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”成都紀行(7)” 龍門閣 杜甫詩1000 <346>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1663 杜甫1500- 515


詩 題:”成都紀行(7)” 龍門閣
作時759年12月
掲 載; 杜甫1000の346首目-#1
杜甫ブログ1500-515回目

華州から秦州へ、秦州に居る時、同谷を旅立つまではほとんどが律詩で、題材は身近なことをのべている。これは隠遁する場所を見つけるための支援、応援、情報収集のために作ったものである。したがって今度の成都紀行では詩の趣きが全く異なるものとなっている。(だから、杜甫の詩集本では割愛されることが多い。漢文委員会はすべて紹介掲載する。)


龍門閣#1
清江下龍門,絕壁無尺土。
嘉陵江の清流に左の龍門の谷から下落して流入している、岸の絶壁にはわずかの土もない岩だらけである。
長風駕高浪,浩浩自太古。
嘉陵江には遠く吹く風が高浪をお越し、波に乗って吹き抜ける、この大いなる光景は大むかしからつづいていることだろう。
危途中縈盤,仰望垂線縷。
あぶなそうでこわい途が中腹の方までうねうねしているが、そこまで行ってから上を仰いでみると上に向かう途は糸筋が垂れたように急な道がつづいている。
滑石欹誰鑿,浮梁裊相拄。

そして進むと、滑りやすそうな岩石が傾斜しているがそれには誰かが穴をあけてくれている、そのさきの浮桟橋は水に浮かせて並べた柱は互いに支えてはいるもののフワフワしている。
#2
目眩隕雜花,頭風吹過雨。百年不敢料,一墜那複取!
飽聞經瞿塘,足見度大庾。終身歷艱險,恐懼從此數!

#1
清江【せいこう】龍門【りゅうもん】を下る、絶壁【ぜっぺき】尺土【せきど】無し。
長風【ちょうふう】高浪【こうろう】に駕【が】し、浩浩【こうこう】 太古【たいこ】自【よ】りす。
危途【きと】中ごろ縈盤【えいばん】す、仰ぎ望めば綫縷【せんる】垂【た】る。
滑石【かっせき】欹【かたむ】いて誰か鑿【うが】てる、浮梁【ふりょう】裊【じょう】として相い拄【ささ】う。

#2
目は眩【くら】みて雑花【ざつか】隕【お】ち、頭【かしら】は風ふきて過雨【かう】を吹く。
百年敢【あえ】て料(はか)らず、一墜那【なん】ぞ取ることを得ん。
飽くまで聞く瞿塘【くとう】を経【ふ】るを、見るに足る   大庾【たいゆ】を度【わた】るを。
終身艱難【かんなん】を歴【へ】ん、恐懼【きょうく】此れ従【よ】り数えん。


『竜門閣』 現代語訳と訳註
(本文)
#1
清江下龍門,絕壁無尺土。長風駕高浪,浩浩自太古。
危途中縈盤,仰望垂線縷。滑石欹誰鑿,浮梁裊相拄。


(下し文) #1
清江【せいこう】龍門【りゅうもん】を下る、絶壁【ぜっぺき】尺土【せきど】無し。
長風【ちょうふう】高浪【こうろう】に駕【が】し、浩浩【こうこう】 太古【たいこ】自【よ】りす。
危途【きと】中ごろ縈盤【えいばん】す、仰ぎ望めば綫縷【せんる】垂【た】る。
滑石【かっせき】欹【かたむ】いて誰か鑿【うが】てる、浮梁【ふりょう】裊【じょう】として相い拄【ささ】う。


(現代語訳) #1
嘉陵江の清流に左の龍門の谷から下落して流入している、岸の絶壁にはわずかの土もない岩だらけである。
嘉陵江には遠く吹く風が高浪をお越し、波に乗って吹き抜ける、この大いなる光景は大むかしからつづいていることだろう。
あぶなそうでこわい途が中腹の方までうねうねしているが、そこまで行ってから上を仰いでみると上に向かう途は糸筋が垂れたように急な道がつづいている。
そして進むと、滑りやすそうな岩石が傾斜しているがそれには誰かが穴をあけてくれている、そのさきの浮桟橋は水に浮かせて並べた柱は互いに支えてはいるもののフワフワしている。


(訳注) #1
龍門閣
○竜門閣
 山南西道利州保寧府錦谷県(四川省現広元県)の嘉陵江のほとりにある。地図参照。この桟道は江水の岸壁の大きな谷流入部分(龍門)に架けて渡したものであることが詩によってうかがわれる。


清江下龍門,絕壁無尺土。
嘉陵江の清流に左の龍門の谷から下落して流入している、岸の絶壁にはわずかの土もない岩だらけである。
○清江 嘉陵江。黄河の上流渭水の最上流部分と分水嶺により長江の最上流部西漢水、嘉陵江は地質的には河川に土砂の流入がないU字河川で、流れは速くないきれいな流水の川であろう。


長風駕高浪,浩浩自太古。
嘉陵江には遠く吹く風が高浪をお越し、波に乗って吹き抜ける、この大いなる光景は大むかしからつづいていることだろう。
○駕 下流から吹き上げてくる風がなみをおこしている。杜甫からみれば風が波に乗るという表現になる。
○浩浩 大きなさま。本流は川幅が広々として、直流してはるか先まで見通せる景色ということ。
○太古 秦の始皇帝もこの川を下って蜀、巴を制覇したということであろう。


危途中縈盤,仰望垂線縷。
あぶなそうでこわい途が中腹の方までうねうねしているが、そこまで行ってから上を仰いでみると上に向かう途は糸筋が垂れたように急な道がつづいている。
○中 川崖の中腹の所をいう。
○縈盤 めぐりわだかまる。うねうねしている山道。
○耗績 いとすじ。


滑石欹誰鑿,浮梁裊相拄。
そして進むと、滑りやすそうな岩石が傾斜しているがそれには誰かが穴をあけてくれている、そのさきの浮桟橋は水に浮かせて並べた柱は互いに支えてはいるもののフワフワしている。
○浮梁 水中にうかべて立てられたはり。支流河川に架けられた浮桟橋と考えられる。
 たおやか。浮桟橋がフワフワしていることをあらわす。
浮桟橋00「浮梁裊相拄」はこの写真の奥の方に見える。