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月夜憶舎弟 杜甫 <278> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1283 杜甫詩 700- 392

月夜憶舎弟 (明月の晩に、我が家の弟どもを思って作った詩である。乾元2年759年 48歳、乾元二年秋秦州での作。)
        
月夜憶舎弟
戍鼓断人行、辺秋一雁声。
番兵らが打ち鳴らす鼓の音がきこえているが人通りは途絶えている、国境の辺地の秋にあって一羽飛ぶ雁の声が聞こえる。
露従今夜白、月是故郷明。
今、秦州での夜ははじめて明るい夜で白露の時節になる、ここの月の光は故えのある郷と同じような明るさでさえているだろう。
有弟皆分散、無家問死生。
弟はいてもみなあちらこちらと散らばって居り、その死んだか生きているかを尋ぬべき親族の家さえも無い状態だ。
寄書長不達、況乃未休兵。

手紙を寄せてやるのだがいつまでも届かないのだ、彼らの安否が気にかかる。いやそればかりでない、いまだ天下にひろがる騒乱がやまないのである。
(月夜に舎弟を憶う)
戍鼓【じゅうこ】人行【じんこう】断【た】ち、辺秋【へんしゅう】 一雁【いちがん】の声あり。
露は今夜従【よ】り白く、月は是【こ】れ故郷のごとく明【あき】らかならん。
弟有【あ】れども皆【みな】分散し、家の死生【しせい】を問うべき無し。
書を寄【よ】するも長く達せず、況【いわ】んや乃【すなわ】ち未だ兵を休【や】めざるをや。


 杜甫は機会あるごとに特集であったり、詩集を作っている。『遣興』『秦州雑詩二十首』は極めて構成的に練り上げられた作品である。杜甫は秦州で、ほかにもいろいろな作品を書いている。杜甫の理解のためには、その特集、詩集のすべてを読まないといけなくて、同時期の他の詩に心の変化を読み取る詩があるものなのである。例えば、『北 征』の長詩だけでは秦の理解はできない。以下の詩を読み取ることで、理解が深まるのである。

晚行口號   、徒步歸行  、「九成宮」#1  、行次昭陵1/2  、玉華宮 ① 

 

杜甫は、秦州3カ月の間に立てつづけに多くの詩を残している。新境地に達してのものである。隠遁先の事、農業のこと、日常の事、など多面にわたっているが、「月夜に舎弟を憶う」の詩は仲秋八月、白露節(はくろせつ)のころの作品で、弟たちの安否を気づかっている。
 杜甫の実母は幼少で亡くなっている。弟の頴・観・占・豊の四人はすべて異母弟である。ほかに異母の妹が一人いる。杜甫と行動を共にしているのは杜占だけで、あとは山東にいたようだ。
 このとき、史思明軍に洛陽が占領されていたので、交通は分断され、秦州から連絡を取ることはできなかった。 

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現代語訳と訳註
(本文) 月夜憶舎弟

戍鼓断人行、辺秋一雁声。
露従今夜白、月是故郷明。
有弟皆分散、無家問死生。
寄書長不達、況乃未休兵。


(下し文)
(月夜に舎弟を憶う)

戍鼓【じゅうこ】人行【じんこう】断【た】ち、辺秋【へんしゅう】 一雁【いちがん】の声あり。
露は今夜従【よ】り白く、月は是【こ】れ故郷のごとく明【あき】らかならん。
弟有【あ】れども皆【みな】分散し、家の死生【しせい】を問うべき無し。
書を寄【よ】するも長く達せず、況【いわ】んや乃【すなわ】ち未だ兵を休【や】めざるをや。


(現代語訳)
番兵らが打ち鳴らす鼓の音がきこえているが人通りは途絶えている、国境の辺地の秋にあって一羽飛ぶ雁の声が聞こえる。
今、秦州での夜ははじめて明るい夜で白露の時節になる、ここの月の光は故えのある郷と同じような明るさでさえているだろう。
弟はいてもみなあちらこちらと散らばって居り、その死んだか生きているかを尋ぬべき親族の家さえも無い状態だ。
手紙を寄せてやるのだがいつまでも届かないのだ、彼らの安否が気にかかる。いやそればかりでない、いまだ天下にひろがる騒乱がやまないのである。


(訳注)
月夜憶舎弟

秦州に来て雨続きであったが、久しぶりの月夜であった。相手のことを思う題材として月は詠われる。


戍鼓断人行、辺秋一雁声。
番兵らが打ち鳴らす鼓の音がきこえているが人通りは途絶えている、国境の辺地の秋にあって一羽飛ぶ雁の声が聞こえる。
○戍鼓 番兵らのならすつづみ。〇人行 ひとどおり。○辺秋 国境辺地の秋。


露従今夜白、月是故郷明。
今、秦州での夜ははじめて明るい夜で白露の時節になる、ここの月の光は故えのある郷と同じような明るさでさえているだろう。
露従一句 白露の節に入ることをいう。〇月是一句 月明の色が故えのある郷のもののようである、光を共にするの意である。故ある里というのは、弟達の居場所が洛陽を安史軍に占領により、交通分断しているので、故郷ではない。

露従:月是、今:故、夜:郷、白:明

*同じ品詞を同じ位置に配置する修辞により、一層の強調がなされる。



有弟皆分散、無家問死生。
弟はいてもみなあちらこちらと散らばって居り、その死んだか生きているかを尋ぬべき親族の家さえも無い状態だ。
○有弟 このとき杜甫の弟一人は陽雀にあり、一人は済州に在ったという。四人の弟は頴・観・占・豊の異母弟。○無家 家は家族をいう、この時には杜甫は妻子をともなっていた。家はあるが、ここはひろく同族をこめてみる先祖からの家無しといっているのである、洛陽の家、陸渾荘についていうのである。○死生 先方の人人の死生。

有弟:無家、皆:問、分散:死生

*同じ品詞を同じ位置に配置する修辞により、一層の強調がなされる。


寄書長不達、況乃未休兵。
手紙を寄せてやるのだがいつまでも届かないのだ、彼らの安否が気にかかる。いやそればかりでない、いまだ天下にひろがる騒乱がやまないのである。
駅亭の 隠遁

寄書 手紙を寄せる。