杜甫《茅屋為秋風所破歌》 成都(3部)浣花渓の草堂(5-(12-1)) 
その茅は飛ばされて濯錦江を越えて江沿いの野原に雨のように降りそそぎ、そして、高い所にも飛び、それは高い林の長いこずえにひっかかったりしている。ひくいところでひるがえり地面をころがって池の窪みに沈む。

2013年4月26日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
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●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集茅屋為秋風所破歌 成都5-(12-1) 杜甫 <465-#1>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2280 杜甫詩1000-465-#1-650/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
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茅屋為秋風所破歌  成都5-(12-1) 杜甫 <465-#1>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2280 杜甫詩1000-465-#1-650/1500
 
詩 題:茅屋為秋風所破歌 杜甫 成都(3部)浣花渓の草堂(5-(12-1)) 
作時761年8・9月杜甫50歳 
掲 載; 杜甫1000首の465-#1首目-場面5-(12-1)
杜甫ブログ1500回予定の-650回目  
草堂のかやぶきの屋根があきかぜにうちこわされたことをのべた詩。上元二年秋の作。


茅屋為秋風所破歌 のころ
・上元2年 761年3月、大燕皇帝を称した史思明は息子の史朝義に殺される。攻撃のチャンスなのに、王朝側も体制が整わず、とうばつできない状態である。
・同年の4月、梓州:四川省三台県)の刺史段子璋が叛乱、剣南東川節度使を追い払って独立宣言をする。剣南西川節度使・成都尹の崔光遠は武将の花敬定を討伐に差し向け、段子璋の叛乱を鎮める。
・同年の6月、その花敬定が現地で略奪を働き、東川地域は乱れる。
・この間、杜甫は年の初めに新津で遊び(成都3部)、春は浣花渓で過ごし、多くの律詩を残している。又杜甫には珍しい絶句シリーズを始めた(成都4部)。
夏になって、ふたたび、蜀州新津から青城縣を訪れ 秋になって浣花渓草堂に帰宅して間もなく、暴風雨に襲われている。


七言歌行《茅屋為秋風所破歌》#1
八月秋高風怒號,卷我屋上三重茅。
陰暦八月、秋も深まり、空の高いところから風が怒りさけぶ、草堂の屋根の三重ぶきの茅を巻き込み、吹き荒れる。
茅飛渡江灑江郊,高者掛罥長林梢,下者飄轉沉塘坳。
その茅は飛ばされて濯錦江を越えて江沿いの野原に雨のように降りそそぎ、そして、高い所にも飛び、それは高い林の長いこずえにひっかかったりしている。
ひくいところでひるがえり地面をころがって池の窪みに沈む。

南村群童欺我老無力,忍能對面為盜賊。

南の村のこどもらは自分が年よってカの無いのをばかにされているとしか思えない。それは耐え難いことで面とむかってどろばうをはたらかれることなのだ。
#2
公然抱茅入竹去,唇焦口燥呼不得,歸來倚仗自嘆息。
俄頃風定雲墨色,秋天漠漠向昏黑。
布衾多年冷似鐵,驕兒惡臥踏裡裂。
床床屋漏無幹處,雨腳如麻未斷絕。
#3
自經喪亂少睡眠、長夜沾濕何由徹?
安得廣廈千萬間、大庇天下寒士俱歡顏、風雨不動安如山?嗚呼!
眼前何時突兀見此屋、吾廬獨破受凍死亦足!

(茅屋、秋風の破る所と為る歌)#1
八月  秋高くして風は怒号【どごう】し、我が屋上の三重【さんちょう】の茅【かや】を巻く。
茅は飛んで江を度【わた】り  江郊【こうこう】に灑【そそ】ぎ、高き者は長林の梢に掛罥【かいけん】し、下【ひく】き者は飄転【ひょうてん】して塘坳(とうおう)に沈む。
南村の群童 我が老いて力無きを欺【あなど】り、忍んで能【よ】く対面して盗賊を為(な)し。
#2
公然  茅を抱きて竹に入りて去り、脣焦し  口は燥【かわ】き  呼べども得ず、帰り来たり  杖に倚(よ)って自【おのずか】ら嘆息す。
俄頃【がけい】 風定まって雲は墨色【ぼくしょく】、秋天【しゅうてん】 漠漠として昏黒【こんこく】に向かう。
布衾【ふきん】 多年  冷やかなること鉄に似たり、驕児【きょうじ】 悪臥【あくが】して裏を踏んで裂く。
牀頭【しょうとう】  屋【おく】漏りて乾処【かんしょ】無く、雨脚【うきゃく】 麻の如くにして未だ断絶せず。
#3
喪乱を経て自【よ】り睡眠少なく、長夜 沾湿【てんしつ】 何に由ってか徹せん。
安【いずく】にか広廈【こうか】の千万間【せんばんげん】なるを得て、大いに天下の寒士を庇【おお】いて 倶に顔【かんばせ】を歓ばしめ、風雨にも動かず  安らかなること山の如くなるを。
嗚呼!
眼前 何の時にか突兀として此の屋を見ん、吾が廬【ろ】は独り破れて凍【とう】を受け  死すとも亦た足れり。


『茅屋為秋風所破歌』 現代語訳と訳註
(本文)

八月秋高風怒號,卷我屋上三重茅。
茅飛渡江灑江郊,高者掛罥長林梢,
下者飄轉沉塘坳。南村群童欺我老無力,
忍能對面為盜賊。公然抱茅入竹去,


(下し文)
(茅屋、秋風の破る所と為る歌)
八月  秋高くして風は怒号【どごう】し、我が屋上の三重【さんちょう】の茅【かや】を巻く。
茅は飛んで江を度【わた】り  江郊【こうこう】に灑【そそ】ぎ、高き者は長林の梢に掛罥【かいけん】し、下【ひく】き者は飄転【ひょうてん】して塘坳(とうおう)に沈む。
南村の群童 我が老いて力無きを欺【あなど】り、忍んで能【よ】く対面して盗賊を為(な)し。


(現代語訳)
陰暦八月、秋も深まり、空の高いところから風が怒りさけぶ、草堂の屋根の三重ぶきの茅を巻き込み、吹き荒れる。
その茅は飛ばされて濯錦江を越えて江沿いの野原に雨のように降りそそぎ、そして、高い所にも飛び、それは高い林の長いこずえにひっかかったりしている。
ひくいところでひるがえり地面をころがって池の窪みに沈む。南の村のこどもらは自分が年よってカの無いのをばかにされているとしか思えない。それは耐え難いことで面とむかってどろばうをはたらかれることなのだ。


(訳注)
茅屋為秋風所破歌

私の浣花渓の草堂の茅葺の屋根が秋の風雨によって吹き飛ばされたことを歌う。


八月秋高風怒號,卷我屋上三重茅。
陰暦八月、秋も深まり、空の高いところから風が怒りさけぶ、草堂の屋根の三重ぶきの茅を巻き込み、吹き荒れる。
○茅屋 草堂の茅屋。
〇三重茅 三重に葺いた茅の屋根。


茅飛渡江灑江郊,高者掛罥長林梢,下者飄轉沉塘坳。
その茅は飛ばされて濯錦江を越えて江沿いの野原に雨のように降りそそぎ、そして、高い所にも飛び、それは高い林の長いこずえにひっかかったりしている。ひくいところでひるがえり地面をころがって池の窪みに沈む。
○江 濯錦江。
○江郊 江沿いの野原。
〇灑 あめのそそぐようにふりそそぐ。 接写 かかる。
○掛罥 ひっかかる。
○長林梢 たかい木の林の長いこずえ。

○塘坳 いけのくぼみ。

南村群童欺我老無力,忍能對面為盜賊。
南の村のこどもらは自分が年よってカの無いのをばかにされているとしか思えない。それは耐え難いことで面とむかってどろばうをはたらかれることなのだ。、
○欺 俗語である。ばかにする。
○忍 むごく。
○対面 めんとむかって。
杜甫像0012