絶句漫興九首其七 杜甫 成都(5部)浣花渓の草堂(4 - 46) 


2013年4月9日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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絶句漫興九首 其七 成都浣花渓 杜甫 <451>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2200 杜甫詩1000-451-634/1500



詩 題:絶句漫興九首其七 杜甫 成都(5部)浣花渓の草堂(4 - 46) 
作時761年3・4・5月頃杜甫50歳 
掲 載; 杜甫1000首の451首目-場面4 – 46
杜甫ブログ1500回予定の-634回目  


4-40.
絶句漫興 九首 其一
眼見客愁愁不醒,無賴春色到江亭。
旅客になってその愁いを目を凝らしてみるようになったがその愁いは未だに目覚め、晴れてはくれない。官を辞して仕事に就くことのない生活であるがこの春景色の中でここ浣花渓に面したところに四阿を作るまでになったのである。
即遣花開深造次,便教鶯語太丁寧。
即ち、花が咲き誇るのを奥深い所まで僅かの時をずらして咲くようにしたことであり、即ち、鶯が春を告げてくれるのが花の咲くのに合わせて丁寧に教えてくれるようになっている。

4-41 絶句漫興 九首 其二
手種桃李非無主,野老牆低還是家。
濯錦江の私の農園を「浣花」の花園にする計画で自分が手ずから種えた桃や李は他の主がないところで花を咲かせているものとは同じであるわけはない。一昨年この地にきて隠棲しているこの老人の家の墻はたしかに低いにはひくいがそれでも隠棲している家としてはこんなものだ。
恰似春風相欺得,夜來吹折數枝花。
それにしてもこの隠棲して気に入っている農園を、まるで春風に侮辱されたようなものである、それというのも、ゆうぺからの突風で二三本花の枝が吹き折られてしまったのである。

4-42 絶句漫興 九首 其三
熟知茅齋絕低小,江上燕子故來頻。
もうよく知っているはずであるのだが我家の茅で葺いた家に極端に低くて小さい所に、濯錦江の上に飛んでいるつばめが頻繁にやってくる。
銜泥點汙琴書內,更接飛蟲打著人。
泥を口に銜え巣作りをして懸命にするのはいいのだが、わたしの琴や書籍と部屋内にそれを落して汚していくのだ。そしてさらによくあることは、飛んで行って虫を取るのだけれど家の中から出てきた人にぶっつかってしまうこともあるのだ。

4-43 絶句漫興 九首 其四
二月已破三月來,漸老逢春能幾回。
二月も終わってしまって三月がやって来た。ようやく春をここで迎えたがいくつか廻ってきた分だけ老いたのだ。(でも、いい春をむかえたなあ。)
莫思身外無窮事,且盡生前有限杯。

確かに、故郷を離れ、官から離れているけれど仕事を責任を持ち突き詰めてやることはないのである。そしてこの生涯、どんなに頑張っても酒を呑めることには限りがあるというものだ。
(だから心行くまで呑み続けたいものだ。)


4 – 44絶句漫興 九首 其五 
腸斷春江欲盡頭,杖藜徐步立芳洲。
春についての思いの高まりが消失していく濯錦江に春景色が終わろうとしている。仙人が持つ藜の杖をついておもむろにあるき、そして花が咲き誇り香が漂う中洲に立つのである。
顛狂柳絮隨風去,輕薄桃花逐水流。

柳絮が吹雪のように飛び交いまるで狂うほど乱舞し、強いか座が吹いて遠く飛ばされている。桃の花がさいてはいるが値打ちが低くなっている落ちた花弁は水の流れに消えていくのである。

6 4 – 45絶句漫興 九首 其六
懶慢無堪不出村,呼兒自在掩柴門。
自分は懶惰、怠慢で、そのうえものごとに堪えることの無いものであるから村からそとへはでないのだ、きままに家ですごし、こどもを呼んでは柴門をとざさせている。
蒼苔濁酒林中靜,碧水春風野外昏。
庭から続く蒼苔は林の中まで敷つめていて静かであるから濁酒はすすむ。碧水をたたえた濯錦江を春風が吹きわたり、遠い野はらは何の変りもなく暮れていく。

74 – 46
絕句漫興 九首 其七
糝徑楊花鋪白氈,點溪荷葉疊青錢。
柳絮や楊花が路に落ちて雑炊の厚ての白い絨毯を敷き詰めたように見える小道をすすむ。濯錦江に灌ぐ点在した渓水には蓮の葉が靑銅銭を重ねているようだ。
筍根雉子無人見,沙上鳧雛傍母眠。

静かな竹林に進むと若竹の根元に人には見えない小さ な竹の子がきっと人知れずひそんでいる。濯錦江の中洲の沙には野鴨の雛がひねもす母鴨の傍で寝ている。

糝徑【しんけい】楊花【ようか】白氈【はくせん】に鋪【し】き,點溪【てんけい】荷葉【かよう】青錢【せいせん】を疊す。
筍根【じゅんこん】雉子【ちし】人見る無く,沙上【さじょう】鳧雛【ふすう】母の傍【かたわ】らに眠る。

『絕句漫興九首』其七 現代語訳と訳註
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(本文) 絕句漫興 九首 其七
糝徑楊花鋪白氈,點溪荷葉疊青錢。
筍根雉子無人見,沙上鳧雛傍母眠。


(下し文)
糝徑【しんけい】楊花【ようか】白氈【はくせん】に鋪【し】き,點溪【てんけい】荷葉【かよう】青錢【せいせん】を疊す。
筍根【じゅんこん】雉子【ちし】人見る無く,沙上【さじょう】鳧雛【ふすう】母の傍【かたわ】らに眠る。


(現代語訳)
柳絮や楊花が路に落ちて雑炊の厚ての白い絨毯を敷き詰めたように見える小道をすすむ。濯錦江に灌ぐ点在した渓水には蓮の葉が靑銅銭を重ねているようだ。
静かな竹林に進むと若竹の根元に人には見えない小さ な竹の子がきっと人知れずひそんでいる。濯錦江の中洲の沙には野鴨の雛がひねもす母鴨の傍で寝ている。


(訳注)
絕句漫興 九首 其七

komichi03興にふれてふとつくった絶句、上元二年春浣花の草堂にあっての作。絶句は起承転結を絶対条件で、対句は絶対条件ではない。この詩はその両者が見事に詠いあげられている、この九首の中のハイライトというべき詩であろう。その詩は読み下しをして読むよりそのまま音読みした方が良くわかる。或は勉強のためにはいろんな読み方をしても面白いかもしれない。


糝徑楊花鋪白氈,點溪荷葉疊青錢。
柳絮や楊花が路に落ちて雑炊の厚ての白い絨毯を敷き詰めたように見える小道をすすむ。濯錦江に灌ぐ点在した渓水には蓮の葉が靑銅銭を重ねているようだ。
・糝徑楊花 柳絮や楊花が路に落ちて雑炊のように見える道を云う。糝:(1)米の粉をかきまぜて煮たてたあつもの。(2)雑炊。「径に糝【まじ】えて」とよむのは意味が違うことになりまちがい。読みやすい詩は間違えやすいから注意。
・鋪白氈  氈:獣毛を縮絨(しゅくじゅう)した布。「氈褥(せんじょく)/毛氈」
・點溪荷葉 蓮の葉が点在した渓水。浣花渓は錦江の予水池のような場所で湿地沼地が点在してそれが錦江につながっているところで、「渓」は渓谷ではなく、谷川ではない水路と小路なのだ。「渓に点じて」とよむもここの地形を考えると間違いで「点渓」があり、そこに荷葉があり、景色が移動する様子を讀まないといけない。杜甫の詩は王維と違って、謝靈運、孟浩然などと同様、動いた景色を詠みこんでいることに注目する。
・青錢 青銅銭のこと。蓮の葉が穴の空いた銅銭が散らばって水に浮いているように見るえ。


筍根雉子無人見,沙上鳧雛傍母眠。
静かな竹林に進むと若竹の根元に人には見えない小さ な竹の子がきっと人知れずひそんでいる。濯錦江の中洲の沙には野鴨の雛がひねもす母鴨の傍で寝ている。
・筍根 竹の子、若竹のこと。
・雉子 「若竹の根元に人には見えない小さ な竹の子(稚子)がひそんでいる」こと。
・鳧雛 岸の砂上ではカモの雛が親ガモのそばで 寝ている。