遣興三首其一 杜甫 <243>遣興22首の②番 kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1175 杜甫特集700- 356




遣興三首 758年 乾元元年罷諌官後作 房琯擁護の後、疎外感を持って勤務したころ

我今日夜憂,諸弟各異方。
私は現在日ごと夜ごと心配している。というのは弟たち、それぞれがあちこちに行っている。
不知死與生,何況道路長。
それだから、死んでいるのか生きているのかわからないのだ。何をしているやらどうしているのか彼らと道が遠く離れているのだ。
避寇一分散,饑寒永相望。
安禄山の叛乱により残虐から避けていったん分散したのだ。寒さに加えて食べるものがなく飢えてしまったし、長らく会いたいものと望んでいた。
豈無柴門歸?欲出畏虎狼。
どうしてこの貧しい家の門に帰ってくることが出来ないのか、叛乱軍の安禄山と史思明たちを畏れて出立して欲しいものである。
仰看雲中雁,禽鳥亦有行。

仰ぎ見れば時も過ぎて雲の中に雁が飛んでいる、獰猛な鳥がまた我が物顔で行き来している。

我 今 日び夜よな 憂う,諸弟 各おの方を異にす。
死と生を知ず,何んぞ況んや道路 長し。
寇を避けて一び分散す,寒に饑えてて永らく相い望む。
豈に柴門 歸る無らんや?虎狼を畏れて出んと欲す。
仰ぎ看れば雲中の雁,禽鳥 亦た行く有り。


蓬生非無根,漂蕩隨高風。天寒落萬裡,不複歸本叢。
客子念故宅,三年門巷空。悵望但烽火,戎車滿關東。
生涯能幾何,常在羈旅中!
蓬生は無根に非らず,漂蕩は高風に隨う。
天寒 萬裡に落ち,本叢に歸るに複ず。
客子 故宅を念う,三年 門巷 空し。
悵望して但だ烽火なり,戎車 關東に滿つ。
生涯 能く幾何らん,常に在るは羈旅に中る!


昔在洛陽時,親友相追攀。送客東郊道,遨遊宿南山。
煙塵阻長河,樹羽成皋間。回首載酒地,豈無一日還?
丈夫貴壯健,慘戚非朱顏。

昔在【むかし】 洛陽の時,親友 相い追攀【ついはん】す。
客を送るは東郊の道,遨遊【ごうゆう】して南山に宿す。
煙塵【えんじん】 長河を阻み,羽を樹【お】く 成皋【せいこう】の間。
首を回らして載酒【さいしゅ】の地を,豈 一日にして還える無からん?
丈夫【じょうぶ】壯健【そうけん】を貴び,慘戚【さんせき】朱顏【しゅがん】に非ず。


現代語訳と訳註
(本文) 遣興三首 其一 ②
我今日夜憂,諸弟各異方。
不知死與生,何況道路長。
避寇一分散,饑寒永相望。
豈無柴門歸?欲出畏虎狼。
仰看雲中雁,禽鳥亦有行。


(下し文) 遣興三首 其一 ②
我 今 日び夜よな 憂う,諸弟 各おの方を異にす。
死と生を知ず,何んぞ況んや道路 長し。
寇を避けて一び分散す,寒に饑えてて永らく相い望む。
豈に柴門 歸る無らんや?虎狼を畏れて出んと欲す。
仰ぎ看れば雲中の雁,禽鳥 亦た行く有り。


(現代語訳)
私は現在日ごと夜ごと心配している。というのは弟たち、それぞれがあちこちに行っている。
それだから、死んでいるのか生きているのかわからないのだ。何をしているやらどうしているのか彼らと道が遠く離れているのだ。
安禄山の叛乱により残虐から避けていったん分散したのだ。寒さに加えて食べるものがなく飢えてしまったし、長らく会いたいものと望んでいた。
どうしてこの貧しい家の門に帰ってくることが出来ないのか、叛乱軍の安禄山と史思明たちを畏れて出立して欲しいものである。
仰ぎ見れば時も過ぎて雲の中に雁が飛んでいる、獰猛な鳥がまた我が物顔で行き来している。


(訳注) 遣興三首 其一 ②
我今日夜憂,諸弟各異方。
私は現在日ごと夜ごと心配している。というのは弟たち、それぞれがあちこちに行っている。
諸弟各異方 この時妻子は邠州羌村に、弟は洛陽の東の村に、義母と義弟山東済州、叔弟秦州と分散していた。


不知死與生,何況道路長。
それだから、死んでいるのか生きているのかわからないのだ。何をしているやらどうしているのか彼らと道が遠く離れているのだ。
・この句から4句は杜甫自身が逃げ回って生死の線上をさまよったことを述べる


避寇一分散,饑寒永相望。
安禄山の叛乱により残虐から避けていったん分散したのだ。寒さに加えて食べるものがなく飢えてしまったし、長らく会いたいものと望んでいた。
 755年11月に叛乱蜂起し、12月に洛陽を陥落させ、略奪の限りを尽くし756年6月には都長安を奪取し暴略・残虐、大虐殺を伴ったものであったため寇という表現をした。・饑寒 杜甫のこの時の苦労を述べる詩。

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饑 うえる1 作物が実らないで乏しい。 2 食糧が乏しくてひもじい。


豈無柴門歸?欲出畏虎狼。
どうしてこの貧しい家の門に帰ってくることが出来ないのか、叛乱軍の安禄山と史思明たちを畏れて出立して欲しいものである。
柴門 柴垣の門。借家の門。郊外、田舎の貧しい家の門。・虎狼 安史軍。安禄山と史思明の叛乱軍を指す。


仰看雲中雁,禽鳥亦有行。
仰ぎ見れば時も過ぎて雲の中に雁が飛んでいる、獰猛な鳥がまた我が物顔で行き来している。
禽鳥【きんちょう】鳥。鳥類。家つ鳥。漢民族が異民族を見下して呼んだ言葉。「夷狄」は、えびす・未開人。 「西戎東夷( せいじゅうとうい )」「南蛮北狄( なんばんほくてき ) 」「 夷蛮戎狄(いばんじゅうてき )」.