杜甫 《楠樹為風雨所拔嘆》 成都(3部)浣花渓の草堂(5-(11-1))  

自分が茅をきり住居を建設したのはすべて此の樹あったからである、この五月のこと樹葉の葉擦れの音はまるでひぐらし蝉を聞いているかのようだった。

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楠樹為風雨所拔嘆  成都5-(11-1) 杜甫 <464-#1>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2270 杜甫詩1000-464-#1-648/1500


詩 題:楠樹為風雨所拔嘆 杜甫 成都(3部)浣花渓の草堂(5-(11-1))  作時761年7・8月杜甫50歳 
掲 載; 杜甫1000首の464-#1首目-場面5-(11-1)杜甫ブログ1500回予定の-648回目
風雨のために栴樹がぬかれたについての欺きをのぺる。上元二年成都の作。

倚江楠樹草堂前,故老相傳二百年。
濯錦江のほとり我家の草堂の前に江に倚って楠の大樹がある。それは古老が言い伝えてきた所では二百年も経過した大樹だという。
誅茅卜居總為此,五月仿佛聞寒蟬。』
自分が茅をきり住居を建設したのはすべて此の樹あったからである、この五月のこと樹葉の葉擦れの音はまるでひぐらし蝉を聞いているかのようだった。』
東南飄風動地至,江翻石走流雲氣。
この秋の東南から強く吹きまく風が大地をうごかしてやってきた、濯錦江の水はひるがえり、石はとばされ雲気はとぶようにはしった。
幹排雷雨猶力爭,根斷泉源豈天意?』
樹の幹は雷雨をおしのけて抜けまいとあらそったのだ。けれどもついに根は大地のそこと縁をきられてしまい、これをまさか天のおぼしめしというというのではないのであろう。』

滄波老樹性所愛,浦上亭亭一青蓋。
野客頻留懼雪霜,行人不過聽竽籟。』
虎倒龍顛委荊棘,淚痕血點垂胸臆。
我有新詩何處吟,草堂自此無顏色。』

(楠樹風雨の抜く所と為るの嘆き)
江に倚る楠樹【なんじゅ】は草堂の前、古老相伝う二百年と。
茅を誅し居を卜するは総て此れが為なり、五月には仿佛【ほうふつ】して寒蝉【かんせん】を聞く。』
東南の飄風【ひょうふう】は地を動かして至る、江翻り石走りて雲気流る。
幹は雷雨を排して猶お力争す、根は泉源に断ゆ豈天意ならんや。』

滄波と老樹は性の愛する所、浦上 童童たり 一青蓋。
野客は頻りに留まりて雪霜を懼れ、行人は過ぎずに竽籟を聴く。』
虎倒れ 竜顛して荊棘に委す、涙痕 血点して胸臆に垂る。
我に新詩有るも何の処にか吟ぜん、草堂此れより顔色無からん。』


『楠樹為風雨所拔嘆』 現代語訳と訳註
草堂002(本文)

倚江楠樹草堂前,故老相傳二百年。
誅茅卜居總為此,五月仿佛聞寒蟬。』
東南飄風動地至,江翻石走流雲氣。
幹排雷雨猶力爭,根斷泉源豈天意?』


(下し文)
(楠樹風雨の抜く所と為るの嘆き)
江に倚る楠樹【なんじゅ】は草堂の前、古老相伝う二百年と。
茅を誅し居を卜するは総て此れが為なり、五月には仿佛【ほうふつ】して寒蝉【かんせん】を聞く。』
東南の飄風【ひょうふう】は地を動かして至る、江翻り石走りて雲気流る。
幹は雷雨を排して猶お力争す、根は泉源に断ゆ豈天意ならんや。』


(現代語訳)
濯錦江のほとり我家の草堂の前に江に倚って楠の大樹がある。それは古老が言い伝えてきた所では二百年も経過した大樹だという。
自分が茅をきり住居を建設したのはすべて此の樹あったからである、この五月のこと樹葉の葉擦れの音はまるでひぐらし蝉を聞いているかのようだった。』
この秋の東南から強く吹きまく風が大地をうごかしてやってきた、濯錦江の水はひるがえり、石はとばされ雲気はとぶようにはしった。
樹の幹は雷雨をおしのけて抜けまいとあらそったのだ。けれどもついに根は大地のそこと縁をきられてしまい、これをまさか天のおぼしめしというというのではないのであろう。』


(訳注)
倚江楠樹草堂前,故老相傳二百年。

濯錦江のほとり我家の草堂の前に江に倚って楠の大樹がある。それは古老が言い伝えてきた所では二百年も経過した大樹だという。
杜甫草堂詳細図02○柵樹 楠のこと、樹木の名、杜甫はしばしばこの樹について詠っている。成都の街から帰るときに目標となる木であり、新津から帰る船の目標物であった。
杜甫『高楠』五言律詩  
楠樹色冥冥,江邊一蓋青。近根開藥圃,接葉製茅亭。
落景陰猶合,微風韻可聽。尋常絕醉困,臥此片時醒。
杜甫『枯楠』五言古詩「梗楠枯崢嶸,鄉黨皆莫記。不知幾百歲,慘慘無生意。」  
○草堂 浣花渓の草堂。


誅茅卜居總為此,五月仿佛聞寒蟬。』
自分が茅をきり住居を建設したのはすべて此の樹あったからである、この五月のこと樹葉の葉擦れの音はまるでひぐらし蝉を聞いているかのようだった。』
○誅茅 かやをきる、屋根をふくため。
○為此 此は樹をさす。
○仿佛 類似する,似ている.两人情况相仿佛二人の状況は類似している.彷彿髣髴。 [副]まるで(…のようだ)仿佛在听童话似的まるで童話を聞いているようだ.
○寒蝉 ひぐらし、樹葉の鳴るおとをたとえていう。


東南飄風動地至,江翻石走流雲氣
この秋の東南から強く吹きまく風が大地をうごかしてやってきた、濯錦江の水はひるがえり、石はとばされ雲気はとぶようにはしった。


幹排雷雨猶力爭,根斷泉源豈天意?』
樹の幹は雷雨をおしのけて抜けまいとあらそったのだ。けれどもついに根は大地のそこと縁をきられてしまい、これをまさか天のおぼしめしというというのではないのであろう。』
○力争 ぬかれまいと骨おってあらそう。
○断泉源 大地のそこの水のあるところと縁がきれる。
○豈天意 不自然なことの極みをいう。