秦州抒情詩(7)  天河 杜甫 <292> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1343 杜甫詩 700- 412 


     
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《秦州抒情詩(7)  『天河』 杜甫700の292首目、杜甫ブログ412回目》
天の川のことをいい、それと杜甫自身の問題点を提議し、生活の感をのべる。759年乾元二年秦州での作。

天河
常時任顯晦,秋至輒分明。
いつもの天の川ははっきり見えたりくらくて見えなかったり時に任せた様子をしているが、秋になればうってかわっていよいよはっきりみえてくる。
縱被微雲掩,終能永夜清。
たとえある時すこしの浮雲にふさがれ、おおわれるとしても、結局は秋のながい夜においては澄み渡るのである。
含星動雙闕,伴月照邊城。
その光は星の光をつつんで先ずここより東の都の大明宮の小門に働きだし、月光とともにはるか西にかたよった秦州の樓塞まで傾いて照らしてくれる。
牛女年年渡,何曾風浪生。

この河には毎年牽牛と織女が渡って逢うというのであるが、その時だけ天河の風浪がないのだろうが旅人の我々夫婦には波浪が今生じているのだ。

銀河002

現代語訳と訳註
(本文)
天河
常時任顯晦,秋至轉分明。縱被浮雲掩,猶能永夜清。
含星動雙闕,半月落邊城。牛女年年渡,何曾風浪生。


(下し文) (天 河)
常時顕晦【けんかい】に任す、秋至れば転【うた】た分明【ぶんめい】なり。
縦【たと】い浮雲に掩被【えんぴ】されるも、終【つい】に能く永夜【えいや】清し。
星を含みて双闕【そうけつ】に動き、月に伴いて辺城に落つ。
牛女 年年渡る、何ぞ曾て風浪【ふうろう】生ぜん。


(現代語訳)
いつもの天の川ははっきり見えたりくらくて見えなかったり時に任せた様子をしているが、秋になればうってかわっていよいよはっきりみえてくる。
たとえある時すこしの浮雲にふさがれ、おおわれるとしても、結局は秋のながい夜においては澄み渡るのである。
その光は星の光をつつんで先ずここより東の都の大明宮の小門に働きだし、月光とともにはるか西にかたよった秦州の樓塞まで傾いて照らしてくれる。
この河には毎年牽牛と織女が渡って逢うというのであるが、その時だけ天河の風浪がないのだろうが旅人の我々夫婦には波浪が今生じているのだ。


(訳注)
天河
天河 あまのがわ。銀河・経河・河漢・銀漢・雲漢・星漢・天津・漢津等はみなその異名である。
詩経の大雅•棫樸、「倬彼雲漢、爲章于天。」小雅大東などに雲漢,銀河,天河がみえる。古詩十九首之十「迢迢牽牛星、皎皎河漢女。」、謝霊運(康楽) 『燕歌行』「誰知河漢淺且清,展轉思服悲明星。」、李商隠『燕臺詩四首 其二』 「直教銀漢堕懐中、未遣星妃鎭來去。」七夕伝説では、織女星と牽牛星を隔てて会えなくしている川が天の川である。二人は互いに恋しあっていたが、天帝に見咎められ、年に一度、七月七日の日のみ、天の川を渡って会うことになった。

杜甫『初月』

光細弦欲上,影斜輪未安。

微升古塞外,已隱暮雲端。

河漢不改色,關山空自寒。

庭前有白露,暗滿菊花團。


宮詞   王建
銀燭秋光冷画屏、軽羅小扇撲流蛍。
玉階夜色涼如水、臥看牽牛織女星。
李商隠『馬嵬
海外徒聞更九州、他生未卜此生休。
空間虎旅鳴宵拆、無復鶏人報暁籌。
此日六軍同駐馬、當時七夕笑牽牛。
如何四紀為天子、不及慮家有莫愁。
李商隠『碧城 其三』「七夕来時先有期、洞房簾箔至今垂。」


常時任顯晦,秋至轉分明。
いつもの天の川ははっきり見えたりくらくて見えなかったり時に任せた様子をしているが、秋になればうってかわっていよいよはっきりみえてくる。
常時 ふだん、秋以外の時節をさす。○顕晦 はっきりみえたり、くらくてみえなかったり。○ うってかわっていよいよ。


縱被浮雲掩,猶能永夜清。
たとえある時すこしの浮雲にふさがれ、おおわれるとしても、結局は秋のながい夜においては澄み渡るのである。
永夜 あきのよながじゅう。


含星動雙闕,伴月照邊城。
その光は星の光をつつんで先ずここより東の都の大明宮の小門に働きだし、月光とともにはるか西にかたよった秦州の樓塞まで傾いて照らしてくれる。
含星 星光を包容する、天河にはおおよそ三十有余の星を含むという。○ 天河の光のはたらくことをいう。○双闕 宮殿への門の左右の小門。○伴月 月光とともに。○ その方に向かって傾く。 ・邊城 辺境の城郭。ここでは秦州の樓塞。


牛女年年渡,何曾風浪生。
この河には毎年牽牛と織女が渡って逢うというのであるが、その時だけ天河の風浪がないのだろうが旅人の我々夫婦には波浪が今生じているのだ。
牛女 牽牛星、織女星、この二星は七月七日の夕、一年に一回逢い会するといわれる。○ 織女星が烏鵠のわたした橋をわたって牽牛星の方へゆく。○風浪 天河の風浪。風と浪。 風に吹かれて起こる波。転じて川を行く旅人が風浪をうけること。ここでは牽牛織女を旅客である自らの夫妻のことに比している。