寄贊上人 杜甫 <281-#1> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1292 杜甫詩 700- 395


寄贊上人
(旧知である大雲寺の僧賛公と北斜面や南の山をみてあるいたことを述べる。)
一昨陪錫杖,卜鄰南山幽。
一昨日は上人に同行していただき、南側の静かな隠遁の住居を建てられるという場所をみてきました。
年侵腰腳衰,未便陰崖秋。
いたずらに年を取ってしまい、足腰が衰えてしまったようだ、それにしても、秋も深まってきたというのに南側の斜面には未だに夏の山のようであった。
重岡北面起,竟日陽光留。
重ねて山や丘に登ってみて南の斜面を見ると、ずっと一日中太陽の光が当たっているのだ。
茅屋買兼土,斯焉心所求。
早速、かやぶきの住宅を建てたいものである。当然土地も買うのである。それほどこの南斜面は私が心から隠遁する場所としたい所なのだ。
近聞西枝西,有穀杉漆稠。

また、そのあとに聞きました西枝村の西側にある谷村の土地は、決して人界から閉ざされたような地ではなく、荘子が隠遁した場所のように杉の木に恵まれ、漆林を経営して隠遁生活の糧にすることができる所と聞いているのですが。
一昨は あなたの錫杖【しゃくじょう】に陪し、隣を卜す 南山の幽なるに。
年の侵して われは腰や脚の衰うれば、陰の崖の秋には 未だ便ならず。
重なれる岡【やま】の 北面に起これば、竟日 陽光は留まらん。
茅屋は 買うに土を兼ぬれば、斯【すなわ】ち焉【ここ】ぞ 心の求むる所なり。
近ごろ聞く 西枝の西に、谷有りて 杉と漆の稠【おお】く。

#2
亭午頗和暖,石田又足收。當期塞雨幹,宿昔齒疾瘳。
徘徊虎穴上,面勢龍泓頭。柴荊具茶茗,逕路通林丘。
與子成二老,來往亦風流。

少し前、山の北面を登ったのがよほど杜甫にはこたえたらしい。五十を前にして足腰が弱ってきたこともあるが、この時期が晩秋だったことも関係しているのかもしれない。次の『_寄贊上人』(賛上人に寄す)の詩では、どうしても日当たりの良いところがあきらめきれない様子である。しかも高い山を北側に背にしていれば南側は日溜まりとなる。そんな場所が見つかればそれこそ理想で、早速土地を買って茅葺きの家を建てるのにと、杜甫の口調はくやしげでもあり弁解がましくもあるが、心情的に何とかさせてやりたいものである。



現代語訳と訳註
(本文) 寄贊上人

一昨陪錫杖,卜鄰南山幽。年侵腰腳衰,未便陰崖秋。
重岡北面起,竟日陽光留。茅屋買兼土,斯焉心所求。
近聞西枝西,有穀杉漆稠。


(下し文)
一昨は あなたの錫杖【しゃくじょう】に陪し、隣を卜す 南山の幽なるに。
年の侵して われは腰や脚の衰うれば、陰の崖の秋には 未だ便ならず。
重なれる岡【やま】の 北面に起これば、竟日 陽光は留まらん。
茅屋は 買うに土を兼ぬれば、斯【すなわ】ち焉【ここ】ぞ 心の求むる所なり。
近ごろ聞く 西枝の西に、谷有りて 杉と漆の稠【おお】く。


(現代語訳)
(旧知である大雲寺の僧賛公と北斜面や南の山をみてあるいたことを述べる。)
一昨日は上人に同行していただき、南側の静かな隠遁の住居を建てられるという場所をみてきました。
いたずらに年を取ってしまい、足腰が衰えてしまったようだ、それにしても、秋も深まってきたというのに南側の斜面には未だに夏の山のようであった。
重ねて山や丘に登ってみて南の斜面を見ると、ずっと一日中太陽の光が当たっているのだ。
早速、かやぶきの住宅を建てたいものである。当然土地も買うのである。それほどこの南斜面は私が心から隠遁する場所としたい所なのだ。
また、そのあとに聞きました西枝村の西側にある谷村の土地は、決して人界から閉ざされたような地ではなく、荘子が隠遁した場所のように杉の木に恵まれ、漆林を経営して隠遁生活の糧にすることができる所と聞いているのですが。


(訳注)
寄贊上人

旧知である大雲寺の僧賛公と北斜面や南の山をみてあるいたことを述べる。
賛公は長安の大雲寺の僧である。房琯のグループとして長安を追放、秦州に罪として安置させられた。
759年、乾元二年秦州にあっての作。
○賛公 長安の大雲寺の僧である

大雲寺贊公房四首 其一#1 杜甫 紀頌之の漢詩ブログ 700- 164

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大雲寺贊公房四首 其二 杜甫 紀頌之の漢詩ブログ 700- 166

大雲寺贊公房四首 其三 杜甫 紀頌之の漢詩ブログ 700- 167

大雲寺贊公房四首 其四 #1 杜甫 紀頌之の漢詩ブログ 700- 168


を参照されたい。このとき賛公も亦た秦州に来ておったのである。


一昨陪錫杖,卜鄰南山幽。
一昨日は上人に同行していただき、南側の静かな隠遁の住居を建てられるという場所をみてきました。
・一昨 1 (接頭語的に用いて)年・月・日などで、中一つ置いた前の時を表す。「―年」「―夜」 2 (連体詞的に用い、具体的な日を表す語に冠して)おとといにあたる、一昨日の、などの意を表す。〇杖錫 錫は錫杖、すずで作った杖をいう、僧の持つもの、「杖錫」の杖は「つえつく」こと。居住地候補をみてあるいたこと。○南山 東西に川が流れていて川の南側、山の北斜面。


年侵腰腳衰,未便陰崖秋。
いたずらに年を取ってしまい、足腰が衰えてしまったようだ、それにしても、秋も深まってきたというのに南側の斜面には未だに夏の山のようであった。
年侵 年を重ねること。いたずらに年を取ったことをいう。


重岡北面起,竟日陽光留。
重ねて山や丘に登ってみて南の斜面を見ると、ずっと一日中太陽の光が当たっているのだ。


茅屋買兼土,斯焉心所求。
早速、かやぶきの住宅を建てたいものである。当然土地も買うのである。それほどこの南斜面は私が心から隠遁する場所としたい所なのだ。


近聞西枝西,有穀杉漆稠。
また、そのあとに聞きました西枝村の西側にある谷村の土地は、決して人界から閉ざされたような地ではなく、荘子が隠遁した場所のように杉の木に恵まれ、漆林を経営して隠遁生活の糧にすることができる所と聞いているのですが。