秦州抒情詩(13)   兼葭 杜甫 <298> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1361 杜甫詩 700- 418 

     
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葭 あし002

 《秦州抒情詩(13)  『兼葭』 杜甫700の298首目、杜甫ブログ418回目》
詩経の同じ題の詩に基づき、蘆(片葉あし)をみて適時にできず、不遇で志を得られぬ状態と自分を重ねて詠う。



蒹葭
摧折不自守,秋風吹若何?
この「片葉あし」というものは、くだかれ折られ、しっかり自己を保つことがないのであるから、秋風に吹かれたとしてもどうかなるというのか。(どうにもならない、それは自分のせいなのだ。)
暫時花戴雪,幾處葉沈波。
「片葉あし」は穂花をだすときしばらくの間、花が雪をいただいて立っているが、そこ処処でその葉は波間に沈んでいるのだ。
體弱春苗早,叢長夜露多。
「片葉あし」は春の苗が早くでるがその体質は弱くて、群がって生え背は高くなり、夏にはたくさんの夜露をうけるのである。
江湖後搖落,亦恐歲蹉跎。

「片葉あし」は南方の江湖の地方では他の草木が枯れ、葉がおちるよりかおそいのだけれど、それはまるで時機を逸して、適時にできず、不遇で志を得られぬ状態なのだと気づかわれるのである。


現代語訳と訳註
(本文)
蒹葭
摧折不自守,秋風吹若何?
暫時花戴雪,幾處葉沈波。
體弱春苗早,叢長夜露多。
江湖後搖落,亦恐歲蹉跎。


(下し文)
(兼 葭  けんか)
摧折【さいせつ】自ら守らず、秋風吹くも若何【いか】にせん。
暫時【ざんじ】花雪を戴【いただ】く、幾処【いくつのところ】か葉 波に沈む。
体弱くして春苗【しゅんびょう】早く、叢【そう】長うして夜露【やろ】多し。
江湖【こうこ】搖落【ようらく】に後【おく】るるも 亦た恐る歳に蹉跎【さた】たらんことを


(現代語訳)
この「片葉あし」というものは、くだかれ折られ、しっかり自己を保つことがないのであるから、秋風に吹かれたとしてもどうかなるというのか。(どうにもならない、それは自分のせいなのだ。)
「片葉あし」は穂花をだすときしばらくの間、花が雪をいただいて立っているが、そこ処処でその葉は波間に沈んでいるのだ。
「片葉あし」は春の苗が早くでるがその体質は弱くて、群がって生え背は高くなり、夏にはたくさんの夜露をうけるのである。
「片葉あし」は南方の江湖の地方では他の草木が枯れ、葉がおちるよりかおそいのだけれど、それはまるで時機を逸して、適時にできず、不遇で志を得られぬ状態なのだと気づかわれるのである。


(訳注)
蒹葭

兼葭 あしのくさ。蒹とは。・蒹葭アシやヨシの類.葭 片葉の葦(かたはのあし)。

『詩経・秦風・蒹葭
兼葭蒼蒼,白露為霜。
所謂伊人,在水一方。
溯洄從之,道阻且長;
溯游從之,宛在水中央


とある。枯れ始めた陰暦九月の候をいう。
河の向こう岸にすむ美しい娘がいる。訪ねようと上流に行くと道が険しく、川を渡るには水が多い。不遇で志を得られぬ、果たせない男、やるせない気持ちを歌ったものである。杜甫のこの詩も最終句「歲蹉跎」という語でそのすべてを表している。


摧折不自守,秋風吹若何?
この「片葉あし」というものは、くだかれ折られ、しっかり自己を保つことがないのであるから、秋風に吹かれたとしてもどうかなるというのか。(どうにもならない、それは自分のせいなのだ。)
摧折 茎幹のくだけおれること。〇自守 自己をしっかり保守すること。○吹若何 若何とはいかんともしがたい、自己の責任であるということ。


暫時花戴雪,幾處葉沈波。
「片葉あし」は穂花をだすときしばらくの間、花が雪をいただいて立っているが、そこ処処でその葉は波間に沈んでいるのだ。
暫時 少しの間。しばらく。副詞的にも用いる。―の暇(いとま)をいただきたい。○幾処 いくばくの場所においてか、疑問体で多くの場所を意味する。あっちもこっちも。


體弱春苗早,叢長夜露多。
「片葉あし」は春の苗が早くでるがその体質は弱くて、群がって生え背は高くなり、夏にはたくさんの夜露をうけるのである。
春苗 春のわかなえ。○夜露 夏についていう。


江湖後搖落,亦恐歲蹉跎。
「片葉あし」は南方の江湖の地方では他の草木が枯れ、葉がおちるよりかおそいのだけれど、それはまるで時機を逸して、適時にできず、不遇で志を得られぬ状態なのだと気づかわれるのである。
江湖南方の地をさす。○揺落 草木の葉のゆりおとされる。〇 としどしに。歳相応に。適時に。○蹉跎 時機を失い不遇で志を得られぬ状態。『詩経・秦風・蒹葭』の意味と同じになる。