遣興三首其二 杜甫 <244>遣興22首の③番 kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1181 杜甫特集700- 358


房琯擁護の後、疎外感を持って勤務したころ
遣興三首 758 乾元元年罷諌官後作 
我今日夜憂,諸弟各異方。
私は現在日ごと夜ごと心配している。というのは弟たち、それぞれがあちこちに行っている。
不知死與生,何況道路長。
それだから、死んでいるのか生きているのかわからないのだ。何をしているやらどうしているのか彼らと道が遠く離れているのだ。
避寇一分散,饑寒永相望。
安禄山の叛乱により残虐から避けていったん分散したのだ。寒さに加えて食べるものがなく飢えてしまったし、長らく会いたいものと望んでいた。
豈無柴門歸?欲出畏虎狼。
どうしてこの貧しい家の門に帰ってくることが出来ないのか、叛乱軍の安禄山と史思明たちを畏れて出立して欲しいものである。
仰看雲中雁,禽鳥亦有行。

仰ぎ見れば時も過ぎて雲の中に雁が飛んでいる、獰猛な鳥がまた我が物顔で行き来している。

我 今 日び夜よな 憂う,諸弟 各おの方を異にす。
死と生を知ず,何んぞ況んや道路 長し。
寇を避けて一び分散す,寒に饑えてて永らく相い望む。
豈に柴門 歸る無らんや?虎狼を畏れて出んと欲す。
仰ぎ看れば雲中の雁,禽鳥 亦た行く有り。


蓬生非無根,漂蕩隨高風。
ヨモギが一面に生え茂って荒れ果てている所といっても根を張っていないということはない。さまよい、さすらうこと言うのは高士の風格に随っているのだ。
天寒落萬裡,不複歸本叢。
極寒が万里の内に天から降りてくると、転蓬となって再びもとの一面の叢には帰ってくることはないのだ。
客子念故宅,三年門巷空。
旅人であれば故郷の家を思うものである。もう三年、私の家の門や門前の小道に家族が集うことはなく、むなしく淋しいものである。
悵望但烽火,戎車滿關東。
心をいためて思いやるのであるが戦争の烽火はやまないのである、指揮するのに使われる戦車は関中から東には満ち満ちているのだ。
生涯能幾何,常在羈旅中!

私の生涯は残りがそれほどあるわけではないのだ、それに何時も旅をしていて今も旅の真っ只中にいるのだ。

蓬生は無根に非らず,漂蕩は高風に隨う。
天寒 萬裡に落ち,本叢に歸るに複ず。
客子 故宅を念う,三年 門巷 空し。
悵望して但だ烽火なり,戎車 關東に滿つ。
生涯 能く幾何らん,常に在るは羈旅に中る!


昔在洛陽時,親友相追攀。送客東郊道,遨遊宿南山。
煙塵阻長河,樹羽成皋間。回首載酒地,豈無一日還?
丈夫貴壯健,慘戚非朱顏。

昔在【むかし】洛陽の時,親友 相い追攀【ついはん】す。
客を送るは東郊の道,遨遊【ごうゆう】して南山に宿す。
煙塵【えんじん】 長河を阻み,羽を樹【お】く 成皋【せいこう】の間。
首を回らして載酒【さいしゅ】の地を,豈 一日にして還える無からん?
丈夫【じょうぶ】壯健【そうけん】を貴び,慘戚【さんせき】朱顏【しゅがん】に非ず。



現代語訳と訳註
(本文) 其二
 ③
蓬生非無根,漂蕩隨高風。
天寒落萬裡,不複歸本叢。
客子念故宅,三年門巷空。
悵望但烽火,戎車滿關東。
生涯能幾何,常在羈旅中!


(下し文) 其二 ③
蓬生は無根に非らず,漂蕩は高風に隨う。
天寒 萬裡に落ち,本叢に歸るに複ず。
客子 故宅を念う,三年 門巷 空し。
悵望して但だ烽火なり,戎車 關東に滿つ。
生涯 能く幾何らん,常に在るは羈旅に中る!


(現代語訳)
ヨモギが一面に生え茂って荒れ果てている所といっても根を張っていないということはない。さまよい、さすらうこと言うのは高士の風格に随っているのだ。
極寒が万里の内に天から降りてくると、転蓬となって再びもとの一面の叢には帰ってくることはないのだ。
旅人であれば故郷の家を思うものである。もう三年、私の家の門や門前の小道に家族が集うことはなく、むなしく淋しいものである。
心をいためて思いやるのであるが戦争の烽火はやまないのである、指揮するのに使われる戦車は関中から東には満ち満ちているのだ。
私の生涯は残りがそれほどあるわけではないのだ、それに何時も旅をしていて今も旅の真っ只中にいるのだ。


(訳注) 其二 ③
蓬生非無根,漂蕩隨高風。

ヨモギが一面に生え茂って荒れ果てている所といっても根を張っていないということはない。さまよい、さすらうこと言うのは高士の風格に随っているのだ。
蓬生 ヨモギが一面に生え茂って荒れ果てている所。轉蓬。 ・漂蕩 1 水にただようこと。 2 さまようこと。さすらうこと。漂泊。


天寒落萬裡,不複歸本叢。
極寒が万里の内に天から降りてくると、転蓬となって再びもとの一面の叢には帰ってくることはないのだ。
本叢 1 草が群がり生える。くさむら。「叢生/淵叢(えんそう)」 2 群がり集まる。多くのものの集まり。


客子念故宅,三年門巷空。
旅人であれば故郷の家を思うものである。もう三年、私の家の門や門前の小道に家族が集うことはなく、むなしく淋しいものである。
客子 旅人。遊子。・門巷空 門や門前の小道。門と巷ちまたのこと。門巷填隘。門や門前の小道が、人が多く集まることでふさがってしまい、通れなくなるほど狭くなってしまうこと。人が多く集まり、密集しているさまをいう。


悵望但烽火,戎車滿關東。
心をいためて思いやるのであるが戦争の烽火はやまないのである、指揮するのに使われる戦車は関中から東には満ち満ちているのだ。
悵望 心をいためて思いやること。うらめしげに見やること。・戎車 戦車のこと。戦時、君主が乗車して作戦を指揮するのに使われる戦車をいう。あるいは「戎路」と呼ばれる。春秋時代中期以降、戎車は将軍の指揮車となり、「元戎」と呼ばれ、戦列の先頭にたった。


生涯能幾何,常在羈旅中!
私の生涯は残りがそれほどあるわけではないのだ、それに何時も旅をしていて今も旅の真っ只中にいるのだ。