杜甫  《枯楠(枯柟)》 五言古詩 成都(5部)浣花渓の草堂かれたくすの木のことをよんだ。
くぬぎや楠の樹は枯れていながらも高くたっている。何時枯れたのかここに住む郷党の人人さえもおぼえていない。もうなん百年もたっているのかどうかも分からない、みじめなもので全く生き生きとした意気がないようだ。




2013年5月12日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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枯楠(枯柟) 五言古詩 成都5-(30) 杜甫 <478-#1>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2360 
杜甫詩1000-478-666/1500


詩 題:枯楠(枯柟) 杜甫 成都(5部)浣花渓の草堂(5-(30)) 
卷別: 卷二一九  文體: 五言古詩
作時:761年11・12月杜甫50歳 
掲 載; 杜甫1000首の478首目-場面5-(30)
杜甫ブログ1500回予定の-666回目   40765


枯柟
楩柟枯崢嶸,鄉黨皆莫記。
くぬぎや楠の樹は枯れていながらも高くたっている。何時枯れたのかここに住む郷党の人人さえもおぼえていない。
不知幾百歲,慘慘無生意。
もうなん百年もたっているのかどうかも分からない、みじめなもので全く生き生きとした意気がないようだ。』
上枝摩蒼天,下根蟠厚地。
上の枝はあおぞらをこすり、下の根はあつい大地にわだかまっている。
巨圍雷霆折,萬孔蟲蟻萃。
その大きなまわりの幹は激しい雷霆にさかれて、多くの孔には蟻むしなどが集まっている。
雨落流膠。沖風奪嘉氣。
夏のにわか雨は樹の樟液を落としてしまい、はげしく吹く風は良い元気の力を奪いとってしまったのだ。

白鵠遂不來,天雞為愁思。猶含棟梁具,無複霄漢誌!
良工古昔少,識者出涕淚。種榆水中央,成長何容易?
截承金露盤,裊裊不自畏。


(枯柟)
楩柟【べんなん】枯れて崢嶸【そうこう】たり、郷党【きょうとう】皆記する莫し。
知らず幾百歳なるを、惨惨として生意無し。』
上枝は蒼天【そうてん】を摩す、下根は厚地に蟠【わだかま】る。
巨囲【きょい】雷霆【らいてい】折く、万孔蟲蟻【ちゅうぎ】萃【あつ】まる。
凍雨流膠【りゅうこう】を落とす、沖風【ちゅうふう】嘉氣【かく】を奪う。

白鵠【はくこく】遂に来たらず、天雞【てんけい】為に愁思す。』
猶含む棟梁の具、復た霄漢【しょうかん】の誌無し。
良工 古昔少なし、識者 涕涙【ているい】を出す。
榆【ゆ】を種う水の中央、成長何ぞ容易なる。
截【き】りて金露 盤を承けしむ、裊裊【じょうじょう】として自ら畏れず。』



『枯柟』 現代語訳と訳註
(本文)
枯柟
梗楠枯崢嶸,鄉黨皆莫記。不知幾百歲,慘慘無生意。
上枝摩蒼天,下根蟠厚地。巨圍雷霆折,萬孔蟲蟻萃。
涷雨落流膠。沖風奪嘉氣。


(下し文)(枯 楠)
楩柟【べんなん】枯れて崢嶸【そうこう】たり、郷党【きょうとう】皆記する莫し。
知らず幾百歳なるを、惨惨として生意無し。』
上枝は蒼天【そうてん】を摩す、下根は厚地に蟠【わだかま】る。
巨囲【きょい】雷霆【らいてい】折く、万孔蟲蟻【ちゅうぎ】萃【あつ】まる。
凍雨流膠【りゅうこう】を落とす、沖風【ちゅうふう】嘉氣【かく】を奪う。


(現代語訳)
くぬぎや楠の樹は枯れていながらも高くたっている。何時枯れたのかここに住む郷党の人人さえもおぼえていない。
もうなん百年もたっているのかどうかも分からない、みじめなもので全く生き生きとした意気がないようだ。』
上の枝はあおぞらをこすり、下の根はあつい大地にわだかまっている。
その大きなまわりの幹は激しい雷霆にさかれて、多くの孔には蟻むしなどが集まっている。
夏のにわか雨は樹の樟液を落としてしまい、はげしく吹く風は良い元気の力を奪いとってしまったのだ。


(訳注)
枯柟

かれたクスノキ。枯れたくすの木のことをよんだ。思うに楠を以て唐王朝に比したものである。蟻は朝廷内の宦官にも触れている。

梗楠枯崢嶸,鄉黨皆莫記。
クスノキ01くぬぎや楠の樹は枯れていながらも高くたっている。何時枯れたのかここに住む郷党の人人さえもおぼえていない。
○楩柟 くぬぎ。楠のたぐい。
〇崢嶸 たかいさま。謝靈運『石室山詩』
清旦索幽異。放舟越坰郊。苺苺蘭渚急。藐藐苔嶺高。
石室冠林陬。飛泉發山椒。虛泛徑千載。崢嶸非一朝。
石室山詩』 謝霊運(康楽) 詩<55-#1442 紀頌之の漢詩ブログ1143
○郷党 郷党の人人。その人の郷里。また、郷里を同じくする仲間。
○記 記憶する。


不知幾百歲,慘慘無生意。
もうなん百年もたっているのかどうかも分からない、みじめなもので全く生き生きとした意気がないようだ。』
○惨惨 みじめ。


上枝摩蒼天,下根蟠厚地。
上の枝はあおぞらをこすり、下の根はあつい大地にわだかまっている。


巨圍雷霆折,萬孔蟲蟻萃。
その大きなまわりの幹は激しい雷霆にさかれて、多くの孔には蟻むしなどが集まっっている。
○雷 霆 激しいかみなり。
○巨囲 大きなまわり。
〇万孔 多くのあな。


涷雨落流膠。沖風奪嘉氣。
夏のにわか雨は樹の樟液を落としてしまい、はげしく吹く風は良い元気の力を奪いとってしまったのだ。
○凍雨 夏のにわかあめ。
○流膠 膠は樹液をいう。樟液。
○衝風 はげしいかぜ。
○嘉氣 よい気象。良い元気の力。