出郭 杜甫 成都(3部)浣花渓の草堂(3 -9) 

 同じ日の紀頌之5つの漢文ブログ
Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集
古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、曹植の詩
贈王粲  曹植(曹子建) 魏詩<37-#2>文選 贈答二 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1913
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Ⅱ.中唐詩・晩唐詩
 
唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
原道  韓愈 (韓退之) 8段目-3<#15>Ⅱ中唐詩587 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1914
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Ⅲ.杜甫詩1000詩集
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 
●理想の地を求めて旅をする。"
出郭 杜甫 成都(3部)浣花渓の草堂(3 -9)  杜甫 <397> 五言律詩 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1915 杜甫詩1000-397-578/1500
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Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集
下贛石 孟浩然  kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞ブログ 1921 (02/13) http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-629.html

Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩
 
森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”といわれているがこれに疑問を持ち異なる視点で解釈して行く
賣殘牡丹 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-75--# 卷804_7 【賣殘牡丹】魚玄機  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1916
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李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 

出郭 杜甫 成都(3部)浣花渓の草堂(3 -9)  杜甫 <397> 五言律詩 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1915 杜甫詩1000-397-578/1500


詩 題:出郭 杜甫 成都(3部)浣花渓の草堂(3 -9) 
作時760年10月杜甫49歳 
掲 載; 杜甫1000首の397首目-#3 -9
杜甫ブログ1500回予定の-578回目


五言律詩  出郭
成都の城中より郭をでてゆうべに草堂の方へかえったことをのべる。あれほど平穏に暮らせていたものがこの2,3年で変わり果ててしまった。全土で両軍の殺戮が繰り返されており、逃げて、逃げて一番平穏だった成都に来てもこのありさま、どうしたら命を守れるのか。

霜露晚淒淒,高天逐望低。
夕方になると夜露や霜の季節になっていて、静かで冷え冷えとしてくる。昼間あれほど空が澄み渡り高かった空も夕闇が迫ってきて、眺めるたびに天空が暗く垂れさがってくるのだ。
遠煙臨井上,斜景雪峰西。
遠く彼方に昇る煙は、成都特産の塩工場の上にあがるものだ。その向こうに雪峰がつづきの入り日の後のわずかなひかりが斜めに空に残し映している。
故國猶兵馬,他鄉亦鼓鼙。
故国のある東の方角は未だに安史軍により兵馬が治まらず、他郷たるこの地にもまた叛乱か、吐蕃の不穏な動きで剣南節度使軍の戦いの大太鼓、小つづみの音がずっと止まないままだ。
江城今夜客,還與舊烏啼。

今夜この江城からでたわたしは旅人となるのだろう。そして戰がおさまらない今、前からの烏とともに啼く詩をつくるより外になのだ。
(郭を出づ)
霜露 晚に淒淒たり、高天 望みて逐えば低るる。
遠煙は塩井の上にあり、斜景は雪峰の西にある。
故国 猶お兵馬し、他郷 亦た鼓鼙す。
江城 今夜の客、還 旧烏と啼く。

 
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『出郭』 現代語訳と訳註
(本文)
霜露晚淒淒,高天逐望低。
遠煙臨井上,斜景雪峰西。
故國猶兵馬,他鄉亦鼓鼙。
江城今夜客,還與舊烏啼。


(下し文)
(郭を出づ)
霜露 晚に淒淒たり、高天 望みて逐えば低るる。
遠煙は塩井の上にあり、斜景は雪峰の西にある。
故国 猶お兵馬し、他郷 亦た鼓鼙す。
江城 今夜の客、還 旧烏と啼く。


(現代語訳)
夕方になると夜露や霜の季節になっていて、静かで冷え冷えとしてくる。昼間あれほど空が澄み渡り高かった空も夕闇が迫ってきて、眺めるたびに天空が暗く垂れさがってくるのだ。
遠く彼方に昇る煙は、成都特産の塩工場の上にあがるものだ。その向こうに雪峰がつづきの入り日の後のわずかなひかりが斜めに空に残し映している。
故国のある東の方角は未だに安史軍により兵馬が治まらず、他郷たるこの地にもまた叛乱か、吐蕃の不穏な動きで剣南節度使軍の戦いの大太鼓、小つづみの音がずっと止まないままだ。
今夜この江城からでたわたしは旅人となるのだろう。そして戰がおさまらない今、前からの烏とともに啼く詩をつくるより外になのだ。


(訳注)
五言律詩  出郭
夕方になって、成都の城郭をでて草堂の方へかえるときに作る。杜甫に長安から家族を連れて鄜州羌村へ逃げる際の恐怖のトラウマが・・・・。
この10カ月あれほど平穏に暮らせていた。ここもだめなのか。この2,3年で変わり果ててしまった。全土で両軍の殺戮が繰り返されており、逃げて、逃げて一番平穏だった成都に来てもこのありさま、どうしたら命を守れるのか。不安がよぎるのである。


霜露晚淒淒,高天逐望低。
夕方になると夜露や霜の季節になっていて、静かで冷え冷えとしてくる。昼間あれほど空が澄み渡り高かった空も夕闇が迫ってきて、眺めるたびに天空が暗く垂れさがってくるのだ。
・淒淒 つめたい。・凄淒 (1) 寒い,冷え冷えする.(2) もの寂しい,うらさびれた.悲しい,胸ふさがる. 悲しみ、悼むさま。身にしみて感ずること。
白頭吟 卓文君
淒淒復淒淒,嫁娶不須啼。
願得一心人,白頭不相離。
竹竿何嫋嫋,魚尾何簁簁。
男兒重意氣,何用錢刀爲。
白頭吟 卓文君 <109-#2>玉台新詠集 女性詩 544 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1449

謝霊運 道路憶山中
采菱調易急,江南歌不緩。
楚人心昔絕,越客腸今斷。
斷絕雖殊念,俱為歸慮款。
存鄉爾思積,憶山我憤懣。
追尋棲息時,偃臥任縱誕。
得性非外求,自已為誰纂?
不怨秋夕長,常苦夏日短。
濯流激浮湍,息陰倚密竿。
懷故叵新歡,含悲忘春暖。
淒淒明月吹,惻惻廣陵散。
殷勤訴危柱,慷慨命促管!
道路憶山中 謝霊運(康楽) 詩<52#1>Ⅱ李白に影響を与えた詩449 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1164


・逐望低 「秋の日はつるべ落とし」ということ。ながめて、次に見ると少し色が濃くなることをこういう表現にしたのだ。
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遠煙臨井上,斜景雪峰西。
遠く彼方に昇る煙は、成都特産の塩工場の上にあがるものだ。その向こうに雪峰がつづきの入り日の後のわずかなひかりが斜めに空に残し映している。
・遠煙 遠方の煙、煙は塩工場のくけむり。成都は塩の産地。
・斜景 ななめにさす日光を云うが、ここでは日が沈んだ後の五光状態を云う。。
・雪峰 雪山をいう。色のコントラストを強調するもの。
・西 奉公を示すのは間違いないが、没落、凋落を意味する。入り日の後の空のわずかな明るさを云う。漢詩、古詩でよくみられる。


故國猶兵馬,他鄉亦鼓鼙。
故国のある東の方角は未だに安史軍により兵馬が治まらず、他郷たるこの地にもまた叛乱か、吐蕃の不穏な動きで剣南節度使軍の戦いの大太鼓、小つづみの音がずっと止まないままだ。
○故国 洛陽の近郊偃師、近くに宗之問の別荘がある。杜甫の家は陸渾荘。義母や異母兄弟は山東にいる。


江城今夜客,還與舊烏啼。
今夜この江城からでたわたしは旅人となるのだろう。そして戰がおさまらない今、前からの烏とともに啼く詩をつくるより外になのだ。
○江城 成都、錦江にそっている城。
○客 自己をさす。
○與舊烏啼 まえまえからの烏とともになくの意、杜甫が先行きに不安を持った時の表現である。これまでも旅に出ようとするときにこのような表現をしている。以下にあげる詩は、杜甫がその地から旅立とうと心に決めていることを示すものである。

1.758年春、杜甫は左拾遺で朝廷に務めていた時、役目から疎外されていた時に作った作品。
孤雁
孤雁不飲啄、飛鳴声念羣。
誰憐一片影、相失万重雲。
望尽似猶見、哀多如更聞。
野鵶無意緒、鳴噪自粉粉。
孤雁【こがん】は啄【ついば】みて飲【いん】せず、飛鳴【ひめい】するは 群を念【おも】う声なり。
誰か一片の影に憐れむや、相いに万重【ばんちょう】の雲に失する。
望み尽す 猶【な】お見るに似たりを、哀しみ多し 更に聞くが如し。
野鵶【やあ】  意緒【いしょ】無く、鳴噪【めいそう】  自【おのずか】ら粉粉【ふんぷん】たり。
孤雁(孤雁不飲啄) 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 283



2.『歸燕』秦州で同谷に旅する直前。759年秋。
不獨避霜雪,其如儔侶稀。四時無失序,八月自知歸。
春色豈相訪?眾雛還識機。故巢倘為毀,會傍主人飛。
獨ならずは霜雪を避けるなり,其れ儔侶【ちゅうりょ】稀れなるが如し。
四時【しじ】序を失うこと無し,八月 自ら歸えるを知る。
春色して豈に相訪んや?眾雛して還た機を識る。
故巢 倘【もし】毀【き】と為さば,會いて傍に主人飛ぶ。
歸燕 杜甫 <294> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1349 杜甫詩 700- 414


.歸雁 四首
(3) 大歴3年春 768年 57歳
東來千里客,亂定幾年歸。
腸斷江城雁,高高正北飛。
(4)
聞道今春雁,南歸自廣州。
見花辭漲海,避雪到羅浮。
是物關兵氣,何時免客愁。
年年霜露隔,不過五湖秋。
(5)大暦5年春 770年 59歳
萬里衡陽雁,今年又北歸。
雙雙瞻客上,一一背人飛。
雲裡相呼疾,沙邊自宿稀。
繫書元浪語,愁寂故山薇。
(6)
欲雪違胡地,先花別楚雲。
卻過清渭影,高起洞庭群。
塞北春陰暮,江南日色薰。
傷弓流落羽,行斷不堪聞。



7.
鄜州へ赴く途中で、日ぐれにあるきながら口ずさんだ詩。
晚行口號
三川不可到,歸路晚山稠。
落雁浮寒水,饑鳥集戍樓。
市朝今日異,喪亂幾時休?
遠愧梁江總,還家尚黑頭。

晚行口號  杜甫 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 199


8.
宣政殿退朝晚出左掖(掖門在兩旁如人之臂掖) 杜甫
天門日射黄金榜,春殿晴曛赤羽旗。
宮草微微承委佩,鑪煙細細駐游絲。
雲近蓬萊常好色,雪殘鳷鵲亦多時。
侍臣緩步歸青瑣,退食從容出每遲。
宣政殿退朝晚出左掖 杜甫kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 237


9.
紫宸殿退朝口號
戶外昭容紫袖垂,雙瞻御座引朝儀。
香飄合殿春風轉,花覆千宮淑景移。
晝漏稀聞高閣報,天顏有喜近臣知。
宮中每出歸東省,會送夔龍集鳳池。
紫宸殿退朝口號 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 238

10. 晚出左掖
晝刻傳呼淺,春旗簇仗齊。
退朝花底散,歸院柳邊迷。
樓雪融城濕,宮雲去殿低。
避人焚諫草,騎馬欲雞棲。
晚出左掖 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 240

春宿左省 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 238


11.成都(3)の詩からは杜甫の心に変化が生じているのでわけたのだ。抒情詩でも成都(1)と成都〈2〉の詩とは全く違ってきているのである。そうした目線で読まれると味わい深い。
泛溪
落景下高堂,進舟泛回溪。
誰謂築居小,未盡喬木西。
遠郊信荒僻,秋色有餘淒。
練練峰上雪,纖纖雲表霓。
#2
童戲左右岸,罟弋畢提擕。
翻倒荷芰亂,指揮徑路迷。
得魚已割鱗,采藕不洗泥。
人情逐鮮美,物賤事已睽。
#3
吾村靄暝姿,異舍雞亦棲。
蕭條欲何適,出處無可齊。
衣上見新月,霜中登故畦。
濁醪自初熟,東城多鼓鼙。