秦州抒情詩(22)  病馬 杜甫 <307> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1388 杜甫詩 700- 427


     
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《秦州抒情詩(22)  『病馬』 杜甫700の307首目、杜甫ブログ427回目》
(病 馬)共に苦しい中過ごした老馬をよんだ。759年秋。秦州東柯谷。



病馬
乘爾亦已久,天寒關塞深。
もう、いつとはなし晩秋の寒空になって、秦州の関所と塞の奥まったこの地域にいて、わたしがおまえに乗ることも久しいものだ。
塵中老盡力,歲晚病傷心。
あの風塵中におまえは年をとったが精一杯働いてくれた、寄る年波で心臓に病気をもっていることがわかる。
毛骨豈殊眾?馴良猶至今。
毛なみや骨格が特別他の多くの凡馬と違っているわけではないが、おまえの賢くて従順なことは昔から今日まで変わらずつづいている。
物微意不淺,感動一沉吟!

心臓に問題があることなど些細な事であって、わたしのこの馬に対する心持は浅くはない。この老馬のために感動してもっぱらため息つくのである。


現代語訳と訳註
(本文)
病馬
乘爾亦已久,天寒關塞深。
塵中老盡力,歲晚病傷心。
毛骨豈殊眾?馴良猶至今。
物微意不淺,感動一沉吟!


(下し文) (病 馬【びょうば】)
爾に乗るも亦た己に久し、天寒くして関塞【かんさい】深し。
塵中【じんちゅう】に老いて力を尽くす、歳晩【さいばん】病みて心を傷【そこな】う。
毛骨【もうこつ】豈に衆に殊【こと】ならんや、馴良【じゅんりょう】猶お今に至れり。
物 微【び】なるも 意 浅からず、感動して一に沈吟【ちんぎん】す。


(現代語訳)
もう、いつとはなし晩秋の寒空になって、秦州の関所と塞の奥まったこの地域にいて、わたしがおまえに乗ることも久しいものだ。
あの風塵中におまえは年をとったが精一杯働いてくれた、寄る年波で心臓に病気をもっていることがわかる。
毛なみや骨格が特別他の多くの凡馬と違っているわけではないが、おまえの賢くて従順なことは昔から今日まで変わらずつづいている。
心臓に問題があることなど些細な事であって、わたしのこの馬に対する心持は浅くはない。この老馬のために感動してもっぱらため息つくのである。


(訳注)
病馬

杜甫が昔から乗っていた馬は、755年、家族を鄜州羌村へ疎開させ、その後、霊武の行在所に向かう途中、太原から来た史忠明の叛乱軍に馬を奪われた。そして、友人に助けられたりしたが、結局叛乱軍に甫博され、長安に軟禁された。以下の詩にその当たりの事が述べられている。

王砅「送重表姪王秋評事便南海」 杜甫 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 131

彭衙行 杜甫 132 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 132 -#1


長安の叛乱軍の手から脱出し、彭っ省の行在所に駆け込み、左拾位という地位を受けたが、その後妻を迎えに行くこと許されたが、徒歩で向かったことを述べている。

徒步歸行 杜甫 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 200


したがって、杜甫は借りた馬で、家族を伴って長安に帰って來たのである。そして、朝廷で疎外されながら、努めるが、この時払下げか何かの馬を手に入れたものと思う。それ以降の華州での生活、華州を起点に、生まれた実家を訪ね、知人、友人を訪ね歩いている。そして詩集に向かったのであるが、秦州に来て初めて作ったと思われる『遣興三首』まで、馬のことについて触れていない。当時、杜甫クラスの男は、馬で移動するのが辺りまで、最低驢馬に乗って移動したものである。女子供は歩いた。2,3人の従僕がいるのも当たり前であった。
其の一年余り共にした病んだ老馬について述べているものである。759年秋。


乘爾亦已久,天寒關塞深。
もういつとはなし晩秋の寒空になって、秦州の関所と塞の奥まったこの地域にいて、わたしがおまえに乗ることも久しいものだ。
 老馬のこと。
 おくまっていることをいう。


塵中老盡力,歲晚病傷心。
あの風塵中におまえは年をとったが精一杯働いてくれた、寄る年波で心臓に病気をもっていることがわかる。
塵中老尽力 馬についていう、上三下二の句法、「尽気塵中老」と同意。
歳晩病傷心 馬についていう、上三下二の句法、「傷芯歳晩病」と同意、傷心は心臓を傷害することをいう。老馬にはつきものの問題点である。


毛骨豈殊眾?馴良猶至今。
毛なみや骨格が特別他の多くの凡馬と違っているわけではないが、おまえの賢くて従順なことは昔から今日まで変わらずつづいている。
豈殊眾 反語、多数の凡馬とあまりちがわぬ、特にすぐれた材カがあるわけではないことをいう。
馴艮 ならされてすなおなこと、馬の徳をいう。賢くて従順なこと。
猶至今 昔からさようであるが今日でもまたそうである。昔から今日まで変わらずつづいている。


物微意不淺,感動一沉吟!
心臓に問題があることなど些細な事であって、わたしのこの馬に対する心持は浅くはない。この老馬のために感動してもっぱらため息つくのである
物微 物は馬をさす、一病馬の如きは物としては微小で言うに足らぬほどのものである。
意不浅 馬に対しての作者のころろもちはふかい。
沈吟 ためいきをつく。