惡樹 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4 - 31)
隠棲生活の中で知らぬ間に悪い習慣や、おおざっぱになっていく自分を誡める意味でこの詩を書いたようだ。

2013年3月26日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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Ⅱ中唐詩・晩唐詩原毀 韓愈(韓退之) <119-#11>Ⅱ中唐詩628 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2124
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李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 

惡樹 杜甫 <436>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2125 杜甫詩1000-436-619/1500

  
詩 題:惡樹 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4 - 31) 
作時761年3月杜甫50歳 
掲 載; 杜甫1000首の436首目-場面4 – 31
杜甫ブログ1500回予定の-619回目   40729
1020惡樹



惡樹
(悪くなった習慣)
獨繞虛齋裡,常持小斧柯。
訪れる客もなくひとり空しく書斎の中を行ったり来たり回っている。常に持っているのは荘子のまえで斧をうまく使った郢斧のように詩文を作り、あるいは直したりしている。
幽陰成頗雜,惡木翦還多。
隠棲して静かにしていると何事にも大雑把になって來るし、欠点やズボラで困ったことが多くなって、悪い枝が育ってきたようなので剪定をしなければいけないようだ。
枸杞因吾有,雞棲奈汝何?
川辺近くのクコは私にとっていい薬となってやくだっているし、庭でにわとりを飼っているがこれをどうしようか、鶏、お前はどうされたいのか。
方知不材者,生長漫婆娑。

詩人杜甫5x5こうしてみるとこの私はよくよく才能にかけているということなのだろう。まあ、長生きをして段々年を取って自然にしおれていく人生もよいのではないだろうか。
(惡樹)
獨り虛【むな】しく齋裡【さいり】を繞り,常に小さき斧柯【ふか】を持つ。
幽陰【ゆういん】頗雜【はざつ】を成し,惡木【あき】還た多きを翦【せん】す。
枸杞【くこ】因に吾に有し,雞棲【けいせい】奈【いかに】に汝に何【いかん】んせん?
方に材者にあらざるを知り,長に生きて漫【そぞろ】に婆娑【ばさ】とす。


『惡樹』 現代語訳と訳註
(本文)
獨繞虛齋裡,常持小斧柯。
幽陰成頗雜,惡木翦還多。
枸杞因吾有,雞棲奈汝何?
方知不材者,生長漫婆娑。


(下し文) 惡樹
獨り虛【むな】しく齋裡【】を繞り,常に小さき斧柯【ふか】を持つ。
幽陰【ゆういん】頗雜【はざつ】を成し,惡木【あき】還た多きを翦【せん】す。
枸杞【くこ】因に吾に有し,雞棲【けいせい】奈【いかに】に汝に何【いかん】んせん?
方に材者にあらざるを知り,長に生きて漫【そぞろ】に婆娑【ばさ】とす。


(現代語訳)
(悪くなった習慣)
訪れる客もなくひとり空しく書斎の中を行ったり来たり回っている。常に持っているのは荘子のまでで斧をうまく使った郢斧のように詩文を作り、あるいは直したりしている。
隠棲して静かにしていると何事にも大雑把になって來るし、欠点や図牡ボラで困ったことが多くなって、悪い枝が育ってきたようで剪定をしなければいけないようだ。
クコは私にとっていい薬となってやくだっているし、にわとりをかっているがこれをどうしようか、鶏、お前はどうされたいのか。
こうしてみるとこの私はよくよく才能にかけているということなのだろう。まあ、長生きをして段々年を取って自然にしおれていく人生もよいのではないだろうか。

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(訳注)
惡樹

(悪くなった習慣)
隠棲生活の中で知らぬ間に悪い習慣や、おおざっぱになっていく自分を誡める意味でこの詩を書いたようだ。樹は木が成長したもの。詩の中で「悪木」が詩題で「惡樹」絵おなっているのも、悪い習慣はちょっと気を抜き、自分に妥協すると大樹になってしまうという戒めを示すものである。別の解釈に、家の周りに雑木が多くてこれを斧を以て毎日切って歩いているというものがある。「雑木」に感情をあらわにしているといい、杜甫の感情の起伏を指摘するものがあるが、この詩を表面的にとらえていること、杜甫の詩を熟読していない解釈であるとしか言いようがない。これは杜甫学者の中で形而上的なとらえ方をするものには「嘆く」「貧困」「飢餓」などの解釈にもよくあらわれてくる


獨繞虛齋裡,常持小斧柯。
訪れる客もなくひとり空しく書斎の中を行ったり来たり回っている。常に持っているのは荘子のまえで斧をうまく使った郢斧のように詩文を作り、あるいは直したりしている。
・齋裡 今であり書斎の部屋内。
・斧柯 《「荘子」徐無鬼の、郢の人が鼻の先に土を薄く塗り、匠石という大工に斧(おの)で削り取らせたところ、鼻を少しも傷つけなかったという故事から》詩文の添削を人に請うときに用いる語。郢斧(えいふ)。「柯」は斧の柄にする木のことで、曲がった枝。


幽陰成頗雜,惡木翦還多。
隠棲して静かにしていると何事にも大雑把になって來るし、欠点やズボラで困ったことが多くなって、悪い枝が育ってきたようなので剪定をしなければいけないようだ。
・幽陰 隠棲して静かにしていること。
・成 自然にそうなっていった。
・頗雜 何事にも大雑把になる。頗はおおがい。ほほ。すこぶる。
・惡木 欠点のある木。弊害の木。悪い枝
・翦 剪定する。間引きする。


枸杞因吾有,雞棲奈汝何?
川辺近くのクコは私にとっていい薬となってやくだっているし、庭でにわとりを飼っているがこれをどうしようか、鶏、お前はどうされたいのか。
枸杞 中国原産のナス科の落葉低木。食用や薬用に利用される。クコの果実、根皮、葉は、それぞれ枸杞子(くこし)、地骨皮(じこっぴ)、枸杞葉(くこよう)という生薬である。海岸、河原、田畑の畦、空き地の周囲など、人の手が加わりやすく、高木が生えきれない環境によく生える。ある程度湿り気のある水辺の砂地を好む。果実は酒に漬けこんでクコ酒にする他、生食やドライフルーツでも利用される。薬膳として粥の具にもされる。また、柔らかい若葉も食用にされる。


方知不材者,生長漫婆娑。
こうしてみるとこの私はよくよく才能にかけているということなのだろう。まあ、長生きをして段々年を取って自然にしおれていく人生もよいのではないだろうか。
・婆娑 ころものひるがえるさま。あるきまわるさま。しおれて垂れ下がるさま。乱れ散るさま。琴の調子が変化に富む。ここでは年を取って次第にしおれてゆくというほどの意味。