秦州抒情詩(20)   野望 杜甫 <305> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1382 杜甫詩 700- 425 

     
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《秦州抒情詩(20)  『野望』 杜甫700の305首目、杜甫ブログ425回目》
友からの知らせを待ちわびて、野らの夕ぐれのながめをのべる。

野望
清秋望不極,迢遞起層陰。
空高くすみきった秋の遠望ははてしなくひろがり、段々畑の地勢にさらに幾重かの夕曇がつづいて起こっている。
遠水兼天淨,孤城隱霧深。
それで遠方の川はやがて天とひとつになってすっきりして見え、この小さな孤城はだんだん霧が深く立ち込めてきて隠れてしまう。
葉稀風更落,山迥日初沈。
それから落葉してたださえ稀になった木々を北風が吹き葉は一層振るわれて落ちていて、山が遥か彼方にあるので太陽がやっと沈んでいる。
獨鶴歸何晚?昏鴉已滿林。
このとき日暮れの烏は巣を求めて、すでに林に一杯留まり宿すというのに、どうして一匹の鶴だけは、こんなに遅く帰るのであろうか。この鶴はわたしのようだ。


現代語訳と訳註
(本文)

野望
清秋望不極,迢遞起層陰。
遠水兼天淨,孤城隱霧深。
葉稀風更落,山迥日初沈。
獨鶴歸何晚?昏鴉已滿林。


(下し文)
(野 望)
清秋【せいしゅう】望み極まらず、迢遞【ちょうてい】層陰【そういん】起こる。
遠水【えんすい】は天を兼ねて浄く、孤城は霧に隠れて深し。
葉稀なるに風は更に落とし、山迥かにして日は初めて沈む。
独鶴【どっかく】帰ること何ぞ晩【おそ】き、昏鵠【こんあ】己に林に満つるに。


(現代語訳)
空高くすみきった秋の遠望ははてしなくひろがり、段々畑の地勢にさらに幾重かの夕曇がつづいて起こっている。
それで遠方の川はやがて天とひとつになってすっきりして見え、この小さな孤城はだんだん霧が深く立ち込めてきて隠れてしまう。
それから落葉してたださえ稀になった木々を北風が吹き葉は一層振るわれて落ちていて、山が遥か彼方にあるので太陽がやっと沈んでいる。
このとき日暮れの烏は巣を求めて、すでに林に一杯留まり宿すというのに、どうして一匹の鶴だけは、こんなに遅く帰るのであろうか。この鶴はわたしのようだ。


(訳注)
野望

官を辞して姪の杜佐を頼ってきた秦州、東柯谷の夕暮れ、野を眺めて作ったもの。759年乾元2年48歳。杜甫は友人たちの応援を待っているときであるため、時間の経過を示すような記述をしている。したがって、現代語訳としては、過去形で訳さず、現代進行形で読んだ方が、時間経過を感じやすい。


清秋望不極,迢遞起層陰。
清秋【せいしゅう】望み極まらず、迢遞【ちょうてい】層陰【そういん】起こる。
空高くすみきった秋の遠望ははてしなくひろがり、段々畑の地勢にさらに幾重かの夕曇がつづいて起こっている。
望不極 望無転の意、ながめのはてしないことをいう。
迢遞 地に高低あり、かつはるかなさま。段々畑の地勢をいう。
層陰 いくえものくもり。段々ばたに上に、雲の段々畑がある。


遠水兼天淨,孤城隱霧深。
遠水【えんすい】は天を兼ねて浄く、孤城は霧に隠れて深し。
それで遠方の川はやがて天とひとつになってすっきりして見え、この小さな孤城はだんだん霧が深く立ち込めてきて隠れてしまう。
遠水二句 この二句は上三字下二字の句法を用いる、「遠水、天の浄きを兼ね、孤城、霧の深きに隠る」とよんでもよいが、「遠水を兼ねて天浄く、孤城隠れて霧深し」とよむことの方がより簡明である。他の例をあげれば、『晚出左掖』「楼雪融城湿、宮雲去殿低」(晩二左を出ず)、七言句『秋興』では、「画省香炉連伏誌、山城粉喋隠悲節」の如きは同句法である。晚出左掖 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 240

葉稀風更落,山迥日初沈。
葉稀なるに風は更に落とし、山迥かにして日は初めて沈む。
それから落葉してたださえ稀になった木々を北風が吹き葉は一層振るわれて落ちていて、山が遥か彼方にあるので太陽がやっと沈んでいる。
葉稀 ひとりでに葉のすくなくなったことをいう。
風更落 「風更に落とす」と「落」の字を他動詞によむこともできるが「葉」を主として「落」を自動詞とみる


獨鶴歸何晚?昏鴉已滿林。
独鶴【どっかく】帰ること何ぞ晩【おそ】き、昏鵠【こんあ】己に林に満つるに。
このとき日暮れの烏は巣を求めて、すでに林に一杯留まり宿すというのに、どうして一匹の鶴だけは、こんなに遅く帰るのであろうか。この鶴はわたしのようだ。
獨鶴 官を辞して隠棲の場所を求めて秦州に来たわけであるが友人たちに応援を求めてその結果を待っている杜甫自身の心境を述べている。この二句は倒句として読む。
昏鴉 夕暮れの鳥。

hinode0200

野望
清秋望不極,迢遞起層陰。
遠水兼天淨,孤城隱霧深。
葉稀風更落,山迥日初沈。
獨鶴歸何晩?昏鴉已滿林。
(野 望)
清秋【せいしゅう】望み極まらず、迢遞【ちょうてい】層陰【そういん】起こる。
遠水【えんすい】は天を兼ねて浄く、孤城は霧に隠れて深し。
葉稀なるに風は更に落とし、山迥かにして日は初めて沈む。
独鶴【どっかく】帰ること何ぞ晩【おそ】き、昏鵠【こんあ】己に林に満つるに。

春望
國破山河在,城春草木深。
感時花濺涙,恨別鳥驚心。
烽火連三月,家書抵萬金。
白頭掻更短,渾欲不勝簪。

國 破れて  山河 在り,城 春にして  草木 深し。
時に 感じては  花にも 涙を 濺(そそ)ぎ,別れを 恨んでは  鳥にも 心を驚かす。
烽火  三月(さんげつ)に 連なり,家書  萬金に 抵(あ)たる。
白頭  掻けば 更に 短く,渾(すべ)て簪(しん)に勝(た)へざらんと欲す。