遭田父泥飲美嚴中丞 杜甫 成都(6部)浣花渓の草堂(6-(10-#1))  成都尹兼御史中丞の厳武は、かねて杜甫と関係が深く、ことにその成都の尹となって来てからは、杜甫の第一のパトロンであった。春の社日に杜甫はある田舎の翁に引きとめられて酒を飲まされ、泥酔した翁が盛んに成都や厳武をほめるのをきいて、わがことのように喜んだのである。


2013年6月6日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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Ⅲ杜甫詩1000詩集遭田父泥飲美嚴中丞 成都6-(10-#1) 杜甫 <475>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2485 杜甫詩1000-475-691/1500
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遭田父泥飲美嚴中丞  成都6-(10-#1) 杜甫 <475>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2485 杜甫詩1000-475-691/1500


ダリヤ00詩 題:遭田父泥飲美嚴中丞 杜甫 成都(6部)浣花渓の草堂(6-(10)) 
卷別: 卷二一九  文體: 五言古詩 
作時:762年寶應元年1月杜甫51歳 
掲 載; 杜甫1000首の475首目-場面6-(10)
杜甫ブログ1500回予定の-691回目   40790 
交遊人物/地點:
田父 當地交遊(劍南道北部 益州 成都)
嚴武 當地交遊(劍南道北部 益州 成都)
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 遭田父泥飲美嚴中丞 
成都尹兼御史中丞の厳武は、かねて杜甫と関係が深く、ことにその成都の尹となって来てからは、杜甫の第一のパトロンであった。春の社日に杜甫はある田舎の翁に引きとめられて酒を飲まされ、泥酔した翁が盛んに成都や厳武をほめるのをきいて、わがことのように喜んだのである。この詩はそれとともに田舎びとの素僕なさまが、生き生きと写されている。
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遭田父泥飲美嚴中丞
步屧隨春風,村村自花柳。田翁逼社日,邀我嘗春酒。酒酣誇新尹,畜眼未見有。回頭指大男,渠是弓弩手。

名在飛騎籍,長番歲時久。前日放營農,辛苦救衰朽。差科死則已,誓不舉家走。今年大作社,拾遺能住否。

叫婦開大瓶,盆中為吾取。感此氣揚揚,須知風化首。語多雖雜亂,說尹終在口。朝來偶然出,自卯將及酉。

久客惜人情,如何拒鄰叟。高聲索果栗,欲起時被肘。指揮過無禮,未覺村野醜。月出遮我留,仍嗔問升斗。 
 


遭田父泥飲美嚴中丞
(田舎の翁が嚴武中丞成都尹を美辞するのに遭遇する)
步屧隨春風,村村自花柳。 
草履はきであるく、春を運ぶ風がふくままにゆく。こちらの村からあちらの村ではしだいに春景色にかわっていく、花は咲き、柳と柳絮が煙むっている。
田翁逼社日,邀我嘗春酒。 
この村の農家のおやじが、春の社日が近づいているので、わたしを宴席にむかえてくれ、春の新酒をのませてくれた。
酒酣誇新尹,畜眼未見有。 
そのうちに酒に酔ってくると、おやじは盛んに新しい成都の知事をじまんし始めたのだ。「あんなりっはな知事は、この眼でかつて見たことがない。」というものだった。
回頭指大男,渠是弓弩手。
 
そしてふりむいて傍の自分の長男を指したのだ。そして、「この子は弓の射手のかかりをしていた。」と。

名在飛騎籍,長番歲時久。 
前日放營農,辛苦救衰朽。 
差科死則已,誓不舉家走。 
今年大作社,拾遺能住否。
 

叫婦開大瓶,盆中為吾取。 
感此氣揚揚,須知風化首。 
語多雖雜亂,說尹終在口。 
朝來偶然出,自卯將及酉。 


久客惜人情,如何拒鄰叟。 
高聲索果栗,欲起時被肘。 
指揮過無禮,未覺村野醜。 
月出遮我留,仍嗔問升斗。 
 

『遭田父泥飲美嚴中丞』 現代語訳と訳註
(本文)

步屧隨春風,村村自花柳。 
田翁逼社日,邀我嘗春酒。 
酒酣誇新尹,畜眼未見有。 
回頭指大男,渠是弓弩手。 


(下し文)
(田父の泥飲して嚴中丞を美するに遭う。)
步屧して春風に隨い,村村して自ずら花柳あり。
田翁 社日に逼り,我を邀えて春酒を嘗しむ。
酒 酣【たけなわ】にして新尹を誇る,畜眼未だ有るを見ず。
回頭して大男を指して,渠は是れ弓弩の手なり。 


(現代語訳)
(田舎の翁が嚴武中丞成都尹を美辞するのに遭遇する)
草履はきであるく、春を運ぶ風がふくままにゆく。こちらの村からあちらの村ではしだいに春景色にかわっていく、花は咲き、柳と柳絮が煙むっている。
この村の農家のおやじが、春の社日が近づいているので、わたしを宴席にむかえてくれ、春の新酒をのませてくれた。
そのうちに酒に酔ってくると、おやじは盛んに新しい成都の知事をじまんし始めたのだ。「あんなりっはな知事は、この眼でかつて見たことがない。」というものだった。
そしてふりむいて傍の自分の長男を指したのだ。そして、「この子は弓の射手のかかりをしていた。」と。


(訳注)
遭田父泥飲美嚴中丞

(田舎の翁が嚴武中丞成都尹を美辞するのに遭遇する)
春の社日に杜甫はある田舎の翁に引きとめられて酒を飲まされ、泥酔した翁が盛んに成郡や厳武をほめるのをきいて、わがことのように喜んだ
・嚴中丞 嚴武(726-765年)字を季鷹といい,華州華陰の人である。生れは玄宗開元十四年,卒したのは765代宗永泰元年,四十歲であった。756年から劍南節度使を曆任し、761年12月成都尹に就任、吐蕃進攻に対して功をあげ,校吏部尚書,鄭國公を封される。杜甫が最も信頼をおく人物であった。杜甫が成都に住めるように尽力してくれている人物である。
全唐詩に六首錄存している。


步屧隨春風,村村自花柳。 
草履はきであるく、春を運ぶ風がふくままにゆく。こちらの村からあちらの村ではしだいに春景色にかわっていく、花は咲き、柳と柳絮が煙むっている。
・步屧 しきわら、 くつしき
・春風 春の日に吹く穏やかな風。春の風。
・村村 ひなびる。いなか。
・花柳 花が咲き、柳と柳絮が煙むる。


田翁逼社日,邀我嘗春酒。 
この村の農家のおやじが、春の社日が近づいているので、わたしを宴席にむかえてくれ、春の新酒をのませてくれた。
・田翁 農家のおやじ
・逼 近づく。
・社日  立春後、および立秋後の第五の戊の日で、土地の神を祭る日。ここは春の社日。春分前後に当たる。
・春酒 ①. 春に醸造した酒。②. 旧正月の間に開く宴席。


酒酣誇新尹,畜眼未見有。 
そのうちに酒に酔ってくると、おやじは盛んに新しい成都の知事をじまんし始めたのだ。「あんなりっはな知事は、この眼でかつて見たことがない。」というものだった。
・新尹 尹は知事、厳武は761年上元二年十二月成都の尹となる。
・畜眼 目の中にたくわえたところでは。


回頭指大男,渠是弓弩手。 
そしてふりむいて傍の自分の長男を指したのだ。そして、この子は弓の射手のかかりをしていた。
・大男 長男。
・弓弩手 手は射手の手。弓のかかり。