暮登四安寺鐘樓寄裴十迪
2013年3月10日 | 同じ日の紀頌之5つのブログ |
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暮登四安寺鐘樓寄裴十迪 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4- 15) 杜甫 <420> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2045 杜甫詩1000-420-603/1500
詩 題:暮登四安寺鐘樓寄裴十迪 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4 - 15)
作時761年3月杜甫50歳
掲 載; 杜甫1000首の420首目-場面4 – 15
杜甫ブログ1500回予定の-603回目
暮登四安寺鐘樓寄裴十迪
暮倚高樓對雪峰,僧來不語自鳴鐘。
夕暮れになって高楼に上って寄りかかって、遠く西嶺に対すると雪を残した連峰がのぞまれる。寺の僧侶が来て自分で鐘楼で鐘を鳴らせているが一切言葉は話さない。
孤城返照紅將斂,近市浮煙翠且重。
ポツンとしたところに城塞が、西日に照らされて映えている蜀州の紅将軍の軍隊は外での訓練を終えて塞に聚斂している。寺の近くの市場には夕霞がかかってきて緑色が次第に暗くなってくる。
多病獨愁常闃寂,故人相見未從容。
自分の持病がかさなってそのことで一人愁いてさびしい限りである。友人と共に未だにゆったりとできないままでいる。
知君苦思緣詩瘦,太向交遊萬事慵。
君は知っているだろう「苦しい思い」というものは詩を作るということによって痩身になることが心配だし、肝を太くしてこうした交わりあそぼうとは思うのであるが、万事億劫なのが問題なのだ。
暮れ四安寺の鐘樓に登り裴十迪に寄す
暮れ高樓に倚り雪峰に對す,僧來るも自ら鐘鳴るを語らず。
孤城 返照 紅將の斂なり,近市 浮煙 翠且つ重なり。
多病 獨愁 常に闃寂【げきじゃく】たり,故人 相見 未だ從容ならざらん。
君知るや苦思 詩瘦に緣るも,太向して交遊 萬事 慵【しょう】ならん。
『暮登四安寺鐘樓寄裴十迪』 現代語訳と訳註
(本文)
暮倚高樓對雪峰,僧來不語自鳴鐘。
孤城返照紅將斂,近市浮煙翠且重。
多病獨愁常闃寂,故人相見未從容。
知君苦思緣詩瘦,太向交遊萬事慵。
(下し文)
暮れ四安寺の鐘樓に登り裴十迪に寄す
暮れ高樓に倚り雪峰に對す,僧來るも自ら鐘鳴るを語らず。
孤城 返照 紅將の斂なり,近市 浮煙 翠且つ重なり。
多病 獨愁 常に闃寂【げきじゃく】たり,故人 相見 未だ從容ならざらん。
君知るや苦思 詩瘦に緣るも,太向して交遊 萬事 慵【しょう】ならん。
(現代語訳)
夕暮れになって高楼に上って寄りかかって、遠く西嶺に対すると雪を残した連峰がのぞまれる。寺の僧侶が来て自分で鐘楼で鐘を鳴らせているが一切言葉は話さない。
ポツンとしたところに城塞が、西日に照らされて映えている蜀州の紅将軍の軍隊は外での訓練を終えて塞に聚斂している。寺の近くの市場には夕霞がかかってきて緑色が次第に暗くなってくる。
自分の持病がかさなってそのことで一人愁いてさびしい限りである。友人と共に未だにゆったりとできないままでいる。
君は知っているだろう「苦しい思い」というものは詩を作るということによって痩身になることが心配だし、肝を太くしてこうした交わりあそぼうとは思うのであるが、万事億劫なのが問題なのだ。
(訳注)
暮登四安寺鐘樓寄裴十迪
夕暮れになって四安寺の鐘樓に登って十番目の友である裴迪君に寄せる詩である。
・この詩は“杜甫『題新津北橋樓得郊字』成都(4部)浣花渓の草堂(4- 14)杜甫<419>”で宴席に同席した友人の裴迪と夕暮れのひと時を愉しんだものである。
・裴迪 詩人であり、王維の親友である。王維の弟王潜の所に来ていた。王維と数年かけて輞川集をつくる。
和裴迪登新津寺寄王侍郎 杜甫 成都(2部)浣花渓の草堂(3 -6) 杜甫 <388> 五言律詩 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1879 杜甫詩1000-388-569/1500
暮倚高樓對雪峰,僧來不語自鳴鐘。
夕暮れになって高楼に上って寄りかかって、遠く西嶺に対すると雪を残した連峰がのぞまれる。寺の僧侶が来て自分で鐘楼で鐘を鳴らせているが一切言葉は話さない。
・高樓 四安寺の鐘樓
・雪峰 蜀盆地を取り囲むまだ雪を残した連山、西嶺(西山)を望んだのである。
泛溪 杜甫 成都(3部)浣花渓の草堂(3 -8-#1) 杜甫 <394-#1> 五言古詩 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1903 杜甫詩1000-394-575/1500
出郭 杜甫 成都(3部)浣花渓の草堂(3 -9) 杜甫 <397> 五言律詩 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1915 杜甫詩1000-397-578/1500
『出郭』
霜露晚淒淒,高天逐望低。
遠煙臨井上,斜景雪峰西。
故國猶兵馬,他鄉亦鼓鼙。
江城今夜客,還與舊烏啼。
孤城返照紅將斂,近市浮煙翠且重。
ポツンとしたところに城塞が、西日に照らされて映えている蜀州の紅将軍の軍隊は外での訓練を終えて塞に聚斂している。寺の近くの市場には夕霞がかかってきて緑色が次第に暗くなってくる。
多病獨愁常闃寂,故人相見未從容。
自分の持病がかさなってそのことで一人愁いてさびしい限りである。友人と共に未だにゆったりとできないままでいる。
・闃寂 ひっそりと静まり、さびしい さま。。
・従容 ゆったり。『宣政殿退朝晚出左掖』「侍臣緩步歸青瑣,退食從容出每遲。」
知君苦思緣詩瘦,太向交遊萬事慵。
君は知っているだろう「苦しい思い」というものは詩を作るということによって痩身になることが心配だし、肝を太くしてこうした交わりあそぼうとは思うのであるが、万事億劫なのが問題なのだ。
・慵 おっくうである。