聞斛斯六官未歸 杜甫 成都(5部)浣花渓の草堂(5-(3)) 

2013年4月15日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
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聞斛斯六官未歸  成都5-(3) 杜甫 <456>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2225 杜甫詩1000-456-639/1500


詩 題:聞斛斯六官未歸
 杜甫 成都(5部)浣花渓の草堂(5-(3)) 
作時761年5月杜甫50歳 
掲 載; 杜甫1000首の456首目-場面5-(3)
杜甫ブログ1500回予定の-639回目  




聞斛斯六官未歸
故人南郡去,去索作碑錢。
隣人の斛斯さんは江陵の南郡の方にいってしまった。行ったのは、碑文作成の仕事をするためである。
本賣文為活,翻令室倒懸。
もともと「売文」を正業としていて、それが売れなくて生活が苦しくてそれで出稼ぎに行ったのだ。
荊扉深蔓草,土銼冷寒煙。
その家の粗末な門扉にはすでに草深く出入りのようすがない。それに土鍋には冷たい冷気がしておりもうかなり火をくべていないようだ。
老罷休無賴,歸來省醉眠。

彼も老い止めるためには風来坊の生活を憩いあるものにする必要があろうに、そして帰ってこられて睡眠をとられることを少しは考えられよ。

(斛斯六官未だ歸らずを聞く)
故人 南郡に去り,去るは碑を作るの錢を索めしなり。
本は活を為すに文を賣り,翻って室をして倒懸【とうけん】せ令む。
荊扉【けいひ】には蔓草【まんそう】を深くし,土銼【どなべ】寒煙して冷やかなり。
老い罷みて無賴なるを休【や】め,歸り來りて醉眠を省りみよ。


『聞斛斯六官未歸』 現代語訳と訳註
(本文)

聞斛斯六官未歸
故人南郡去,去索作碑錢。
本賣文為活,翻令室倒懸。
荊扉深蔓草,土銼冷寒煙。
老罷休無賴,歸來省醉眠。


(下し文) (斛斯六官未だ歸らずを聞く)
故人 南郡に去り,去るは碑を作るの錢を索めしなり。
本は活を為すに文を賣り,翻って室をして倒懸【とうけん】せ令む。
荊扉【けいひ】には蔓草【まんそう】を深くし,土銼【どなべ】寒煙して冷やかなり。
老い罷みて無賴なるを休【や】め,歸り來りて醉眠を省りみよ。


(現代語訳)
隣人の斛斯さんは江陵の南郡の方にいってしまった。行ったのは、碑文作成の仕事をするためである。
もともと「売文」を正業としていて、それが売れなくて生活が苦しくてそれで出稼ぎに行ったのだ。

その家の粗末な門扉にはすでに草深く出入りのようすがない。それに土鍋には冷たい冷気がしておりもうかなり火をくべていないようだ。
彼も老い止めるためには風来坊の生活を憩いあるものにする必要があろうに、そして帰ってこられて睡眠をとられることを少しは考えられよ。


(訳注)
聞斛斯六官未歸

南鄰の人であろう。浣花渓には三軒しかなく、杜甫の飲み友達である。


故人南郡去,去索作碑錢。
隣人の斛斯さんは江陵の南郡の方にいってしまった。行ったのは、碑文作成の仕事をするためである。


本賣文為活,翻令室倒懸。
もともと「売文」を正業としていて、それが売れなくて生活が苦しくてそれで出稼ぎに行ったのだ。
・倒懸 [1]逆さまにかけること。[2]手足を縛って逆さまにつるすこと。転じて、非常な苦痛のたとえ。仏教用語「倒懸の苦」からくる。


荊扉深蔓草,土銼冷寒煙。
その家の粗末な門扉にはすでに草深く出入りのようすがない。それに土鍋には冷たい冷気がしておりもうかなり火をくべていないようだ。

老罷休無賴,歸來省醉眠。
彼も老い止めるためには風来坊の生活を憩いあるものにする必要があろうに、そして帰ってこられて睡眠をとられることを少しは考えられよ。
・無賴 1 正業に就かず、無法な行いをすること。また、そのさまや、そのような人。「―な(の)輩(やから)」2 頼みにするところのないこと。風来坊。杜甫『絶句漫興 九首 其一』「眼見客愁愁不醒,無賴春色到江亭。」

絶句漫興九首 其一 成都浣花渓 杜甫 <445  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2170 杜甫詩1000-445-628/1500 





浣花渓草堂を建ててからの隣人関係の詩


江畔独歩尋花












遣意二首 其二
簷影微微落,津流脈脈斜。野船明細火,宿鷺起圓沙。
雲掩初弦月,香傳小樹花。鄰人有美酒,稚子也能賒。

遣意二首其二 杜甫 成都(4)浣花渓の草堂(4 - 5)  杜甫 <410 五言律詩 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1995 杜甫詩1000-410-593/1500


南鄰
錦裡先生烏角巾,園收芋栗未全貧。
慣看賓客兒童喜,得食階除鳥雀馴。
秋水纔深四五尺,野航恰受兩三人。
白沙翠竹江村暮,相送柴門月色新。
浣花渓の錦裡先生は鳥角巾を頭に乗せて隠者のすがたをしている。小さな農園でつくっている芋や栗がとれるからまったくの貧乏というのではない。
子どもは南隣のお客をみなれているので来客をみて喜び歓迎しているようだ、小鳥や、雀などもいつも外のきざはしあたりに近づいてきて物がたべよく人になれてきている。
秋の澄んだ江水がそこまでよく見え、四五尺の水深だ、そこへ二三人のれる野の小舟をうかべている。
白い沙浜のむこうに翠の竹林があり、江村も夕暮れが近づいてくる。客の朱山人を送ろうと柴門にむかうと秋の夕暮れは速く月明かりが増して新たに月があらわれたようなのである。

過南鄰朱山人水亭
相近竹参差、相通人不知。
幽花敬満樹、細水曲通池。
辟客村非違、残樽席吏移。
看君多道東、従此敷追随。
朱山隠者の庵と私の草堂は近くある、両方の敷地の間にある竹が双方の家の敷地にまで入り混じり生えている。さかえがわからぬなるほどで、そこをとおって訪問しても出入りが分からないほどなのだ。
互いに隠棲しているのでひっそりとした朱山人の庭にきてみると樹に花いっぱいに咲いている。ほそい澗水の流れが曲って池に通じている。
隣りにもかかわらず隠者同士訪問することが少ない客ではあるがちょっとだけのつもりであったのだ。しかし、飲み残しの樽を前にしては、かえるわけにはいかない、つい、また席を替えて飲みなおすのである。
朱山人、わたしは君のことをよく観察したのだが、君は道家の中で東に座るべき能力・雰囲気を多くそなえた人だ、これから、わたしはたびたびおじゃまして君に随ってあそびたいと思っているのだ。

北鄰
明府豈辭滿,藏身方告勞。
青錢買野竹,白幘岸江皋。
愛酒晉山簡,能詩何水曹。
時來訪老疾,步屧到蓬蒿。
(南隣には朱山人が住んでいて北隣はわたしだ。)そのわたしは華州でここらが潮時と官を辞したのだ、秦州同谷と経てここに隠遁している身となっている。「不敢告労」という語もあるがわたしの場合はまさに労苦を語りたいというものだ。
青銭万選の詩文を売って家の周りに綿竹を買って植えた。役人の白い帽子のような花が岸辺の曲った所に咲いている。
白い帽子で思うのは酒を愛す西晋の山簡公であり、翼詩文を書き、いつも浣花渓の流れの隈の所でたむろしている自分と重なるのである。
隠棲をした今となって自分には年を重ねていくことと持病が時に見舞われ、なにもできないことがある。今は敷き藁の上のような貧乏生活であるがなにもできないことつづくと転蓬の草ぼうぼうの野原をさまようことになるのだろうか。

客至   杜甫*〔原注〕喜雀明府相過。
舍南舍北皆春水、但見群鷗日日來。
花徑不曾緣客掃、篷門今始為君開。
盤飧市遠無兼味、樽酒家貧只舊醅。
肯與鄰翁相對飲、隔籬呼取盡餘杯。
わが家は南も北もみな春の雪解け水でみずかさがあがっている。しばらくみていると、たくさんのかもめが毎日やってくるのです。
花が咲きみだれ、散って小道に敷きひろがるが、お客があるからといって風流なので掃除しないのです。きょうはめずらしくよもぎのしげっている門を君のためなればこそ開くこといたします。
ここは市場が遠いので皿に盛る御馳走が幾種類もの用意はできないし、家が貧しいから樽の酒もてづくりのふるい濁酒があるだけです。
それでも、南隣の御爺さんも仲間にして飲むおつもりはありませんか。この垣根越しに御爺さんを呼んで残りの濁酒を飲みほさせることにしましょう。


江畔濁歩尋花七絶句 之一 
江上被花惱不徹,無處告訴只顛狂。
走覓南鄰愛酒伴,經旬出飲獨空床。
浣花渓の水面にまで花がせき、乱れ散るのに私を悩ませるのはこの花を見るのを盡し切れないことがあるからだ。そのことを訴えようにも訴えるところがないのだ。真剣に考えるあまり、ほかの事が全く考えられないほどになっている。
そこで南隣の隣人であり酒を愛し、酒の友である、朱山人の斛斯六官の所へ急いて来てみたのである。するとどうも酒を呑みに行って10日前後もたっているだろうその部屋には空しく寝台がポツンと一つあるだけである。


江畔獨步尋花七絕句 其五 
黃師塔前江水東,春光懶困倚微風。
桃花一簇開無主,可愛深紅愛淺紅?
私の家から濯錦江の東側に江水を前にして黄法師の墓がある。春の風光のなかひとり歩くのも暖かで体も気怠くなり、ひとやすみするとそよ風に気怠い心を支えられる。
そこには桃の花がひとかたまり咲いている、見てくれる主もなく咲いているのだ。しかし、わたしはその愛する花のなかで紅色を愛すべきなのか、うす紅色の花を愛すべきなのか考えるが、どちらも美しくさいているのだ。だからどちらも愛すべきなのだ。



江畔獨步尋花七絕句 其六 
黃四娘家花滿蹊,千朵萬朵壓枝低。
留連戲蝶時時舞,自在嬌鶯恰恰啼。
黄師塔のちかくに黄さんの四番目の老婆の家があり、花がいっぱいに咲き乱れた小路がある。そこには千のえだに、万の枝に花をつけていて、花の重さで枝は低く垂れている。
その花には長が戯れて舞っており、そこを去ることを知らず居つづけている、千朵萬朵の花枝のかごのなかに可愛がられている鶯がいて、おもしろく自由にホーッ、ホケキョと啼いている。