことを作者につげる。


告歸常局促、苦道來不易。
夢で遭う度にいつも君は「もうかえる」と告げてのびのびしない様子なのだ、それは李白が苦々しく云うにはここへやってくるのは容易ではなかったということなのだ。
 三夜ともいつも。○局促 心ののびのびせぬ様子。○苦道 李白が苦々しく云う。容疑の事実に不満足であること。○来不易 ここへくることは容易でなかった。


江湖多風波、舟楫恐失墜。』
「江南・江湖の地方は風波が多いから、舟や楫があるいはおとされ失われるのではないかと心配する」などというのである。
江湖二句 李白の言とする。