戲韋偃為雙松圖歌  七言歌行 杜甫

  同じ日の紀頌之5つのブログ 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩芙蓉池作 曹丕 魏詩<27> 文選 遊覧 詩658 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1849 
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩進学解 韓退之(韓愈)詩<114-15>Ⅱ中唐詩571 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1850 
 Ⅲ杜甫詩1000詩集戲韋偃為雙松圖歌 杜甫 成都(2部)浣花渓の草堂(2 -19-1)  <382> 1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1851 杜甫詩1000-382-562/1500 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集登峴山亭,寄晉陵張少府 孟浩然 (01/28) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩楊柳枝 之三 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-59-12-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1852 
      
 ■今週の人気記事(漢詩の5ブログ各部門)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex 


古詩十九首 (1) 漢詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67676781.html
安世房中歌十七首(1) 唐山夫人 漢詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67710265.html
為焦仲卿妻作 序 漢詩<143>古詩源 巻三 女性詩
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67729401.html
於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67759129.html
朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-#1>文選 雑詩 上  http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩 六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ー
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩 盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。


李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人
http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人 古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩
http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩
http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首
*****************************************************************

戲韋偃為雙松圖歌 杜甫 成都(2部)浣花渓の草堂(2 -19-1)  <382> 1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1851 杜甫詩1000-382-562/1500

詩 題:戲韋偃為雙松圖歌  七言歌行
杜甫 成都(2部)浣花渓の草堂(19首-1)
作時760年9月杜甫49歳 
掲 載; 杜甫1000の382首目-#2 -19-1
杜甫ブログ1500-562回目


 
戲韋偃為雙松圖歌 
韋偃が二本の松の樹を画いたのをみて戯れにその歌をつくる。

天下幾人畫古松,畢宏已老韋偃少。
いま、天下に古松をよく書くものは幾人あるだろうか、二人いるが、畢宏はもう年をとってしまったが、韋偃はまだわかくこれからだ。
絕筆長風起纖末,滿堂動色嗟神妙!』
韋偃がかきおわると松の葉ずえを抜けて大らかな風がおこり、遠くから吹いてくるようだ、これをこの座敷にいる一同は皆顔色をかえて神妙さにため息をつくのである。』
兩株慘裂苔蘚皮,屈鐵交錯廻高枝。
その松は二株あり、苔むした皮がむごたらしく裂け、高い枝が下へ曲って鉄が互いに交わって渦巻いている。
白摧朽骨龍虎死,黑人太陰雷雨垂。』

苔皮の白くさけた幹は竜虎が死んで朽ちた骨がくだかれているかのようであり、鉄のような枝のさがってまじわり黒くなっているところは極寒の積雲の暗い中で雷と大雨が垂れさがっているかのようである。』

松根胡僧憩寂寞,龐眉皓首無住著。
偏袒右肩露雙腳,葉裡松子僧前落。』
韋侯韋侯數相見;我有一匹好東絹,重之不減錦繡段。
已令拂拭光淩亂,請公放筆為直幹。』

(戯れに韋偃が双松の図の歌を為る)
天下幾人か古松を画く、畢宏【ひつこう】は己に老い韋偃は少【わか】し。
筆を絶てば長風 繊末【せんまつ】より起こる、満堂色を動かして神妙と嗟【さ】す。』
両株【りょうしゅ】惨裂【さんれつ】す苔蘚【たいせん】の皮、屈鉄【くつてつ】交錯して高枝 廻【めぐ】る。
白なることは朽骨【きゅうこつ】摧【くだ】けて竜虎死し、黒なることは太陰に入りて雷雨垂る。』

松根の胡僧は寂寞【せきばく】たるに憩い、龐眉【ほうび】皓首【こうしゅ】住著無し。
右肩を偏袒【へんだん】して双脚を露【あら】わし、葉裡【ようり】の松子【しょうこ】は僧前に落つ。』
韋侯 韋侯 数【しばし】ば相い見、我に一匹の好い東絹有り、之を重んずる錦繍段 減ぜず。
己に払拭せしめて光凌【こうりょう】乱たり、請う 公筆を放って直幹を為れよ。』

matsu00

『戲韋偃為雙松圖歌』 現代語訳と訳註
(本文)
天下幾人畫古松,畢宏已老韋偃少。
絕筆長風起纖末,滿堂動色嗟神妙!』
兩株慘裂苔蘚皮,屈鐵交錯廻高枝。
白摧朽骨龍虎死,黑人太陰雷雨垂。』


(下し文)
(戯れに韋偃が双松の図の歌を為る)
天下幾人か古松を画く、畢宏【ひつこう】は己に老い韋偃は少【わか】し。
筆を絶てば長風 繊末【せんまつ】より起こる、満堂色を動かして神妙と嗟【さ】す。』
両株【りょうしゅ】惨裂【さんれつ】す苔蘚【たいせん】の皮、屈鉄【くつてつ】交錯して高枝 廻【めぐ】る。
白なることは朽骨【きゅうこつ】摧【くだ】けて竜虎死し、黒なることは太陰に入りて雷雨垂る。』


(現代語訳)
いま、天下に古松をよく書くものは幾人あるだろうか、二人いるが、畢宏はもう年をとってしまったが、韋偃はまだわかくこれからだ。
韋偃がかきおわると松の葉ずえを抜けて大らかな風がおこり、遠くから吹いてくるようだ、これをこの座敷にいる一同は皆顔色をかえて神妙さにため息をつくのである。』
その松は二株あり、苔むした皮がむごたらしく裂け、高い枝が下へ曲って鉄が互いに交わって渦巻いている。
苔皮の白くさけた幹は竜虎が死んで朽ちた骨がくだかれているかのようであり、鉄のような枝のさがってまじわり黒くなっているところは極寒の積雲の暗い中で雷と大雨が垂れさがっているかのようである。』


(訳注)
戲韋偃為雙松圖歌
 
韋偃が二本の松の樹を画いたのをみて戯れにその歌をつくる。韋偃屈曲した松をたくみに画いたのをみてまっすぐな幹をかけというのは戯れである。
○韋偃 京兆の人にして蜀に寓居した。
杜甫『題壁上韋偃畫馬歌』
韋侯別我有所適,知我憐渠畫無敵。
戲拈禿筆掃驊騮,欻見騏驎出東壁。
と続く七言歌行がある。
○双松 並んだ二本の松樹。


天下幾人畫古松,畢宏已老韋偃少。
いま、天下に古松をよく書くものは幾人あるだろうか、二人いるが、畢宏はもう年をとってしまったが、韋偃はまだわかくこれからだ。
○畢宏 唐・河南偃師の人。742―756年天寶年間の中官の御史であった。のちに大暦二年に給事中となり、京兆少ヂ・左庶子等の官となった、古松においでは古風を変じたと称せられる。王維、畢宏とともに三絶と呼ばれた。木と石の画に長けており、松石図を門下省の壁に描き、杜甫など多くの詩人に詩で称えられた。


絕筆長風起纖末,滿堂動色嗟神妙!』
韋偃がかきおわると松の葉ずえを抜けて大らかな風がおこり、遠くから吹いてくるようだ、これをこの座敷にいる一同は皆顔色をかえて神妙さにため息をつくのである。』
○絶筆 筆をやめること、かき終る。
○長風 遠く吹くかぜ。
○絨末 松の菓ずえをいう。
○満堂 満堂の人。
○動色 色は顔色、動色は驚いて色をかえること。


兩株慘裂苔蘚皮,屈鐵交錯廻高枝。
その松は二株あり、苔むした皮がむごたらしく裂け、高い枝が下へ曲って鉄が互いに交わって渦巻いている。
○屈鉄 まがったくろがね、枝の形容。
○交錯 まじわる。
○過 回曲すること。


白摧朽骨龍虎死,黑人太陰雷雨垂。』
苔皮の白くさけた幹は竜虎が死んで朽ちた骨がくだかれているかのようであり、鉄のような枝のさがってまじわり黒くなっているところは極寒の積雲の暗い中で雷と大雨が垂れさがっているかのようである。』
○白 松樹の皮の色。
○黒 回曲した枝の色。
○太陰 積陰に同じ、極北の地を太陰という。極寒の積雲の暗い中。大雨が北の方から迫ってくることを云う。