秦州雜詩二十首 其十八 杜甫 第5部 <271> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1262 杜甫詩 700- 385




秦州雜詩二十首
秦州雜詩二十首 第一部(其の一から其四)
●秦州の概要について述べる。

秦州雜詩二十首 第二部(其の五から其八)
●秦州と戰について述べる。

秦州雜詩二十首 第三部(其の九から其の十二)
●秦州城内のようすや住居のことを詠っている。

秦州雜詩二十首 第四部(其の十三から其の十六)
●隠棲の場所として東柯谷、仇池山、西枝村の西谷を候補にする。いよいよ杜甫は、隠棲するのにいい場所を見つけたようだ。東柯谷である。

秦州雜詩二十首 第五部(其の十七から其の二十)


17秦州雜詩二十首 其十七
(東柯谷の雨中山居のさまをのぺる。)
邊秋陰易久,不複辨晨光。
辺地の秋に雨雲で昼でも暗く、夕がたになるとはやく暮れてしまいやすいし、秋の夜長がさらにながい朝の区別が谷あいのためわからないに加えて雲りのために夜が明けたからといっても日光が知り分けられるわけではない。
簷雨亂淋幔,山雲低度牆。
のきばにそそぐ雨はみだれて幔幕にしただり、山よりおこる雲はひくく土塀をこえつつある。
鸕鶿窺淺井,蚯蚓上深堂。
鵜の鳥は浅い井に餌があるかとのぞきこんでくる、みみずは奥のざしきまであがってくる。
車馬何蕭索,門前百草長。
訪いくる車馬はなくてひっそりさびしいものであり、門前にはたださまざまの草がせたかくのびている。
邊秋【へんしゅう】陰【くも】りて久しくなり易し、複た晨光【しんこう】をも辨【べん】ぜず。
簷雨【えんう】亂れて幔に淋り、山雲【さんうん】低【た】れて牆【しょう】を度【わた】る。
鸕鶿【ろじ】浅井【せんせい】を窺【うかが】い、蚯蚓【きゅういん】深堂【しんどう】に上る。
車馬何ぞ蕭索【しょうさく】たる、門前【もんぜん】百草【ひゃくそう】長し。


  
18秦州雜詩二十首 其十八
(客人として間借りの身でいるために吐蕃の乱の基地であるため憂えた詩である。)
地僻秋將盡,山高客未歸。
この山間僻地のこの地に秋がもう尽きかけている。わたしは山が高くとりかこんでいるこんなところに隠遁できなくてまだ旅人のままでいる。
塞雲多斷績,邊日少光輝。
とりでの上にうかぶ雲は途切れたり続いたりしているし、ここ国境地域の太陽はひかりが薄く見える。
警急烽常報,傳聞檄屢飛。
吐蕃の乱で一刻も警備をいそがねばならぬことは蜂火がいつもそれを知らせてくるし、軍隊の戦意高揚の檄もたびたび飛んでいるということは人伝にきいている。
西戎外甥國,何得迕天威。
西戎たる吐蕃は我が唐にとっては甥の国であったはず、それなのにどうして天子の御威光にさからうのであろうか、さからえるはずはないのであるが。
地僻【ちへき】にして 秋 将に尽きんとす、山高くして客未だ帰らず。
塞【さい】雲 多く断続す、辺【へん】日【じつ】光輝【こうき】少なし。
警急【けいきゅう】蜂常に報ず、伝聞す檄【げき】の屢【しばし】ば飛ぶを。
西戎【せいじゅう】は外甥【がいせい】の国、何ぞ天威【てんい】に迕【たご】うことを得ん。

19秦州雜詩二十首 其十九
鳳林戈未息,魚海路常難。候火雲峰峻,懸軍幕井幹。
風連西極動,月過北庭寒。故老思飛將,何時議築壇?
 
20秦州雜詩二十首 其二十
唐堯真自聖,野老複何知。曬藥能無婦?應門亦有兒。
藏書聞禹穴,讀記憶仇池。為報鴛行舊,鷦鷯寄一枝。


 

現代語訳と訳註
(本文) 秦州雜詩二十首 其十八

地僻秋將盡,山高客未歸。
塞雲多斷績,邊日少光輝。
警急烽常報,傳聞檄屢飛。
西戎外甥國,何得迕天威。


(下し文)
地僻【ちへき】にして 秋 将に尽きんとす、山高くして客未だ帰らず。
塞【さい】雲 多く断続す、辺【へん】日【じつ】光輝【こうき】少なし。
警急【けいきゅう】蜂常に報ず、伝聞す檄【げき】の屢【しばし】ば飛ぶを。
西戎【せいじゅう】は外甥【がいせい】の国、何ぞ天威【てんい】に迕【たご】うことを得ん。


(現代語訳)
(客人として間借りの身でいるために吐蕃の乱の基地であるため憂えた詩である。)
この山間僻地のこの地に秋がもう尽きかけている。わたしは山が高くとりかこんでいるこんなところに隠遁できなくてまだ旅人のままでいる。
とりでの上にうかぶ雲は途切れたり続いたりしているし、ここ国境地域の太陽はひかりが薄く見える。
吐蕃の乱で一刻も警備をいそがねばならぬことは蜂火がいつもそれを知らせてくるし、軍隊の戦意高揚の檄もたびたび飛んでいるということは人伝にきいている。
西戎たる吐蕃は我が唐にとっては甥の国であったはず、それなのにどうして天子の御威光にさからうのであろうか、さからえるはずはないのであるが。


(訳注)
秦州雜詩二十首 其十八

(客人として間借りの身でいるために吐蕃の乱の基地であるため憂えた詩である。)


地僻秋將盡,山高客未歸。
この山間僻地のこの地に秋がもう尽きかけている。わたしは山が高くとりかこんでいるこんなところに隠遁できなくてまだ旅人のままでいる。
 自己をさす。


塞雲多斷績,邊日少光輝。
とりでの上にうかぶ雲は途切れたり続いたりしているし、ここ国境地域の太陽はひかりが薄く見える。
辺日 辺地をてらす太陽。 其十「煙火軍中幕、牛羊嶺上村。」  其十一「蕭蕭古塞冷、漠漠秋雲低。」とあり、塞に雲がかかっている。
秦州雜詩二十首 其十 杜甫 第3部 <263> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1238 杜甫詩 700- 377
秦州雜詩二十首 其十一 杜甫 第3部 <264> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1241 杜甫詩 700- 378

/ : / 、多 : 、斷/ : /

*同じ品詞を同じ位置に配置する修辞により、一層の強調がなされる。


警急烽常報,傳聞檄屢飛。
吐蕃の乱で一刻も警備をいそがねばならぬことは蜂火がいつもそれを知らせてくるし、軍隊の戦意高揚の檄もたびたび飛んでいるということは人伝にきいている。
 長さ二尺の木簡、軍を徴すしるしのもの。

/ : / 、烽 : 、常/ : /

*同じ品詞を同じ位置に配置する修辞により、一層の強調がなされる。


西戎外甥國,何得迕天威。
西戎たる吐蕃は我が唐にとっては甥の国であったはず、それなのにどうして天子の御威光にさからうのであろうか、さからえるはずはないのであるが。
西戎 吐蕃をさす。○外甥国 おい分にあたる国、唐は景竜以来ときどき天子の姫宮を吐蕃へ嫁せしめた、よって吐蕃は唐を舅(おじさん)とし、唐は吐蕃を外甥(おい)とみる。公文書にも舅・甥の称を用いた。○ そむく。○天威 天子の御威光。