寄杜位 杜甫 成都(3部)浣花渓の草堂(5-(6)) 


2013年4月18日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩當欲游南山行 曹植 魏詩<70> 女性詩738 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2238
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩九辯 第七段-#1 宋玉  <00-#22>Ⅱもっとも影響を与えた詩文 651 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2239
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集寄杜位 成都5-(6) 杜甫 <459>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2240 杜甫詩1000-459-642/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集酬従弟謝惠連 五首その(5) 謝霊運<48>西陵遇風獻康楽 その5 謝惠連 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞ブログ 2241 (04/18)
●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性風 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-139-11-#4  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2242
 
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孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩 盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

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李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
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孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 

寄杜位  成都5-(6) 杜甫 <459>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2240 杜甫詩1000-459-642/1500

詩 題:寄杜位 杜甫 成都(3部)浣花渓の草堂(5-(6)) 
作時 :761年7・8月杜甫50歳 
掲 載; 杜甫1000首の459首目-場面5-(6)
杜甫ブログ1500回予定の-642回目  



寄杜位
近聞寬法離新州,想見懷歸尚百憂。
あなたのことは近頃情報が入ってきたが寛容なお裁きで五嶺山脈の向こうの新州であるという。いろいろ想像し心配もしてみて懐かしいし、帰りたいと思うのだ。
逐客雖皆萬裡去,悲君已是十年流!
あなたの家族もみんな追われて旅のそれではるか万里に去って行った。あなたを悲しく思いつつかれこれ10年の歳月が流れたのだ。
干戈況複塵隨眼,鬢發還應雪滿頭。
あれから戦乱は未だに終わらず何処に目をやっても戦争が終わってはいないのだ。鬢も頭髪にももうすでに雪のようなものが頭にいっぱいに載っているようなものだ。
玉壘題書心緒亂,何時更得曲江遊?
いい詩詞を書いて随分たまっているが心の中では戦争のことで落ち着きはしない。いつになったらまたあの曲江での遊宴ができるようになるのだろうか。

寄杜位
近ごろ聞く 寬法により離れて新州にあると,想見して 歸らんと懷えど 尚お百憂あり。
客を逐われ皆萬裡に去ると雖も,君を悲むは已に是れ 十年流る!
干戈【かんか】 況んや複た 塵眼に隨う,鬢發 還た應に 滿頭に雪つ。
玉壘して書を題すは心緒亂れ,何時 更に曲江の遊を得んや?

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『寄杜位』 現代語訳と訳註
(本文)

近聞寬法離新州,想見懷歸尚百憂。
逐客雖皆萬裡去,悲君已是十年流!
干戈況複塵隨眼,鬢發還應雪滿頭。
玉壘題書心緒亂,何時更得曲江遊?


(下し文) 寄杜位
近ごろ聞く 寬法により離れて新州にあると,想見して 歸らんと懷えど 尚お百憂あり。
客を逐われ皆萬裡に去ると雖も,君を悲むは已に是れ 十年流る!
干戈【かんか】 況んや複た 塵眼に隨う,鬢發 還た應に 滿頭に雪つ。
玉壘して書を題すは心緒亂れ,何時 更に曲江の遊を得んや?


(現代語訳)
あなたのことは近頃情報が入ってきたが寛容なお裁きで五嶺山脈の向こうの新州であるという。いろいろ想像し心配もしてみて懐かしいし、帰りたいと思うのだ。
あなたの家族もみんな追われて旅のそれではるか万里に去って行った。あなたを悲しく思いつつかれこれ10年の歳月が流れたのだ。
あれから戦乱は未だに終わらず何処に目をやっても戦争が終わってはいないのだ。鬢も頭髪にももうすでに雪のようなものが頭にいっぱいに載っているようなものだ。
いい詩詞を書いて随分たまっているが心の中では戦争のことで落ち着きはしない。いつになったらまたあの曲江での遊宴ができるようになるのだろうか。


(訳注)
寄杜位

10年前襄陽の当時一族で出世頭であった杜位に手紙を寄せている。
『杜位宅守歲』
守歲阿戎家,椒盤已頌花。
盍簪喧櫪馬,列炬散林鴉。
四十明朝過,飛騰暮景斜。
誰能更拘束?爛醉是生涯。
・守歲 おおみそかの晩に眠らずに元日の朝を迎えること。
・戎家 中国の五帝時代から戦国時代にかけて、中国の西および北に住んでいた遊牧民族。たびたび中国の歴代王朝に侵入しては略奪をおこなった。大別して西の戎を西戎といい、北の戎を北戎という。
・椒盤 椒酒を進め酒を飲む器季節 新年分類 人事.

その杜位が五嶺山脈を越えて広東の新州に左遷されたという情報がもたらされた。そのことに寄せて返事を寄せたものである。


近聞寬法離新州,想見懷歸尚百憂。
嶺南道圖00あなたのことは近頃情報が入ってきたが寛容なお裁きで五嶺山脈の向こうの新州であるという。いろいろ想像し心配もしてみて懐かしいし、帰りたいと思うのだ。
・寬法 寛大なおとがめ。寛容なお裁き。
・新州 河南省に三国時代に設置された州。新州 (広東省) -南北朝時代に設置された州。南北朝時代、梁により広州より分割設置された。605年(大業元年)、隋朝により廃止され、管轄県は広州に統合された。現在の雲浮市及び江門市一帯に相当する。杜位がいるところは嶺南道東部 新州 新州。


逐客雖皆萬裡去,悲君已是十年流!
あなたの家族もみんな追われて旅のそれではるか万里に去って行った。あなたを悲しく思いつつかれこれ10年の歳月が流れたのだ。


干戈況複塵隨眼,鬢發還應雪滿頭。
あれから戦乱は未だに終わらず何処に目をやっても戦争が終わってはいないのだ。鬢も頭髪にももうすでに雪のようなものが頭にいっぱいに載っているようなものだ。
・干戈 1 武器。また、武力。 2 戦争。
・塵隨眼 どっちを向いても戦争での蒙塵でいっぱいということ。
・鬢發 びんと頭髪。
・雪滿頭 しらがあたま。


玉壘題書心緒亂,何時更得曲江遊?
いい詩詞を書いて随分たまっているが心の中では戦争のことで落ち着きはしない。いつになったらまたあの曲江での遊宴ができるようになるのだろうか。
・玉壘 宝玉をうずたかく積み上げること。
・題書 詩を詠って書として残していること。