杜甫《病橘》五言古詩 成都(5部)浣花渓の草堂(5-(25-1))  
橘樹の病めるものについてよむ。つまらないものが因って集まるとやがて病気が蔓延していく。宦官の讒言によって動かされている朝廷を批判する。


2013年5月8日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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病橘 五言古詩 成都5-(25-1) 杜甫 <474>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2340 杜甫詩1000-474-662/1500



詩 題:病橘 杜甫 成都(5部)浣花渓の草堂(5-(25-1)) 
卷別: 卷二一九  文體: 五言古詩
作時:761年11月杜甫50歳 
掲 載; 杜甫1000首の474首目-場面5-(25-1)
杜甫ブログ1500回予定の-662回目   40761


(病  橘)
群橘少生意,雖多亦奚為?
多く集まった橘樹は生き生きとした元気のいい心持がすくないようだ。これではいくら多くあったところで何のやくにもたたないというものだ。
惜哉結實小,酸澀如棠梨。
おしいことにむすぶ実がどうしても小さくなってしまい、すっぱいやら、しぶいやらで山地に多くあるヤマナシに似ている。
剖之盡蠹蟲,采掇爽所宜。
それをわってみるとみんな虫食いなので、せっかくとっても具合が悪い。
紛然不適口,豈只存其皮。

どれもこれもだれの口にもあわないのだ。どういうものかこんな実がその皮だけが薬品として役に立っているというのだ。

蕭蕭半死葉,未忍別故枝。玄冬霜雪積,況乃回風吹。』
嘗聞蓬萊殿,羅列瀟湘姿。此物歲不稔,玉食失光輝。

寇盜尚憑陵,當君減膳時。汝病是天意,吾恐罪有司。
憶昔南海使,奔騰獻荔枝。百馬死山谷,到今耆舊悲。』

(病 橘)
羣橘【ぐんきつ】 生意【せいい】少なし、多しと雖も 亦た奚【なに】をか為さん。
惜しい哉 結実【けつじつ】小なり、酸澀【さんじゅう】棠梨【とうり】の如し。
之を剖【さ】けば尽く蠹蟲【とちゅう】し、采掇【さいてつ】宜しき所に爽【たご】う。
紛然として 口に適せず、豈 只 其の皮を存するのみならんや。

蕭蕭たり半死の葉、末だ故枝に別るるに忍びず。
玄冬霜雪積み、況や乃ち廻風の吹くをや。』
嘗て聞く蓬莱殿、羅列す瀟湘の姿。
此の物歳に稔らざれば、玉食 光輝を失うと。

寇盜 尚お憑陵たり、君が減膳の時にあたる。
汝が病むは是れ天意なり、吾は愁う有司を罪せんことを。
憶う昔 南海の使い、奔騰 荔枝を献ず。
百馬 山谷に死し、今に到って耆旧悲しむ。』



『病橘』 現代語訳と訳註
(本文)

群橘少生意,雖多亦奚為?惜哉結實小,酸澀如棠梨。
剖之盡蠹蟲,采掇爽所宜。紛然不適口,豈只存其皮。

海棠花002
(下し文)(病  橘)
羣橘【ぐんきつ】 生意【せいい】少なし、多しと雖も 亦た奚【なに】をか為さん。
惜しい哉 結実【けつじつ】小なり、酸澀【さんじゅう】棠梨【とうり】の如し。
之を剖【さ】けば尽く蠹蟲【とちゅう】し、采掇【さいてつ】宜しき所に爽【たご】う。
紛然として 口に適せず、豈 只 其の皮を存するのみならんや。


(現代語訳)
多く集まった橘樹は生き生きとした元気のいい心持がすくないようだ。これではいくら多くあったところで何のやくにもたたないというものだ。
おしいことにむすぶ実がどうしても小さくなってしまい、すっぱいやら、しぶいやらで山地に多くあるヤマナシに似ている。
それをわってみるとみんな虫食いなので、せっかくとっても具合が悪い。
どれもこれもだれの口にもあわないのだ。どういうものかこんな実がその皮だけが薬品として役に立っているというのだ。


(訳注)
病  橘

杜甫草堂柴門06○橘 みかんの樹。
この頃作られた詩はいろんなものに喩えて粛宗の批判をのべている。官を辞する新居ったった3年間の鬱憤をぶっつけるほどではないが、絶対君主の時代においては相当な批判である。
成都第5部―浣花渓の草堂-5
『百憂集行』、『徐卿二子歌』、『戲作花卿歌』、『贈花卿』、『病柏』、『病橘』、『枯棕』、『枯楠』、『所思』、『不見』、『草堂即事』、『野望』。


群橘少生意,雖多亦奚為?
多く集まった橘樹は生き生きとした元気のいい心持がすくないようだ。これではいくら多くあったところで何のやくにもたたないというものだ。
○群橘 多くの橘樹。
○奚為 何為に同じ、無用なことをいう。


惜哉結實小,酸澀如棠梨。
おしいことにむすぶ実がどうしても小さくなってしまい、すっぱいやら、しぶいやらで山地に多くあるヤマナシに似ている。
○棠=梨【ずみ】  バラ科の落葉小高木。山地に多く、全体にとげがある。葉は楕円形。4~6月ごろ白い5弁花が咲き、秋に紅あるいは黄色の丸い実がなる。庭木として植えられ、樹皮は染料になる。こりんご。こなし。姫海棠(ひめかいどう)。三つ葉海棠。甘棠(かんとう)。《季 夏》「たちよれば深山ぐもりに―の花/蛇笏」


剖之盡蠹蟲,采掇爽所宜。
それをわってみるとみんな虫食いなので、せっかくとっても具合が悪い。
○蠹蟲 むしくい。
○采掇 とる。
○爽 【爽】[漢字項目]とは。意味や解説。[常用漢字][音]ソウ(サウ)(漢)[訓]さわやか1 さわやか。「爽快/颯爽(さっそう)・清爽」2 夜があけて明るい。「昧爽(まいそう)」。爽所宜とは、とってもよくないということ。


紛然不適口,豈只存其皮。
どれもこれもだれの口にもあわないのだ。どういうものかこんな実がその皮だけが薬品として役に立っているというのだ。
○不適口 うまくない。
○豈只存其皮 旧解に皮を橘実の皮とし、薬品に入れて用いる。皮は橘の皮をさしているが、樹の間引きをするか、いしょくをしなければやがて病気が蔓延することをいう。