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寄張十二山人彪三十韻 杜甫 <318-#5> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1487 杜甫詩 700- 460


肘後符應驗,囊中藥未陳。
医薬の書を手許にかけて、あなたが作る療病の符は必ず治癒に効きめがあるだろう、あなたの嚢中にたくわうる薬はまたふるびたりすることはないだろう。
旅懷殊不愜,良覿眇無因。
自分病気がちで旅中のおもいめぐらしても気にあわないことばかりなのだ、そんなおりにあなたが居てくれたらと思うのに、かけ離れていたので頼る由もなかった。
自古多悲恨,浮生有屈伸。
悲恨というきもちをもつことは今にはじまったものではなく古からあるものだ、浮世には叛乱により屈伸、集散離合などやりたくもないことをさせられることがあるものだ。
此邦今尚武,何處且依仁。
この国は秦州ばかりでなくどこでも、いま武力だけがものをいうようなものだ、どこを尋ねたならば仁徳のあるものに寄り添うことができるだろうか。
鼓角淩天籟,關山倚月輪。
戦争が近いのか鼓角のおとは天籟をもしのぎ、関塞のある山はたかく月に倚っている。
肘後【ちゅうご】符【ふ】応【まさ】に験【けん】あるなるべし、嚢中【のうちゅう】薬【くすり】未だ陳ならず。
旅懐殊【こと】に愜【かな】わず、良覿【りょうてき】眇【びょう】として因無し。
古【いにしえ】自【よ】り皆 悲恨【ひこん】あり、浮生屈伸あり。
此の邦【くに】今武を尚ぶ、何【いずれ】の処にか且つ仁に依らん。
鼓角天籟【てんらい】を凌ぐ、関山月輪に倚る。

少陵台

現代語訳と訳註
(本文)

肘後符應驗,囊中藥未陳。旅懷殊不愜,良覿眇無因。
自古多悲恨,浮生有屈伸。此邦今尚武,何處且依仁。
鼓角淩天籟,關山倚月輪。


(下し文)
肘後【ちゅうご】符【ふ】応【まさ】に験【けん】あるなるべし、嚢中【のうちゅう】薬【くすり】未だ陳ならず。
旅懐殊【こと】に愜【かな】わず、良覿【りょうてき】眇【びょう】として因無し。
古【いにしえ】自【よ】り皆 悲恨【ひこん】あり、浮生屈伸あり。
此の邦【くに】今武を尚ぶ、何【いずれ】の処にか且つ仁に依らん。
鼓角天籟【てんらい】を凌ぐ、関山月輪に倚る。


(現代語訳)
医薬の書を手許にかけて、あなたが作る療病の符は必ず治癒に効きめがあるだろう、あなたの嚢中にたくわうる薬はまたふるびたりすることはないだろう。
自分病気がちで旅中のおもいめぐらしても気にあわないことばかりなのだ、そんなおりにあなたが居てくれたらと思うのに、かけ離れていたので頼る由もなかった。
悲恨というきもちをもつことは今にはじまったものではなく古からあるものだ、浮世には叛乱により屈伸、集散離合などやりたくもないことをさせられることがあるものだ。
この国は秦州ばかりでなくどこでも、いま武力だけがものをいうようなものだ、どこを尋ねたならば仁徳のあるものに寄り添うことができるだろうか。
戦争が近いのか鼓角のおとは天籟をもしのぎ、関塞のある山はたかく月に倚っている。

終南山03

(訳注)
肘後符應驗,囊中藥未陳。
医薬の書を手許にかけて、あなたが作る療病の符は必ず治癒に効きめがあるだろう、あなたの嚢中にたくわうる薬はまたふるびたりすることはないだろう。
肘後符応験 晋の葛洪は「金匱薬方一百巻」・「肘後安息方四巻」を著わした、肘後:手許のこと、符:医療のまじないのふだ、験;ききめのしるし。
 ふるくなる。陳腐。


旅懷殊不愜,良覿眇無因。
自分病気がちで旅中のおもいめぐらしても気にあわないことばかりなのだ、そんなおりにあなたが居てくれたらと思うのに、かけ離れていたので頼る由もなかった。
旅懐 杜甫の客中のおもい。○ きにあう。
良覿 親友と相い見ること。
眇無因 はるかにして遭うに由無いこと。


自古多悲恨,浮生有屈伸。
悲恨というきもちをもつことは今にはじまったものではなく古からあるものだ、浮世には叛乱により屈伸、集散離合などやりたくもないことをさせられることがあるものだ。
悲恨 悲しみうらむ。仇に思うこと。遺恨まで行かないものと解釈する。『漢書、刑法志』「不辜蒙戮、父子悲恨」
屈伸 一身のかがむとのびると、伸縮。しゃがんでいるものと思っていたものが謀叛ということで、起き上がり、身の程知らずに皇帝を名乗ったこと。あるいは不満分子の集合体、集散離合の状況をいう。


此邦今尚武,何處且依仁。
この国は秦州ばかりでなくどこでも、いま武力だけがものをいうようなものだ、どこを尋ねたならば仁徳のあるものに寄り添うことができるだろうか。
此邦 この国は秦州ばかりでなくどこでも。
依仁 仁人にたよって生活すること、仁人は彪をさす、この依仁は「論語」の「里仁」の意のごとくである。


鼓角淩天籟,關山倚月輪。
戦争が近いのか鼓角のおとは天籟をもしのぎ、関塞のある山はたかく月に倚っている。
凌天籟 そらふくからかぜをもしのぐ、高くのぼること。
倚月輪 といっているのは関山が倚るとみるものである。「地勢の高きを言う」「秦州雑詩」にこれらの雰囲気をつかむことが出来る。
秦州雜詩二十首 其四
鼓角縁辺郡、川原欲夜時。
秋聴殷地発、風散入雲悲。
抱葉寒蝉静、帰山独鳥遅。
万方声一慨、吾道竟何之。
鼓角【こかく】 縁辺【えんぺん】の郡、川原【せんげん】  夜ならんと欲する時。
秋に聴けば地に殷【どよ】もして発【おこ】り、風に散【さん】じて雲に入り 悲しむ。
葉を抱【いだ】ける寒蝉【かんせん】は静かに、山に帰る独鳥【どくちょう】は遲。
万方【ばんぽう】 声 一慨【いちがい】、吾 【わ】が道  竟【つい】に何【いず】くにか之【ゆ】かん。


秦州雜詩二十首 其六
城上胡笳奏,山邊漢節歸。
防河赴滄海,奉詔發金微。
士苦形骸黑,林疏鳥獸稀。
那堪往來戍,恨解鄴城圍。
城上に胡茄【こか】奏せらる 山辺に漢節【かんせつ】帰る。
防河【ぼうが】として滄海【そうかい】に赴く 詔を奉じて金微【きんぴ】より発す。
士苦しみて形骸【けいがい】黒く 林 疎【そ】にして鳥獣【ちょうじゅう】稀なり。
那ぞ堪えん往来の戊の、鄴城【ぎょうじょう】の囲みを解きしことを恨むに。


秦州雑詩二十首 其七
莽莽万重山、孤城山谷間。
無風雲出塞、不夜月臨関。
属国帰何晩、楼蘭斬未還。
烟塵独長望、衰颯正摧顔。
莽莽【もうもう】たり万重【ばんちょう】の山、孤城  山谷【さんこく】の間。
風無くして雲は塞を出で、夜ならざるに月は関【かん】に臨む。
属国  帰ること何ぞ晩【おそ】き、楼蘭【ろうらん】  斬らんとして未だ還【かえ】らず。
烟塵【えんじん】に独り長望【ちょうぼう】し、衰颯【すいさつ】として正【まさ】に顔を摧【くだ】く。


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