秦州抒情詩(12)    蛍火 杜甫 <297> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1358 杜甫詩 700- 417 

     
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《秦州抒情詩(12)   『蛍火』 杜甫700の297首目、杜甫ブログ417回目》


ほたるのか細い光を見て詠んだ。
乾元2年 759年 48歳

《『蛍火』 杜甫700の297首目、杜甫ブログ417回目》

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蛍火
幸因腐草出、敢近太陽飛。
『禮記・月令』にいうように蛍は幸いにも腐った草の中から生まれ出るという。炎天下に飛ぶこともできないものが太陽に近づいて飛ぶなどということがどうしてできるというのか。
未足臨書巻、時能点客衣。
絹の袋に蛍を集め、その光で書物を照らすだけの十分の光はないが、時として旅人の衣の上に点々と止まるぐらいのことはできる。
随風隔幔小、帯雨傍林微。
また風に吹かれるままに幔幕の外で小さく光ったり、軽い雨をぬれながら林にそうて微かにみえたりはする。
十月清霜重、飄零何処帰。
ところが十月ともなると冴えた夜空に霜が重さなっておくようになると、蛍はおちぶれさすらい、どこかへいって身を落ち着けるのであろうか。


促織
促織甚微細、哀音何動人。
きりぎりすはちっぽけな虫であるが、そのあわれな音はどうしてこんなに人を感動させるのであろう。
草根吟不穏、牀下意相親。
その虫は草の根もとで吟じるのは落ち着かなげであるが、それが閨の寝台の下でなくときはその心は人に親しみを求めてはなしかけるようである。
久客得無涙、故妻難及晨。
この音をきいてはながいあいだ旅人である私も涙なしにはおられないのだ、これでは留守居の人妻たちはとても夜明けまでがまんして聞いてはおられないことだろう。
悲糸与急管、感激異天真。
悲しい琴糸の音と急な指使いの調子の竹笛は人を感激させるものではあるが、「漸く自然に近ければ之れ美なり」という天真の虫の音とは同じようにみられないものである。


現代語訳と訳註
(本文)
蛍火
幸因腐草出、敢近太陽飛。
未足臨書巻、時能点客衣。
随風隔幔小、帯雨傍林微。
十月清霜重、飄零何処帰。


(下し文)
幸いに腐草【ふそう】に因【よ】りて出で、敢【あえ】て太陽に近づいて飛ばんや。
未だ書巻【しょかん】に臨むに足らず、時に能【よ】く客衣【かくい】に点ず。
風に随いては幔【まん】を隔てて小さく、雨を帯びては林に傍【そ】いて微かなり。
十月  清霜【せいそう】重ければ、飄零【ひょうれい】して何【いず】れの処にか帰る。


(現代語訳)
『禮記・月令』にいうように蛍は幸いにも腐った草の中から生まれ出るという。炎天下に飛ぶこともできないものが太陽に近づいて飛ぶなどということがどうしてできるというのか。
絹の袋に蛍を集め、その光で書物を照らすだけの十分の光はないが、時として旅人の衣の上に点々と止まるぐらいのことはできる。
また風に吹かれるままに幔幕の外で小さく光ったり、軽い雨をぬれながら林にそうて微かにみえたりはする。
ところが十月ともなると冴えた夜空に霜が重さなっておくようになると、蛍はおちぶれさすらい、どこかへいって身を落ち着けるのであろうか。


(訳注)
蛍火
幸因腐草出、敢近太陽飛。
『禮記・月令』にいうように蛍は幸いにも腐った草の中から生まれ出るという。炎天下に飛ぶこともできないものが太陽に近づいて飛ぶなどということがどうしてできるというのか。
腐草 くさったくさ。『禮記・月令』篇季夏(6月)「蟋蟀居壁、鷹乃學習. 腐草爲螢。」○近 反語によむ。


未足臨書巻、時能点客衣。
絹の袋に蛍を集め、その光で書物を照らすだけの十分の光はないが、時として旅人の衣の上に点々と止まるぐらいのことはできる。
臨書巻 書物を照らす。・中国の晋、蛍の光を灯りに勉強をした人は車胤、雪の明かりで学問に励んだ人は孫康(そんこう)。車胤の家は貧しく、灯火のための油を得ることが出来なかったので、夏には絹の袋に数十匹の蛍を集め、その光で書物を照らして昼も夜も勉強に励んだ。〇 ときとして。〇点客衣 旅人の衣服に点として留まる。


随風隔幔小、帯雨傍林微。
また風に吹かれるままに幔幕の外で小さく光ったり、軽い雨をぬれながら林にそうて微かにみえたりはする。
随風 かぜのふくまま。〇 室内に張ってあるまく。屋外行楽(夕涼み)の幔幕。〇帯雨 軽く雨にぬれる。


十月清霜重、飄零何処帰。
ところが十月ともなると冴えた夜空に霜が重さなっておくようになると、蛍はおちぶれさすらい、どこかへいって身を落ち着けるのであろうか。
諷零 おちぶれさすらうこと。○ 落ち着く先に身をおくこと。身を落ち着ける。