秦州抒情詩(21)  空囊 杜甫 <306> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1385 杜甫詩 700- 426 

     
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 李商隠詩李商隠/韓愈韓退之(韓愈)・柳宗元・李煜・王安石・蘇東坡 
   2011/7/11李商隠 1 錦瑟 
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   2012/1/11 唐宋 Ⅰ李商隠187 行次西郊作一百韻  白文/現代語訳 (全文) 
     

759年、乾元2年 48歳
《秦州抒情詩(21) 『空囊』 杜甫700の306首目、杜甫ブログ426回目》
『秦州雜詩二十首』 で杜甫は秦州で隠遁することを決意し、その場所も姪従弟杜佐の推薦する東柯谷という谷あいの村であった。そして其二十で長安の朝廷で「鴛行」していた旧友たちに応援を頼むものであった。『示侄佐』「多病秋風落,君來慰眼前。」と、病気がちで度々寝込んだ、秋風が吹き木の葉が落ち待っている。君(姪従弟の杜佐)が来てくれこうして目の前で見舞ってくれる。しかし、友人たちから応援の知らせは全く来ないのである。時にはユーモラスな詩も書いた。財布のからになろうとするものを詠んだ。これらの詩も親戚友人に贈られたのだろう。

駅亭の 隠遁

            
空囊
翠柏苦猶食、明霞高可餐。
かやの実は苦くてもその実をたべることはできるが、山に住むと朝霞もまた手にたべることができるのだ。
世人共鹵莽、吾道属艱難。
ここに住んでいると世間の人の行う所は皆いいかげんのことをしているように思えるが、私はこれまで仕官をめざしは叶えられて務めたが、それが私の道ではないことが分かりここに来た。官に勤めて辞めてもこの世路なんぎに満ちているのだ。
不爨井晨凍、無衣牀夜寒。
井の水はあさこおっているから私のところではめしをたかないし、着物、衣がないことはねだいの夜がさむいのである。
囊空恐羞澁、留得一銭看。
さいふの中身がからっぽになれば人前でもはずかしく具合が悪いものだから、一銭だけはのこしておかなくてはと大事にそうにみているのである。
(空 襲)
翠柏【すいはく】苦【にが】きも猶お食【く】らい、明霞【めいか】高きも餐【くら】う可【べ】し。
世人 共に鹵莽【ろもう】、吾が道 艱難【かんなん】に属す。
爨【かし】がざれば井【せい】晨【あした】に凍り、衣無ければ牀【しょう】夜寒し。
囊 空【むな】しくば恐らくは羞澁【しゅうじゅう】せん、一銭を留【とど】め得て看ん。


現代語訳と訳註
(本文)
空囊
翠柏苦猶食、明霞高可餐。
世人共鹵莽、吾道属艱難。
不爨井晨凍、無衣牀夜寒。
囊空恐羞澁、留得一銭看。


(下し文)
(空 襲)
翠柏【すいはく】苦【にが】きも猶お食【く】らい、明霞【めいか】高きも餐【くら】う可【べ】し。
世人 共に鹵莽【ろもう】、吾が道 艱難【かんなん】に属す。
爨【かし】がざれば井【せい】晨【あした】に凍り、衣無ければ牀【しょう】夜寒し。
囊 空【むな】しくば恐らくは羞澁【しゅうじゅう】せん、一銭を留【とど】め得て看ん。


(現代語訳)
かやの実は苦くてもその実をたべることはできるが、山に住むと朝霞もまた手にたべることができるのだ。
ここに住んでいると世間の人の行う所は皆いいかげんのことをしているように思えるが、私はこれまで仕官をめざしは叶えられて務めたが、それが私の道ではないことが分かりここに来た。官に勤めて辞めてもこの世路なんぎに満ちているのだ。
井の水はあさこおっているから私のところではめしをたかないし、着物、衣がないことはねだいの夜がさむいのである。
さいふの中身がからっぽになれば人前でもはずかしく具合が悪いものだから、一銭だけはのこしておかなくてはと大事にそうにみているのである。


(訳注)
空囊

東柯谷の生活を示すもの。身の回りの何気ない小さなものを取り上げ、何気なくその時の思いを述べている。秦州においてはじめて詠った律詩シリーズである。


翠柏苦猶食、明霞高可餐。
かやの実は苦くてもその実をたべることだできるが、山に住むと朝霞もまた手にたべることができるのだ。
翠柏 みどり葉の柏、柏はかや、ここはかやの実をいう。
明霞 あさの赤色のかすみ、仙人のたべものである。


世人共鹵莽、吾道属艱難。
ここに住んでいると世間の人の行う所は皆いいかげんのことをしているように思えるが、私はこれまで仕官をめざしは叶えられて務めたが、それが私の道ではないことが分かりここに来た。官に勤めて辞めてもこの世路なんぎに満ちているのだ。
鹵莽 耕作の仕方のいいかげんなことをいうが、ここではそれをかりて人事についていう。粗末。おろそかなこと。世人の行ういい加減な人の付き合い。
吾道 自己の理想とする道をいう。
艱難 世路の険難。
世人 : 吾道  、共 : 属 、鹵莽 : 艱難
*同じ品詞を同じ位置に配置する修辞により、一層の強調がなされる。


不爨井晨凍、無衣牀夜寒。
井の水はあさこおっているから私のところではめしをたかないし、着物、衣がないことはねだいの夜がさむいのである。
 かしぐ、飯をつくるためかまどに火をたく。
ねだい。
不爨 : 無衣  、井 : 牀 、晨凍 : 夜寒
*同じ品詞を同じ位置に配置する修辞により、一層の強調がなされる。
 

囊空恐羞澁、留得一銭看。
さいふの中身がからっぽになれば人前でもはずかしく具合が悪いものだから、一銭だけはのこしておかなくてはと大事にそうにみているのである。
 さいふ。
羞渋 人に対してはにかむさま。恥ずかしく具合が悪い。
 みまもる。