杜甫 《枯棕》 成都(5部)浣花渓の草堂  
かれたしゅろの樹についてよんだ。人民の誅求されることをあわれんだものである。蜀の地にはいってくるとしゅろが多いと感じる。高い木が十中に八九もあるのである。その幹の皮はひどくはがれる、それで樹は多くあってもすぐに朽ちてしまいやすいのだ。


2013年5月10日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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枯椶  五言古詩 成都5-(26-1) 杜甫 <476>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2350 杜甫詩1000-476-664/1500


詩 題:枯棕 五言古詩 杜甫 成都(5部)浣花渓の草堂(5-(26-1)) 
卷別: 卷二一九  文體: 五言古詩
作時:761年11・12月  杜甫50歳
掲 載; 杜甫1000首の476首目-場面5-(26-1)
杜甫ブログ1500回予定の-664回目   40763



枯椶
蜀門多椶櫚,高者十八九。
蜀の地にはいってくるとしゅろが多いと感じる。高い木が十中に八九もあるのである。
其皮割剝甚,雖眾亦易朽。
その幹の皮はひどくはがれる、それで樹は多くあってもすぐに朽ちてしまいやすいのだ。
徒布如雲葉,青黃歲寒後。
冬枯れののち春になるとに雲の如く高い所でひろがった葉を青青とひろげる。
交橫集斧斤,凋喪先蒲柳。
その乱れた役に立たない、植え替えられることのない葉樹に向かって斧や斤が集中されて、蒲柳にさきだってこの樹はしぼみなくなってしまう。
傷時苦軍乏,一物官盡取。
私の心はいたんでいる。というのも、今の時世は非常に軍需物が欠乏している。斧一物さえも官がみな取りあげてしまっているのだ。

嗟爾江漢人,生成複何有!有同枯棕木,使我沈嘆久。
死者即已休,生者何自守?啾啾黃啄雀,側見寒蓬走。
念爾形影幹,摧殘沒藜莠。


蜀門椶櫚【しゅらん】多し、高き者は十の八九。
其の皮割剥【かつはく】甚し、衆しと雖も亦朽ち易し。
徒に雲の如き葉を布く、青青たり歳寒の後。
交も横たわりて斧斤を集む 凋喪【ちょうそう】蒲柳【ほりゅううに先だつ』
傷む時の軍乏に苦しみ、一物も官 尽【ことごと】く取ることを。

嗟 爾 江漢の人、生成 復た何か有る。
枯椶【こしゅ】の木に同じき有り、我をして沈嘆【ちんたん】すること久しからしむ。
死せる者は即ち己に休せり、生者は何ぞ自ら守らん。』
啾啾として黄雀【こうじゃく】啄む、側に寒蓬【かんほう】の走るを見る。
念う爾が形影【けいえい】乾きて、摧残【さいざん】せられて藜莠【れいしゅう】に没せんことを。』


『枯椶』 現代語訳と訳註
(本文)

蜀門多椶櫚,高者十八九。其皮割剝甚,雖眾亦易朽。
徒布如雲葉,青黃歲寒後。交橫集斧斤,凋喪先蒲柳。
傷時苦軍乏,一物官盡取。

(下し文)
蜀門椶櫚【しゅらん】多し、高き者は十の八九。
其の皮割剥【かつはく】甚し、衆しと雖も亦朽ち易し。
徒に雲の如き葉を布く、青青たり歳寒の後。
交も横たわりて斧斤を集む 凋喪【ちょうそう】蒲柳【ほりゅううに先だつ』
傷む時の軍乏に苦しみ、一物も官 尽【ことごと】く取ることを。


(現代語訳)
蜀の地にはいってくるとしゅろが多いと感じる。高い木が十中に八九もあるのである。
その幹の皮はひどくはがれる、それで樹は多くあってもすぐに朽ちてしまいやすいのだ。
冬枯れののち春になるとに雲の如く高い所でひろがった葉を青青とひろげる。
その乱れた役に立たない、植え替えられることのない葉樹に向かって斧や斤が集中されて、蒲柳にさきだってこの樹はしぼみなくなってしまう。
私の心はいたんでいる。というのも、今の時世は非常に軍需物が欠乏している。斧一物さえも官がみな取りあげてしまっているのだ。


(訳注)
枯椶

軍需物が欠乏しているので、斧斤一物さえも官がみな取りあげてしまっている。だから、荘子が言うように『荘子逍遥篇第一』、移植したり、間引き、枝落としもできないで、木を枯らしてしまうじょうきょうなのだ。今の時世は非常にくるしい時代なのだ。これは、儒教、老荘思想で、よい木も、きちんと世話をしないと林は乱れるといい、良い人材登用ができていないことを戒めているけれど、天子の施政に対する批判である。


蜀門多椶櫚,高者十八九。
蜀の地にはいってくるとしゅろが多いと感じる。高い木が十中に八九もあるのである。
○蜀門 蜀の地をさす。
○椶櫚 しゅろの木。
〇十八九 十中の八九。


其皮割剝甚,雖眾亦易朽。
その幹の皮はひどくはがれる、それで樹は多くあってもすぐに朽ちてしまいやすいのだ。
〇割剥 さきはぐ。
○衆 樹の多いこと。


徒布如雲葉,青黃歲寒後。
冬枯れののち春になるとに雲の如く高い所でひろがった葉を青青とひろげる。
○布 教に同じ。
○如雲葉 雲のように高い所でひろがった葉をいう。
〇歳寒 冬がれ。


交橫集斧斤,凋喪先蒲柳。
その乱れた役に立たない、植え替えられることのない葉樹に向かって斧や斤が集中されて、蒲柳にさきだってこの樹はしぼみなくなってしまう。』
○交横 間伐や枝落としができないので、雪や風により折れたりs次手盛りが乱れる様子をいう。葉影がみだれよこたわることをいう。
○集斧斤 おの、まさかりがこの樹に向かって集められる。『荘子逍遥篇第一』「莊子曰:今子有大樹、患其無用、何不樹之於無何有之郷、廣莫之野、彷徨乎無為其側、逍遙乎寢臥其下?不夭斤斧、物無害者、無所可用、安所困苦哉。」(莊子曰く:今子に大樹有り、其の用無きを患う、何ぞ之を「無何有之郷・廣莫の野」に樹え、彷徨として其の側に為す無く、逍遙として其の下に寢臥せざる?斤斧に夭せられず、物に無害する者し用う可き所無きも、安んぞ困苦する所あらん。)「荘子は言った。「あなたはせっかく大きな木を持っているのに、役に立たないなどと嘆いている。ならば、この役に立たない木を『無何有の郷の広々とした大地』でに植え替えてその木の周りをぼんやりと逍遥し、のんびり昼寝でもしたらどうだい?斧で切り落とされる心配もなく、無用なもののようでいても、少しも困ることはないよ。」に基づいている。
○凋喪 しぼみ、うしなわれる。
○蒲柳 かわやなぎ。


傷時苦軍乏,一物官盡取。
私の心はいたんでいる。というのも、今の時世は非常に軍需物が欠乏している。斧一物さえも官がみな取りあげてしまっているのだ。
傷 作者が心中にいたむ。
〇時 時世をいう。
○軍乏 軍需の欠乏。