宿贊公房 杜甫 <279> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1286 杜甫詩 700- 393
旧知である大雲寺の僧賛公のへやをたずねて泊ったことをのぺる。乾元二年秦州にあっての作。
賛。京師大雲寺主。謫此安置。(賛は、京師の大雲寺の主なり、此に謫して安置せらる。)


宿贊公房
旧知である大雲寺の僧賛公の部屋を尋ねて泊ったことを述べる。
 〔原注〕 賛。京師大雲寺主。謫此安置。

賛公は長安の大雲寺の僧である。房琯のグループとして長安を追放、秦州に罪として安置させられた。
杖錫何來此,秋風已颯然。
あなたは何故に、いつ、錫杖をついて何時この秦州へ来られたか、秋の風がもうすでにさっと吹く季節になっている。
雨荒深院菊,霜倒半池蓮。
秋の雨中に寺の奥庭の菊をあれさせているし、寒霜は池の面積半分ばかりの蓮を枯らし、倒している。
放逐寧違性?虛空不離禪。
あなたは放逐の身ながらに従来の本性をまもっておられる、山間是空の場所はやはり賛公殿にとっての禅の心地を離れることはない。
相逢成夜宿,隴月向人圓。

ここでお逢いして泊まり込むことになったが、この隴山に懸かっている月は我々に向かって円くまるく照り輝いている。


賛公が房に宿す)
(賛は、京師の大雲寺の主なり、此に謫して安置せらる。)
錫【しゃく】を杖【つ】きて何か此に来たれる、秋風己に颯然【さつせん】たり。
雨には荒る深院【しんいん】の菊、霜には倒る半池の蓮【れん】。
放逐【ほうちく】寧ぞ性に違【たが】わんや、虚空【こくう】禅を離【さ】らず。
相逢うて夜宿【やしゅく】を成せば、隴月【ろうげつ】人に向こうて円【まど】かなり。

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杜甫はこの地で上人の僧坊に泊まっている(賛公の房に宿す)。その詩に「あなたは錫に杖(つえ)つきて何すれぞ此に来たる、……相逢うて夜宿を成す」と言って賛公に会いたくてきて、やっと再会できたことを喜んでいる。この時、杜甫はここに隠遁する気であること、土地を捜したいことなどを話したのである。そして一緒にたずね行く約束ができたのもこの時であろう。杜甫が誘いの手紙を賛上人からもらったのだ。


現代語訳と訳註
(本文)

宿贊公房
 〔原注〕 賛。京師大雲寺主。謫此安置。
杖錫何來此,秋風已颯然。
雨荒深院菊,霜倒半池蓮。
放逐寧違性?虛空不離禪。
相逢成夜宿,隴月向人圓。


(下し文)
(賛公が房に宿す)
(賛は、京師の大雲寺の主なり、此に謫して安置せらる。)
錫【しゃく】を杖【つ】きて何か此に来たれる、秋風己に颯然【さつせん】たり。
雨には荒る深院【しんいん】の菊、霜には倒る半池の蓮【れん】。
放逐【ほうちく】寧ぞ性に違【たが】わんや、虚空【こくう】禅を離【さ】らず。
相逢うて夜宿【やしゅく】を成せば、隴月【ろうげつ】人に向こうて円【まど】かなり。


(現代語訳)
旧知である大雲寺の僧賛公の部屋を尋ねて泊ったことを述べる。
賛公は長安の大雲寺の僧である。房琯のグループとして長安を追放、秦州に罪として安置させられた。
あなたは何故に、いつ、錫杖をついて何時この秦州へ来られたか、秋の風がもうすでにさっと吹く季節になっている。
秋の雨中に寺の奥庭の菊をあれさせているし、寒霜は池の面積半分ばかりの蓮を枯らし、倒している。
あなたは放逐の身ながらに従来の本性をまもっておられる、山間是空の場所はやはり賛公殿にとっての禅の心地を離れることはない。
ここでお逢いして泊まり込むことになったが、この隴山に懸かっている月は我々に向かって円くまるく照り輝いている。


(訳注)
宿贊公房
賛。京師大要寺主。謫此安置。
旧知である大雲寺の僧賛公の部屋を尋ねて泊ったことを述べる。
賛公は長安の大雲寺の僧である。房琯のグループとして長安を追放、秦州に罪として安置させられた。
759年、乾元二年秦州にあっての作。
賛公 長安の大雲寺の僧である

大雲寺贊公房四首 其一#1 杜甫 紀頌之の漢詩ブログ 700- 164

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大雲寺贊公房四首 其三 杜甫 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 700- 167

大雲寺贊公房四首 其四 #1 杜甫 紀頌之の漢詩ブログ 700- 168

大雲寺贊公房四首 其四 #2 杜甫 i紀頌之の漢詩ブログ 700- 169

を参照されたい。このとき賛公も亦た秦州に来ておったのである。〇 罪せられること。○ 秦州をさす。○安置 罪人としてさしおかれること。


杖錫何來此,秋風已颯然。
あなたは何故に、いつ、錫杖をついて何時この秦州へ来られたか、秋の風がもうすでにさっと吹く季節になっている。
杖錫 錫は錫杖、すずで作った杖をいう、僧の持つもの、「杖錫」の杖は「つえつく」こと。○ 「何故に」と「何の時に」とみる、どうして罪に問われなければいけないのかと、次の「秋風」の句はこれに答える句である。○ 秦州をさす。


雨荒深院菊,霜倒半池蓮。
秋の雨中に寺の奥庭の菊をあれさせているし、寒霜は池の面積半分ばかりの蓮を枯らし、倒している。


放逐寧違性?虛空不離禪。
あなたは放逐の身ながらに従来の本性をまもっておられる、山間是空の場所はやはり賛公殿にとっての禅の心地を離れることはない。
○放逐 房靖が宰相をやめさせられようとしたとき杜甫は上疏して争い罪せられようとした、賛公もまた咤の客であったために謫せられて秦州にやって来たものだという、賛公が房琯の客であったということは根拠が明らかでないとのことであるがここに附記する、放逐は都からおいはらわれたことをいう。○適性 本性に背いたことをなす。○虚空 放逐の地が空寂の処にあることを指す。即ち『荘子(徐無鬼)』の「夫逃空谷者、聞人之足音跫然而喜矣」(虚空に逃るる者は、人の足音を聞いて喜ぶ)とあるの意、山谷の寂地をさして虚空という。○不離禅 禅は仏教では空門という、山谷の空は禅の空と一致することをいう。


相逢成夜宿,隴月向人圓。
ここでお逢いして泊まり込むことになったが、この隴山に懸かっている月は我々に向かって円くまるく照り輝いている。
隴月 甘粛省地方の隴山にかかる月。
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