秦州抒情詩(14)    苦竹 杜甫 <299> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1364 杜甫詩 700- 419
《秦州抒情詩(14)    『苦竹』 杜甫700の299首目、杜甫ブログ419回目》

     
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東柯谷の山中の苦竹をみて、『詩経 衛風 淇澳篇』に詠う高徳を積んだ君主が竹藪の近くに住み切磋琢磨して宝飾のように輝きを示したことになぞらえてこの詩を読んだ。759年晩秋。
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苦竹
青冥亦自守,軟弱強扶持。
苦竹は春の霞のかかる遠い高い山において自己の本性を保守し、軟弱そうにみえてもその強靭なすがたはその本性に支えられている。
味苦夏蟲避,叢卑春鳥疑。
そうであっても春を過ぎると味わいは苦くなって夏の虫も食べないばかりか逃げていくのだ、その叢生したところは背が低いから春の鳥も疑って宿りには来ないのだ。
軒墀曾不重,剪伐欲無辭。
富貴邸宅の軒端近くにはかねてからこれを尊重しないものであり、ただもし用材として使おうとするなら選定して切り取られても辞退せず御用に立ちたいとおもっている。
幸近幽人屋,霜根結在茲。
幸いなことに隠棲する場所として奥まったところに竹藪が近くあるということだ、草木が霜で枯れて寒々とした景色の時期というのにこの山ふかい場所に根を結ぶということで切磋琢磨し輝きを放つ存在になろうというものである。
青冥【せいめい】にも亦た自ら守り、軟弱【なんじゃく】にも強いて扶持【ふじ】す。
味わい苦くして夏虫避け、叢【そう】卑【ひ】くして春鳥疑う。
軒墀【けんち】曾て重んぜず、剪伐【せんばつ】も辞する無きを欲【ねが】う。
幸いに近し幽人の屋、霜根【そうこん】結んで茲【これ】に在り。
真竹003

 
現代語訳と訳註
(本文) 苦竹
青冥亦自守,軟弱強扶持。
味苦夏蟲避,叢卑春鳥疑。
軒墀曾不重,剪伐欲無辭。
幸近幽人屋,霜根結在茲。

(下し文)
(苦 竹)
青冥【せいめい】にも亦た自ら守り、軟弱【なんじゃく】にも強いて扶持【ふじ】す。
味わい苦くして夏虫避け、叢【そう】卑【ひ】くして春鳥疑う。
軒墀【けんち】曾て重んぜず、剪伐【せんばつ】も辞する無きを欲【ねが】う。
幸いに近し幽人の屋、霜根【そうこん】結んで茲【これ】に在り。



(現代語訳)
苦竹は春の霞のかかる遠い高い山において自己の本性を保守し、軟弱そうにみえてもその強靭なすがたはその本性に支えられている。
そうであっても春を過ぎると味わいは苦くなって夏の虫も食べないばかりか逃げていくのだ、その叢生したところは背が低いから春の鳥も疑って宿りには来ないのだ。
富貴邸宅の軒端近くにはかねてからこれを尊重しないものであり、ただもし用材として使おうとするなら選定して切り取られても辞退せず御用に立ちたいとおもっている。
幸いなことに隠棲する場所として奥まったところに竹藪が近くあるということだ、草木が霜で枯れて寒々とした景色の時期というのにこの山ふかい場所に根を結ぶということで切磋琢磨し輝きを放つ存在になろうというものである。



(訳注)
苦 竹
苦竹 マダケまたはメダケの別名。にがたけ、味のよからぬもの、醜竹のことという。条件の良いところでは直径が10センチほどになり、高さも15メートルほどになる繊維の密度、柔軟性、色、つやなどが優れていて最もいろんな方面に使われている竹。皮も食品の包装の他、部分的に籠にも使われる
真竹【マダケ】は中国原産とも日本自生とも言われる竹の一種。別名タケ、ニガタケ(苦竹)、カラタケ(唐竹)、真柄竹。収穫期は5月から6月上旬とされる。別名を苦竹というように、収穫後時間を経過したタケノコはエグみがあり、あく抜きが必要だが美味とされる。掘りたてのものにはエグみがほとんど存在せず、そのままさしみにして食しても美味しい。収穫の際は、モウソウチクのように地下部まで掘り取る必要はなく、地上部を切り取るだけで済む。
竹林は地下茎が地面を広く覆うので地震、崖崩れに非常に強い。

君子のあるべき姿を詠ったもの。
『詩経 衛風 淇澳篇』
瞻彼淇奧.綠竹猗猗.有匪君子.
如切如磋.如琢如磨.瑟兮僩兮.
赫兮咺兮.有匪君子.終不可諼兮

瞻彼淇奧.綠竹青青.有匪君子.
充耳琇瑩.會弁如星.瑟兮僩兮.
赫兮咺兮.有匪君子.終不可諼兮

瞻彼淇奧.綠竹如簀.有匪君子.
如金如錫.如圭如璧.寬兮綽兮.
倚重較兮.善戲謔兮.不為虐兮

 

青冥亦自守,軟弱強扶持。
苦竹は春の霞のかかる遠い高い山において自己の本性を保守し、軟弱そうにみえてもその強靭なすがたはその本性に支えられている。
青冥 五行思想で青は春、絵画の遠近法で青は遠くの山、高い山、などからここでは、春の霞のかかる遠い高い山においてという意味をいう。参考に挙げた『詩経 衛風 淇澳篇』「瞻彼淇奧.綠竹猗猗.」のイメージを踏襲している。また、「青冥」は杜甫『路逢襄揚楊少府入城,戲呈楊四員外綰』において同様に使う。
杜甫 『路逢襄揚楊少府入城,戲呈楊四員外綰』
寄語楊員外,山寒少茯苓。
歸來稍暄暖,當為斸青冥。
翻動神仙窟,封題鳥獸形。


自守 自ずからの性を守り保つ。儒家の節操を比喩している。○軟弱やわらかにしてよわい。○扶持 手助けして支える。
 

味苦夏蟲避,叢卑春鳥疑。
そうであっても春を過ぎると味わいは苦くなって夏の虫も食べないばかりか逃げていくのだ、その叢生したところは背が低いから春の鳥も疑って宿りには来ないのだ。
叢卑 むらがり生えたところがたけのひくいこと。○ 巣作りができる林であるかをうたがう。


軒墀曾不重,剪伐欲無辭。
富貴邸宅の軒端近くにはかねてからこれを尊重しないものであり、ただもし用材として使おうとするなら選定して切り取られても辞退せず御用に立ちたいとおもっている。
軒墀【けんち】 のきば、どえん、これは富貴の家をさす。○剪伐【せんばつ】 「詩経」の(甘棠)にみえる、きり、うちとる。○ 辞退すること。


幸近幽人屋,霜根結在茲。
幸いなことに隠棲する場所として奥まったところに竹藪が近くあるということだ、草木が霜で枯れて寒々とした景色の時期というのにこの山ふかい場所に根を結ぶということで切磋琢磨し輝きを放つ存在になろうというものである。
幽人屋 奥まったしずかな場所に隠棲する人。隠棲する場所に苦竹が必要なのは、儒者が切磋琢磨する場所という意味である。○ 青冥の地をさす。