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詩 題:“同谷紀行(12)” 鳳凰台 759年11月
掲 載; 杜甫1000の331首目-#1
杜甫ブログ;1500-488回目
五言古詩。同谷紀行の第十二首。同谷の東南にそびえる岩山鳳風山を眺めつつ同谷に入るとき、同谷を祝福する讃歌として作る。
同谷は、北に積草嶺、西に仇池山、南に泥功山、南南東に宝井堡、東南に鳳凰山がある。
鳳凰台 #1
亭亭鳳凰台,北對西康州。
樹木などが高く生えて山がそびえたっているのが鳳風台である、その山の北には昔西康州といわれた地域に向かいあっているのである。
西伯今寂寞,凰聲亦悠悠。
周の文王のような聖人は今は現れず寂しい限りである、鳳凰の台といわれても鳳凰の声もまた絶えて聞くことがないのだろう。
山峻路絕蹤,石林氣高浮。
この山はけわしくて道には人の足跡も絶えているようだし、石柱の林の上に「仁徳の気」が高く浮かんでいて降りてきてはくれないのだ。
安得萬丈梯,為君上上頭?
どうにかして一万丈もある梯子を手に入れたいものだ、そうすれば君子のためにあの頂上の上に昇ってみることができるだろう。
#2
恐有母無雛,饑寒日啾啾。我能剖心血,飲啄慰孤愁。
心以當竹實,炯然無外求。血以當醴泉,豈徒比清流?
所重王者瑞,敢辭微命休。
#3
坐看彩翮長,舉意八極周。自天銜瑞圖,飛下十二樓。
圖以奉至尊,鳳以垂鴻猷。再光中興業,一洗蒼生憂。
深衷正為此,群盜何淹留。
(鳳凰台)
亭亭【ていてい】たる鳳凰【ほうおう】の台、北のかた西康州【こうしゅう】に対す。
西伯【さいはく】今は寂寞【せきばく】、鳳声【ほうせい】 亦た悠悠。
山は峻しくして路は蹤【あと】を絶ち、石林に気は高く浮かぶ。
安【いずく】にか万丈の梯【てい】を得て、君の為に上頭に上らん。
恐らくは無母の雛【すう】有りて、饑寒して日びに啾啾たらん。
我は能く心を剖【き】きて出だし、飲啄【いんたく】して孤愁【こしゅう】を慰めん。
心は以て竹実に当つれば、炯然【けいぜん】外に求むる無し。
血は以て醴泉に当つれば、豈に徒【た】だ清流に比するのみならんや。
重んずる所は王者の瑞【ずい】なればなり、敢て辞せんや 徴命の休するを。
坐に看ん 彩翮【さいかく】長じて、意を縦ままにして八極に周【あまね】きを。
天より瑞図【ずいと】を銜み、飛びて十二楼に下る。
鳳は以て至尊に奉じ、鳳は以て鴻猷【こうゆう】を垂れん。
再び中興の業を光かせ、蒼生の憂いを一洗せん。
深衷【しんちゅう】 正に此れが為なり、群盗 何ぞ掩留【えんりゅう】するや。
現代語訳と訳註
(本文) 鳳凰台 #1
亭亭鳳凰台,北對西康州。西伯今寂寞,凰聲亦悠悠。
山峻路絕蹤,石林氣高浮。安得萬丈梯,為君上上頭?
(下し文)
亭亭【ていてい】たる鳳凰【ほうおう】の台、北のかた西康州【こうしゅう】に対す。
西伯【さいはく】今は寂寞【せきばく】、鳳声【ほうせい】 亦た悠悠。
山は峻しくして路は蹤【あと】を絶ち、石林に気は高く浮かぶ。
安【いずく】にか万丈の梯【てい】を得て、君の為に上頭に上らん。
(現代語訳)
樹木などが高く生えて山がそびえたっているのが鳳風台である、その山の北には昔西康州といわれた地域に向かいあっているのである。
周の文王のような聖人は今は現れず寂しい限りである、鳳凰の台といわれても鳳凰の声もまた絶えて聞くことがないのだろう。
この山はけわしくて道には人の足跡も絶えているようだし、石柱の林の上に「仁徳の気」が高く浮かんでいて降りてきてはくれないのだ。
どうにかして一万丈もある梯子を手に入れたいものだ、そうすれば君子のためにあの頂上の上に昇ってみることができるだろう。
(訳注) #1
鳳凰台 同谷:甘粛省成県の東南にある鳳凰山。地図参照。
現・甘粛省東南端の成県。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)52―53ページ「唐 山南東道山南西道」にある。
亭亭鳳凰台,北對西康州。
樹木などが高く生えて山がそびえたっているのが鳳風台である、その山の北には昔西康州といわれた地域に向かいあっているのである。
・亭亭 1 樹木などが高くまっすぐにそびえているさま。2 遠くはるかなさま。
・西康州 唐の高祖の武徳の初めに同谷に置かれたが、太宗の貞観中に廃せられた。ここではわざと古名を用いて同谷を呼ぶ。
西伯今寂寞,凰聲亦悠悠。
周の文王のような聖人は今は現れず寂しい限りである、鳳凰の台といわれても鳳凰の声もまた絶えて聞くことがないのだろう。
・西伯 周の文王姫昌をいう。文王(ぶんのう、未詳 - 紀元前1152年-紀元前1056年 寿命 97才)のことで、中国の周朝の始祖であり、西の統括をする西伯に任じられたことでこう呼ぶ。儒家からは武王と並んで聖王として崇められ、為政者の手本となった。
・鳳声 ほうおうの声。ほうおうは想像上の瑞鳥で、周の文王のとき、岐山に飛んで来て鳴いたといわれる(『国語』周語上、『詩経』大雅・巻阿)。ほうおうは聖人の出現の前兆とされる。
・悠悠 はるかなさま、さびしいさまの両義があるが、ここでは聴こえてもはるかさきであり、聞こえないことがさびしいと、その両義を含む。
山峻路絕蹤,石林氣高浮。
この山はけわしくて道には人の足跡も絶えているようだし、石柱の林の上に「仁徳の気」が高く浮かんでいて降りてきてはくれないのだ。
安得萬丈梯,為君上上頭?
どうにかして一万丈もある梯子を手に入れたいものだ、そうすれば君子のためにあの頂上の上に昇ってみることができるだろう。
○為君 君は君子であり、杜甫を迎えてくれた土地の人を指す。○上頭 いただき。唐のころの口語であり、現在も使われている。