佐還山後寄三首 其二 杜甫 <276> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1277 杜甫詩 700- 390




其一
山晚黃雲合,歸時恐路迷。
東柯谷の山中の黄昏時に夕方の黄色の雲、山々の黄色に色づく葉が重なり合っている。帰る時刻には道に迷うかもしれないと心配する。
澗寒人欲到,林黑鳥應棲。
谷川の冷え込みの寒さは人間の欲を諦めさせている、山中木々の林は暗くなり鳥たちは巣についている。
野客茅茨小,田家樹木低。
隠棲しようとするこの野にある旅人のわたしは茅や茨で葺いた小さなところにいるし、ここで百姓している人たちは樹木にかこまれてそれより低い所にすんでいる。
舊諳疏懶叔,須汝故相攜。
嵇康が無精であったようにこの私もこんなに無精であったことを知ったのである。杜佐よ、君にお願いしたい。ぜひとも君と一緒に隠遁させてもらいたいということを。
山晚【さんばん】黃雲【こううん】合し,歸る時として 路迷【まよ】わんことを恐る。
澗【かん】寒くして人欲到り,林黑くして鳥應に棲す。
野客【やかく】は茅茨【ぼうじ】の小なり,田家【でんか】は樹木の低にある。
舊【もと】より疏懶【そらん】の叔【われ】を諳【し】る,汝に須【もと】むるは故【ことさら】に相い攜うるを

其二
白露黃粱熟,分張素有期。
秋の白露の季節である、おお粟が実っている。選り分けというのは初めから良い時期が決まってあるものだ。
已應舂得細,頗覺寄來遲。
その時期はすでに来ており、臼でついて細やかな粉にしたいとおもっている。
味豈同金菊,香宜配綠葵。
このものの味はできることなら金の菊酒と同じであってほしいし、香りはというと緑の葵のさわやかな香をいただきたいものである。
老人他日愛,正想滑流匙。

この老人にとっていつか愛されることもあるであろうし、まさに滑りそうな岩場で匙により水を掬うようなものであるということであろうか。
白露【はくろ】に黃粱【こうりょう】熟【じゅく】し,分張【ぶんちょう】素より期に有り。
已【すで】に應に舂【つ】いて細【さい】するを得んや,頗【すこ】ぶる寄り來ること遲きを覺ゆ。
味は豈に金菊と同じくならんや,香は宜しく綠葵【ろくき】を配【はい】せん。
老人 他日の愛,正に想う 滑りて匙【し】に流るを。


其三
幾道泉澆圃,交橫幔落坡。葳蕤秋葉少,隱映野雲多。
隔沼連香芰,通林帶女蘿。甚聞霜薤白,重惠意如何。



代語訳と訳註
(本文) 其二

白露黃粱熟,分張素有期。已應舂得細,頗覺寄來遲。
味豈同金菊,香宜配綠葵。老人他日愛,正想滑流匙。


(下し文) 其二
白露【はくろ】に黃粱【こうりょう】熟【じゅく】し,分張【ぶんちょう】素より期に有り。
已【すで】に應に舂【つ】いて細【さい】するを得んや,頗【すこ】ぶる寄り來ること遲きを覺ゆ。
味は豈に金菊と同じくならんや,香は宜しく綠葵【ろくき】を配【はい】せん。
老人 他日の愛,正に想う 滑りて匙【し】に流るを。


(現代語訳)
秋の白露の季節である、おお粟が実っている。選り分けというのは初めから良い時期が決まってあるものだ。
その時期はすでに来ており、臼でついて細やかな粉にしたいとおもっている。
このものの味はできることなら金の菊酒と同じであってほしいし、香りはというと緑の葵のさわやかな香をいただきたいものである。
この老人にとっていつか愛されることもあるであろうし、まさに滑りそうな岩場で匙により水を掬うようなものであるということであろうか。


(訳注) 其二
白露黃粱熟,分張素有期。

秋の白露の季節である、おお粟が実っている。選り分けというのは初めから良い時期が決まってあるものだ。
白露【はくろ】に黃粱【こうりょう】熟【じゅく】し,分張【ぶんちょう】素より期に有り。
黃粱 大粟。穀物の一種。〇分張 分離する。分布する。粉にするものと酒にするものと分ける。〇 白絹。白い。生地のまま。本性。もとより。常に。空しい。暗いがない。旧交。精進料理。元素。〇 時期。良い時期。(酒造りの)旬の時期。


已應舂得細,頗覺寄來遲。
その時期はすでに来ており、臼でついて細やかな粉にしたいとおもっている。
已【すで】に應に舂【つ】いて細【さい】するを得んや,頗【すこ】ぶる寄り來ること遲きを覺ゆ。
【しゅう】 うすでつく。つきあてる。


味豈同金菊,香宜配綠葵。
このものの味はできることなら金の菊酒と同じであってほしいし、香りはというと緑の葵のさわやかな香をいただきたいものである。
味は豈【ねがわく】は金菊【きんきょく】と同じくならんや,香は宜しく綠葵【ろくき】を配【はい】せん。


老人他日愛,正想滑流匙。
この老人にとっていつか愛されることもあるであろうし、まさに滑りそうな岩場で匙により水を掬うようなものであるということであろうか。
老人 他日の愛,正に想う 滑りて匙【し】に流るを。
他日 以前。ほかの日。いつか。〇滑流匙 ・滑流 側流、滑り流。・匙 さじ。しゃくし。かぎ。


白露【はくろ】に黃粱【こうりょう】熟【じゅく】し,分張【ぶんちょう】素より期に有り。
已【すで】に應に舂【つ】いて細【さい】するを得んや,頗【すこ】ぶる寄り來ること遲きを覺ゆ。
味は豈に金菊と同じくならんや,香は宜しく綠葵【ろくき】を配【はい】せん。
老人 他日の愛,正に想う 滑りて匙【し】に流るを。