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“同谷紀行(3)” 鐵堂峽 杜甫 <323-#1># 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1529 杜甫詩 700- 474 
詩 題:“同谷紀行(3)” 鐵堂峽
     同谷紀行の第三首目。
時 期:乾元2年10月 759年 48歳
掲 載; 杜甫700の323首目-#1
杜甫ブログ;474回目
759年鉄堂峽経過のときの作。秦州から約50km離れたとこにある谷あいの場所である。


鐵堂峽
山風吹遊子,縹緲乘險絕。
山の風が旅人であるわたしに吹きつけていく。わたしは底冷えのする空気がかすかにつらなっているとても嶮しい道をのぼってゆく。
硤形藏堂隍,壁色立精鐵。
この峡谷の形は殿堂のそばに空堀をほってあるようなさまで、片方の絶壁の色は鉄鉱石という感じでなく精錬された鉄が立てられてるようだ。
徑摩穹蒼蟠,石與厚地裂。
山のこみちはあお空がアーチ状にみえるほどに高くまがりくねっている。厳石は大地と共に引き裂かれている。
修纖無垠竹,嵌空太始雪。』
峡側にはながくほそい竹林が際限もなくつづいて生えており、ひくい処には太古以来の雪がまるで空のすきとおるようにきれいにのこっている。』

威遲哀壑底,徒旅慘不悅。
水寒長冰橫,我馬骨正折。
生涯抵弧矢,盜賊殊未滅。
飄蓬逾三年,回首肝肺熱。』


(鉄堂峡)
山風遊子を吹く、縹緲【ひょうぼう】険絶に乗ず。
硤形【きょうけい】堂隍【どうこう】を蔵す、壁色精鉄【せいてつ】立つ。
径は穹蒼【きゅうそう】を摩して蟠【わだかま】り、石は厚地【こうち】と與に裂く。
修繊【しゅうせん】なり無垠【むこん】の竹、嵌空【かんくう】なり太始の雪。』


威遲【いち】たり哀壑【あいがく】の底、徒旅【とりょ】惨として悦ばず。
水寒くして長冰【ちょうひょう】橫たわる、我が馬骨正に折る。
生涯弧矢【こし】に抵【あた】る、盗賊【とうぞく】殊に未だ滅せず。
飄蓬【ひょうほう】三年を逾【こ】ゆ、首を回らせば肝肺【かんはい】熟す。』



現代語訳と訳註
(本文)
鐵堂峽
山風吹遊子,縹緲乘險絕。
硤形藏堂隍,壁色立精鐵。
徑摩穹蒼蟠,石與厚地裂。
修纖無垠竹,嵌空太始雪。』


(下し文) (鉄堂峡)
山風遊子を吹く、縹緲【ひょうぼう】険絶に乗ず。
硤形【きょうけい】堂隍【どうこう】を蔵す、壁色精鉄【せいてつ】立つ。
径は穹蒼【きゅうそう】を摩して蟠【わだかま】り、石は厚地【こうち】と與に裂く。
修繊【しゅうせん】なり無垠【むこん】の竹、嵌空【かんくう】なり太始の雪。』



(現代語訳)
山の風が旅人であるわたしに吹きつけていく。わたしは底冷えのする空気がかすかにつらなっているとても嶮しい道をのぼってゆく。
この峡谷の形は殿堂のそばに空堀をほってあるようなさまで、片方の絶壁の色は鉄鉱石という感じでなく精錬された鉄が立てられてるようだ。
山のこみちはあお空がアーチ状にみえるほどに高くまがりくねっている。厳石は大地と共に引き裂かれている。
峡側にはながくほそい竹林が際限もなくつづいて生えており、ひくい処には太古以来の雪がまるで空のすきとおるようにきれいにのこっている。』


(訳注)
鐵堂峽

○鉄堂峡
 奏州の東南六十五里約40km(1里576m)ばかりの処にある峡の名、峡は「山陗の水を爽むものを峡と日う」。また〔「交(か)ひ」と同源〕山と山との間の狭く細長い土地。
ここに山塊が殿堂のような形のなった、厓璧の色黒く固く鉄のようであったのであろう。


山風吹遊子,縹緲乘險絕。
山の風が旅人であるわたしに吹きつけていく。わたしは底冷えのする空気がかすかにつらなっているとても嶮しい道をのぼってゆく。
遊子 旅人。杜甫のこと。同谷紀行(2)『赤穀』「天寒霜雪繁,遊子有所之。」
標緲 (現在でいう放射冷却による霞現象)気がつらなってかすかにみえるさま。
険絶 絶険と同じ、絶ははなはだしいことをいう。けわしいところ。


硤形藏堂隍,壁色立精鐵。
この峡谷の形は殿堂のそばに空堀をほってあるようなさまで、片方の絶壁の色は鉄鉱石という感じでなく精錬された鉄が立てられてるようだ。
硤形 硤は峡と別字であるが同意に用いる。硤形は峡谷の形。
蔵堂隍 堂はたかいざしき、隍は城のからぼり(隍)をいう、山体を堂とみ、渓谷を隍とみたのであろう、ここの硤暁の形はここに堂と隍とを蔵するがごとくである。峡谷の形がまわりにからぼりのある殿堂をかくすようにみえる渓谷のようすをいう。
壁色 山の崖壁のいろ。
精鉄 鉄鉱石という感じでなく精錬された鉄のようである。別のテクストでは積惙に作る。その場合、堆積した鉄が立てられてる様子。 


徑摩穹蒼蟠,石與厚地裂。
山のこみちはあお空がアーチ状にみえるほどに高くまがりくねっている。厳石は大地と共に引き裂かれている。
 こみち。
○摩 こする、接近の甚しいことをいう。
穹蒼 弓なりのあおぞら。空がアーチ状にみえる。
 とぐろをまく。わだかまる。まがりくねっている。
厚地 大地をいう。


修纖無垠竹,嵌空太始雪。』
峡側にはながくほそい竹林が際限もなくつづいて生えており、ひくい処には太古以来の雪がまるで空のすきとおるようにきれいにのこっている。』
修練 修はながい、織はほそい。
無垠 はてしない、広がりをいう。垠はさかい。
嵌空 空が透き通るような美しいさま。
太始雪 天地のはじめ以来とけぬ雪。
 
 杜甫 体系 地図459同谷紀行

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