佐還山後寄三首 其一 杜甫 <275> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1274 杜甫詩 700- 389

作j時は759年秦州で『秦州雑詩二十首』との関連性の高い詩であるためここに掲載する。


其一
山晚黃雲合,歸時恐路迷。
東柯谷の山中の黄昏時に夕方の黄色の雲、山々の黄色に色づく葉が重なり合っている。帰る時刻には道に迷うかもしれないと心配する。
澗寒人欲到,林黑鳥應棲。
谷川の冷え込みの寒さは人間の欲を諦めさせている、山中木々の林は暗くなり鳥たちは巣についている。
野客茅茨小,田家樹木低。
隠棲しようとするこの野にある旅人のわたしは茅や茨で葺いた小さなところにいるし、ここで百姓している人たちは樹木にかこまれてそれより低い所にすんでいる。
舊諳疏懶叔,須汝故相攜。
嵇康が無精であったようにこの私もこんなに無精であったことを知ったのである。杜佐よ、君にお願いしたい。ぜひとも君と一緒に隠遁させてもらいたいということを。
山晚【さんばん】黃雲【こううん】合し,歸る時として 路迷【まよ】わんことを恐る。
澗【かん】寒くして人欲到り,林黑くして鳥應に棲す。
野客【やかく】は茅茨【ぼうじ】の小なり,田家【でんか】は樹木の低にある。
舊【もと】より疏懶【そらん】の叔【われ】を諳【し】る,汝に須【もと】むるは故【ことさら】に相い攜うるを。
其二
白露黃粱熟,分張素有期。已應舂得細,頗覺寄來遲。
味豈同金菊,香宜配綠葵。老人他日愛,正想滑流匙。
其三
幾道泉澆圃,交橫幔落坡。葳蕤秋葉少,隱映野雲多。
隔沼連香芰,通林帶女蘿。甚聞霜薤白,重惠意如何。



現代語訳と訳註
(本文) 其一

山晚黃雲合,歸時恐路迷。澗寒人欲到,林黑鳥應棲。
野客茅茨小,田家樹木低。舊諳疏懶叔,須汝故相攜。


(下し文) 其一
山晚【さんばん】黃雲【こううん】の合,歸る時として路迷【ろめい】を恐る。
澗【かん】寒くして人欲到り,林黑くして鳥應に棲す。
野客【やかく】は茅茨【ぼうじ】の小なり,田家【でんか】は樹木の低にある。
舊【もと】より疏懶【そらん】の叔【われ】を諳【し】る,汝に須【もと】むるは故【ことさら】に相い攜うるを。


(現代語訳)
東柯谷の山中の黄昏時に夕方の黄色の雲、山々の黄色に色づく葉が重なり合っている。帰る時刻には道に迷うかもしれないと心配する。
谷川の冷え込みの寒さは人間の欲を諦めさせている、山中木々の林は暗くなり鳥たちは巣についている。
隠棲しようとするこの野にある旅人のわたしは茅や茨で葺いた小さなところにいるし、ここで百姓している人たちは樹木にかこまれてそれより低い所にすんでいる。
嵇康が無精であったようにこの私もこんなに無精であったことを知ったのである。杜佐よ、君にお願いしたい。ぜひとも君と一緒に隠遁させてもらいたいということを。


(訳注)
佐還山後寄三首 其一

示侄佐(佐に侄まるを示す)と同時期の作品で、萱の仮住まいで病気で寝込んでいるのを見舞いに来た杜佐が帰った後に寄せたものである。内容としては、何とかこの地で隠遁したいという気持ちを表したものである。このころの杜甫の心情理解のためには、『秦州雑詩二十首』と『示侄佐』とこの『佐還山後寄三首』は通して読むことが必要である。

山晚黃雲合,歸時恐路迷。
東柯谷の山中の黄昏時に夕方の黄色の雲、山々の黄色に色づく葉が重なり合っている。帰る時刻には道に迷うかもしれないと心配する。
山晚 山中の夕暮。山夕。山の黄昏時。・黃雲 夕方の黄色の雲。麦や稲が熟して一面に黄色のさま。山の銀杏、広葉樹が黄色の雲のようなさま。


澗寒人欲到,林黑鳥應棲。
谷川の冷え込みの寒さは人間の欲を諦めさせている、山中木々の林は暗くなり鳥たちは巣についている。


野客茅茨小,田家樹木低。
隠棲しようとするこの野にある旅人のわたしは茅や茨で葺いた小さなところにいるし、ここで百姓している人たちは樹木にかこまれてそれより低い所にすんでいる。


舊諳疏懶叔,須汝故相攜。
嵇康が無精であったようにこの私もこんなに無精であったことを知ったのである。杜佐よ、君にお願いしたい。ぜひとも君と一緒に隠遁させてもらいたいということを。
疏懶 ぶしょう、暗に嵇康のことを用いる、嵇康は髪もくしけずらず沐浴もしなかったという。○『秦州雜詩二十首 其十五』の詩に基づく句である。
未暇泛蒼海,悠悠兵馬間。
塞門風落木,客舍雨連山。
阮籍行多興,龐公隱不還。
東柯遂疏懶,休鑷鬢毛斑。
未だ蒼海【そうかい】に泛ぶに暇【いとま】あらず、悠悠たり兵馬の間。
塞門【さいもん】風木を落とし、客舎【かくしゃ】雨山に連なる。
阮籍【げんせき】行くゆく興【きょう】多からん、龐公【ほうこう】隠れて還らず。
東柯【とうか】疏懶【そらん】を遂げん、鑷【はさ】むを休めよ鬢毛【びんもう】の斑【まだら】なるを。
秦州雜詩二十首 其十五 杜甫 第4部 <268> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1253 杜甫詩 700- 382